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TwitterとiPadはおじさんにも理解できる"未来"

TwitterとiPadはおじさんにも理解できる"未来"

吉岡 綾乃

Business Media 誠で編集長をしています。本ブログ&Twitterでは、Webメディアや紙メディア、ネットビジネス、携帯電話、非接触ICなどについての話題が中心になる予定。


 5月28日の金曜日、弊社はちょっとしたiPad祭りでした。アメリカで買ってきていた人も少なからずいたため、社内では何度もiPadを見ているけれど、自分で買うのはまた別の話......ということなのでしょう。仕事中も明らかにそわそわしていたり(予約済みのはずなのに!)、「夜、表参道に並びに行く」と意気込む人もいたりして、オフィス全体が浮き足立っているようでなかなか面白い光景でした。

 私も「買うの?」と聞かれましたが、特に物欲は刺激されず。ノートPCも買わなきゃいけないし、デジタル一眼レフも壊れてるし、私にとっての優先順位はかなり下の方。もし私に子どもがいたら、買って遊ばせるかもしれません。最近ケアセンターでパソコンを習って「上海」で遊んでいる祖母に買ってあげるのもいいかな、とも思ったんですが、自分のモノとして欲しい? と考えると答えは「とりあえず要らないかな......」。

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●なぜテレビはiPadを取り上げるのか?

 それにしても今回のiPad発売、テレビでもずいぶんたくさん取り上げられていたようですね。面白いなあと思ったのは「なぜマスコミ(の中の人)はiPadに興味を持つのか?」という点。Apple/Mac大好き、あるいはガジェット大好きという人がiPadに飛びつくのはすごくよく分かるのですが、特にそちらに興味があったり詳しいわけではない人がなぜiPadに興味津々なのか? その理由に興味があるなあと思ったのです。

 仮説として最初に思いついたのは「テレビの中の人はTwitterで情報収集しているためでは?」というものでした。TwitterはiPhoneユーザーの比率が高いことを考えれば、TwitterユーザーがiPadに強い興味を持つのは、当然のことですから(余談ですが、TwitterではiPhoneのキャリアであるソフトバンクや孫正義社長に対しては非常に好意的な意見が多いです。逆に、スマートフォン対応が遅いauに対しては辛辣な意見をよく見かけます)。

 次に考えたのは「TwitterとiPadは、携帯電話のリテラシーが高くないおじさんたち(特に本や新聞、雑誌などのテキスト好き)にも理解できる"未来"の具現化だったんだな」ということ。多分最近Twitterにハマった人たちは、iPhone+Twitterによって「外にいてもリアルタイムで知人と連絡がとれる楽しさ」を初めて知ったのだと思うのです。確かに私も、ケータイからmixiを使い始めたころやGPS対応の位置情報ゲームを始めたとき、「うおー、楽しい!!」とかなり病みつきになったので、気持ちはよく分かります。iPhoneやiPadで熱心にfoursquareのデモをしている方を見ると、「うんうん、3G+位置情報は楽しいよね!」と思いますし。


 

●1995年に見た"夢"が、いま甦る


 そしてiPad。iPad対応の雑誌コンテンツがいろいろ出てきて楽しそうですが、これらの雑誌のデモを見ていて思い出したのが、1995年頃のPC-AT業界(この言葉も死語ですが......)の「マルチメディア」ブーム。Windows95の登場によって「パソコンが誰にでも使えるものになった」結果、「PCでいろんなデータが扱える。動画を再生したり、音声を聞いたりできたら、今までの本や書籍はとてもリッチな"マルチメディア"なコンテンツになる」という夢が広がっていた時代があったのです。電子書籍への夢がWindowsの普及とともに開花した時代ともいえるかもしれません。(このあたりの話は、西田宗千佳氏『iPad VS. キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏』によくまとまっています。良著です、オススメ!)

 雑誌をめくるように美しいテキストと写真がスルスルと表示されたり、本体を傾けると動画の再生が始まったり。絵本を指でスライドするとアリスの首が伸びたり......iPadのデモはまさに、1995年ごろに一部の人たちがパソコンでやろうとしていた"マルチメディア"。「ああ、あのときの夢が、15年経ってようやく実現したんだ!」と思うと、最新のデバイスでとても懐かしいものを見ている気持ちになるのです。

 当時電子書籍に夢を見ていた人たちは、きっと今すごく盛り上がっているはず。あのころ思い描いていた「未来の本ってきっとこういうもの」という夢が、自分で買えるモノになって登場したのですから。

 なお、弊社でもiPad用アプリを提供中です。今のところITmediaの記事に混じって、一部、誠 Biz.IDの記事も読むことができます。詳細はこちらからどうぞ。今のところ、誠用のiPadアプリはないのですが、リクエストがたくさんあったら、将来リリースされる......かもしれません。当面、誠の記事をiPadで読む場合は、Safariでお楽しみいただければと思います。

※本エントリは、2010年6月1日に配信したメールマガジン「ビジネス通信 誠」の内容を抜粋したものです。メルマガの登録はこちらから→