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アメリカの最新人材マネジメント事情

アメリカの最新人材マネジメント事情

クレイア・コンサルティング

人事・組織領域を専門とする経営コンサルティングファーム、クレイア・コンサルティングの広報・マーケティングチームです。

当ブログ「未来の人事を見てみよう」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/creiajp/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
本日のエントリは、アメリカ西海岸サンフランシスコにある人事コンサルティング会社、Bersin & Associatesの調査、Talentwatch researchより。今年上半期の速報値をお伝えします。

Talent Priorities in Today's Economic Environment: Leadership, Engagement, Quality of Hire
今日の経済環境におけるタレントマネジメントの優先順位: リーダーシップ、エンゲージメント、採用のクオリティ

本編は9月に出るようですが、速報値として出た今年上半期のアメリカにある300社を対象に行ったアンケートの集計結果です。
そのまま日本の経営環境や雇用環境に合うわけではありませんが、グローバルの人材マネジメントの背景を知る上で、有用なデータだと思います。

まず下表はImportance(重要性/優先順位)とPreparedness(準備状況)をまとめたもの。

tw2011.jpg

こうしてみると、

As the chart shows, employee engagement, retention, new hire quality, time to hire, leadership development, and first line management support are all "high important" problems today.

図が示すように、従業員のエンゲージメント、リテンション(会社に残ってもらうこと)、採用の質と時期、リーダーシップ開発、そして第一線にいるマネジメントの支援が全て"非常に重要"な課題となっている。

ほぼ全てな感じもしますが(笑)、グローバルを尊重する文化の醸成や人事の役割の再定義、多様性や福利厚生などは重要性は低いようです。

Bersin社ではフォードやボーイングといった会社ともディスカッションを行い、さらに5つのトレンドをまとめています。短く紹介していきましょう。

Job roles have become more specialized, creating the need for more specialized skills among new employees. We have entered the era of what we call "The Borderless Workplace" - companies which work together in a highly networked way.

仕事の役割がより専門特化され、新たな社員にはより専門特化したスキルが必要となってきた。我々はいわば"ボーダレス=ワークプレイス(境界無き職場)"の時代―より高度にネットワーク化された環境で共に働く会社形態―に突入したといえる。

これにより、例えばITや顧客サービス、営業といった職種の専門性がこれまでになく増しており、かつ長期にわたってそのスキルを磨いた人のほうが、頻繁に異動をする人よりもより高い生産性を示すようになってきているようです。
ジョブホッパーや社内ローテーションで生み出されるジェネラリストは、今まで以上に海外においては通用しなくなる危険性が高いですね。


Workforce skills are atrophying. In general (and this is hard to generalize of course), we have a global workforce which is getting younger and less educated.

人材のスキルが衰退している。一般的に言って(当然一般化は困難なのだが)、今やグローバル人材はより若くなり、より教育を受けなくなってきている。

アメリカでは不況の影響で能力のある人がまだ転職市場に出回っているものの、インドや中国においては人材の需要が高くて供給が追いつかず、企業に入社した後もスキルを補修で身に付けさせないといけないという事態も生まれてきているようです。
このあたりも、仕事に必要なスキルは入社前の高等教育等で習熟しておくべきと考えるアメリカと日本との差が浮き彫りになります。


The job market has become highly networked (thanks to social networking) so companies are now experiencing significant "resume overload." This means that not only are jobs more specialized, but companies are getting more candidates for each position!

就職/転職市場が(ソーシャルネットワークのおかげで)よりハイレベルでネットワーク化されたために、企業がかなりの"応募書類のオーバーロード(過重)状態"を経験する羽目に陥っている。これは仕事が専門特化したことを意味するだけでなく、それぞれのポジションに対してより多くの求職者が詰め掛けたことを示している。


その結果、"本当に優秀な人材(high quality talent)を見つけ出すのに大きなボトルネックが発生している状況だということです。これを解決するには、素晴らしい採用ブランド(incredible employment brand)の形成や高品質のアセスメント戦略(high quality assessment strategies)の適用などが必要とのこと。


Employee engagement is now a top priority. This is because the economy is growing (35% of organizations state that they are expanding into new markets and 25% say that their top issue is the launch of new products) so companies want to keep their best people.

社員のエンゲージメントが今一番の優先事項だ。これは経済が成長し始めたことに起因しており(調査対象組織の35%が新しいマーケットへ拡張するとしており、25%が最大の課題は新製品の立ち上げと話している)、企業は最上の人材に居続けて欲しいと願っている。


先の不況でも生き残った社員は逆に今燃え尽きて(burned out)しまっており、新たなポジションを物色しているのだそう。サンフランシスコ界隈ではドットコムバブル崩壊直前の2000年並に求職市場が熱くなっているようです。


Leadership skills and pipelines are weak. Finally, as our 21st Century Leadership development research points out, leaders today have to "re-learn" leadership.

リーダーシップのスキルと育成ルートが弱い。21世紀のリーダーシップ開発調査が示しているように、まさに今日のリーダーはリーダーシップを"学びなおす"必要がある。


今や10年前に必要と言われたリーダーの資質は大きく変わっているといいます。


Today's leaders must be highly collaborative, network savvy, emotionally intelligent, ready to move fast, and ready to drive innovation and creativity.

今日のリーダーは極めてコラボレーティブ(協力的)で、ネットワーキングに造詣が深く、高いEQを持ち、機敏に動く準備を怠らず、イノベーションやクリエイティビティを推進する気構えが出来ている必要がある。


特に最後のリーダーシップの部分については、日本においても適合する部分が多いように感じました。貴社のリーダーシップ開発のプログラムは、何年も内容を変えずに行われていたりしていないでしょうか?

であれば、今後を見据えて見直していくことが必要かもしれません。これは個人レベルでも同様ですね。

お読みいただきありがとうございました!




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