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今さらですが...GIGAZINE求人記事に思う

今さらですが...GIGAZINE求人記事に思う

吉岡 綾乃

Business Media 誠で編集長をしています。本ブログ&Twitterでは、Webメディアや紙メディア、ネットビジネス、携帯電話、非接触ICなどについての話題が中心になる予定。


誠ブログの兄貴的存在、ITmediaオルタナティブ・ブログの「Special オルタナトーク」で、GIGAZINE山崎編集長の求人募集記事がお題になっていることに気づきました。もう1週間以上前の話ではあるのですが、オルタナブログでいろいろな立場の人がそれぞれに意見を言っているのを見て、「じゃあ私の感想も書いておこうかな」と思ったのでブログに残しておくことにします。

 みなさん、企業の社長だったり、ミュージシャンだったり、システムエンジニアだったりとそれぞれの立場から書いていらっしゃいます。(他にも本テーマに沿った記事はあるので、気になる方はチェックしてみてください)

 以下、Web媒体の編集長という意味でおそらく山崎さんに非常に近い立場にある私の感想です(8月3日配信のメルマガより転載しています)。Twitter用に短くまとめるなら「気持ちは分かります、でもそれ言っちゃダメですよー」というところですが、もうちょっと丁寧に書くならば、こんな感じでしょうか。

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 8月2日、GIGAZINEの山崎編集長が「【求人募集】GIGAZINEのために働いてくれる記者・編集を募集します」と題した長い文章を載せていました。朝からTwitterでもずいぶんこの記事に関するコメントを見かけましたし、はてなブックマークもかなり盛り上がっているので、ごらんになった方もいらっしゃるかもしれません。関連して、「GIGAZINEが書くべきだった求人募集のエントリー」(ブログ:院生兼務取締役の独り言)というブログ記事も人気を集めているようです。


 誠も記者が記事を書いて運営する商用Web媒体という意味では似た立ち位置ですので、共感するところもあり、興味深く読みました(GIGAZINE、10人もいたのか!という驚きを含め)。私は山崎氏やGIGAZINE編集部と直接面識がないので、以下はあくまでこの文章を読んだ一読者としての感想です。

●気持ちは分かる

 「ひとりひとりが媒体を支えているのだという自覚がある人が欲しい」「本当にその媒体で働きたいという人を採りたい」「記事を作るというのは自分自身の全能力が問われるものであり、自分自身の成長なくして良い記事は書けない」という思いは、私にもあります。というか、媒体の編集長であれば比較的当たり前に抱く思いだろうと思います。

でも、山崎氏と私とで大きく違うなと思ったのは"私は自分自身が苦もなくどのようなジャンルの記事でも書くことができたため、ほかの人間もやろうと思えば、仕事として(略)多種多様なものを生み出せるのだと信じ込んでいました"というくだりでした。山崎氏は多分、「自分ができることができる人」を求めていたのだと思います。でも部下の人たちは、自分とは能力もやる気も違った。ここが怒りの原点だったのだろうと想像します。


 おそらく、山崎氏は現場の記者としてとても優秀な人なのでしょう。現場で優秀な人ほど、マネジメントをする立場になったとき、この悩みに直面することが多い気がします。ただ私の場合は、記者としてもっと時間を使い、キャリアを積みたいという思いはありつつも(このあたりは誠に掲載した烏賀陽さんインタビューとまさに重なる部分です)、むしろ「自分にできないことができる人が欲しい」「自分と違うタイプの人に来てほしい」と思いながら人を採っていました。

 自分にある能力の人を増やしただけでは(現実にはまったく同じ能力の人が自分の部下になるということはないわけですが)、媒体は予想通りの成長しかしません。自分にない能力がある人と一緒に仕事をすることで、媒体は一皮むけるのではないかなと思います。1+1+1=10くらいになる感じといえばいいでしょうか......。実は誠も誠 Styleも最初は私一人で編集していたのですが、自分にない能力がある人に任せるようになって大きく変わりました。


●複数名で媒体を作る難しさ、面白さ

 ただ、そうなると直面するのが「媒体の軸がブレる」という問題。今回のGIGAZINE求人記事については「で、GIGAZINEの『志』って何なの?」という声がかなり上がっていました。誠も記者が増えてくるにつれて「(外から見て)誠って、何の媒体なんだか良く分からない」という耳の痛い意見をいただくことが増えています。1人でやっているうちはその人のカラーが媒体のカラーになるのでそうそう軸がぶれないのですが、関わる人が増えることによって、だんだん軸がわかりにくくなるのですね。このあたり、パッケージで見せることができ、特集などを打ち出すことによってカラーを押し出しやすい紙の雑誌に比べると、記事の1本1本が一人歩きしやすいWeb媒体の難しさだなあと身をもってひしひしと感じています。「誠の代表的な記事って何?」という答えが、読者によってバラバラなんですよね。

 そんなわけで、比較的似たような境遇にある者としては、今回のGIGAZINE求人記事はかなり興味深く読ませていただきました。ただ山崎さん、これがホントに求人広告だとしたら、GIGAZINEの記事として各社ポータルに記事フィードするのはちょっとズルいと思いますよ!(笑)


※本エントリは、8月3日に配信したメールマガジン「ビジネス通信 誠」より転載したものです。

※※その後、中の人?と思われるようなまとめエントリも登場しています。よかったら。

※※※結局、求人は非常にうまく行ったそうです→こちら