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顧客視点で見ると自社の強みが見えてくる「バリュープロポジション」を楽しみながら学べる本
本当は面白い、BtoBソフトウェアベンダー生活記
顧客視点で見ると自社の強みが見えてくる「バリュープロポジション」を楽しみながら学べる本
コラボリズム株式会社 代表取締役で文系プログラマー。超朝型へのスイッチで、仕事と家庭の両立を目指す二児の父。
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自分の会社やサービスは何が強みなのか?顧客にどんな価値を提供できるのか、という問いに対する答えは、当然のように分かりそうで実はなかなか難しいものです。
僕も自社開発した企業向けのソフトウェア製品を10年近く手がけていますが、その価値を納得のいく形で言葉にできるようになったのはつい最近の事だったりします。
Creative Teamwork / Aalto Creative Sustainability
自分なりには昔から自社サービスの価値を考え抜いてきたつもりでしたが、一言で表そうとするとどうしても納得のいかないものになってしまう。客観的に、でも真剣に製品を見てくれる他者の視点が入るようになって、ようやく道が開けてきた感じです。
製品やサービスを作る人には「この製品が絶対必要なんだ」という盲信と製品に対する愛情が必要ですが、評価の客観性というのは、こういう性質とはそもそも反するものな訳ですから、自分だけで自社サービスの価値を客観的に考えるのは難しい事なんですよね。
今回ご紹介する「戦略は一杯のコーヒーから学べ!」は、ITmediaオルタナティブ・ブロガーでもある永井孝尚さんの著書で、自社が提供できる価値を明確にし企業戦略に活かす「バリュー・プロポジション」の作成と活用の方法を、魅力的な登場人物とテンポの良いストーリー展開を通して楽しく学ばさせてくれます。
この本で僕が好きなのは、様々な紆余曲折を経て明確化されたバリュー・プロポジションを元に、新規プロジェクトに集められた個性的なメンバー達が製品設計を話しあうシーンです。
自社のサービスが「どうあるべきか」について、全てのメンバーが同じ場所に立って考える事ができるのもバリュー・プロポジションが明確となっているからこそですし、それを元に多くの人の得意分野や多様な考えが活かされ、新プロジェクトの課題を解決していく様は、読んでいて気持ちいい!
この物語自体は新プロジェクトの見事な成功で終わりますが、実際にはこれでバリュー・プロポジションの役割は終わるわけではなく、仮説の作成と検証、そして更なる仮説の作成というサイクルを繰り返しながら、バリュー・プロポジションを元にした戦略を洗練させていく事も必要でしょう。
また、本当に何もないところから新規事業の立ち上げを行うスタートアップにとっては、新規事業の始まりよりは、仮説と検証を繰り返しながら不安定な道を行く中で、道を踏み外して登ってはいないか?という事を常に確認するための「羅針盤」として、バリュー・プロポジションの存在が重要になってくるようにも思います。
あと目次のタイトルが興味を引くものになっていて、上手いなと思いました。
3杯目 マクドナルドがプレミアムローストで目指したもの
4杯目 「コーヒーの香り」を失ったスタバが考え続けたこと
などなど。こういう見出しを見ると読みたくなります。さすがです。