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講演会・勉強会などを準備するための注意事項

講演会・勉強会などを準備するための注意事項

開米 瑞浩

IT技術者経験をバックグラウンドに、技術系の専門的な情報を「分かりやすく書く」スキルの指導を得意とするドキュメント・コンサルタント。技術者向け文書作成研修経験多数。

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技術屋のためのドキュメント相談所・所長の開米です。

昨日のことですが、こんなページが目にとまって、確かにそうだよなあ、と思いました。

講演資料作成にあたって、心がけている10のこと:『ビジネス2.0』の視点:
http://blogs.itmedia.co.jp/business20/2014/07/post-4822.html

これは「講演会」に限らず、たとえば「今年の新入社員に君の部署の仕事を説明してやってくれる?」と頼まれたときなど、社内でのちょっとした説明会、勉強会で話をするときにも共通することなので、わりと広く役に立ちそうな話です。

実をいうと私にも思い当たることがありましたので、私のほうではちょっと別なまとめ方で「講演会を準備するための注意事項」を書いてみることにします。

まず、講演会などをするための準備作業は大まかに3つの段階に分けられますね。

2014-0723-1.PNG

例を挙げるとこんな感じです。以下、新入社員向けの研修を担当する人事部A氏と、事業部門の責任者B氏の話と思って読んでください。

【前提確認】
人事A:Bさん、あなたの事業部の業務内容についての説明会やってくれませんか
事業B:ああ、いいですよ。相手はどんな人達ですか?
人事A:来年の新入社員にです。
事業B:じゃあ人数は100人ぐらいですか。時間は?
人事A:予定通りなら110人ですね。時間は2時間ぐらいで。どの事業部に配属されるにしても、Bさんの事業部について知っておいて欲しいことが伝わるようにお願いします。

【企画】
事業B:来年の新入社員か。じゃあ、「○○について知ってもらう」ことをテーマにしよう。それには・・・あれとあれとあの話をつなげてすればいいな。タイトルはどうしようか・・・

【製作】
事業B:この話をしようとすると写真が欲しいな。現場で写真撮ってこよう。ちょっと3ページ目は盛り込みすぎかな。2枚に分けるか。6ページ目には以前作った資料が使えるはず。最後にまとめを入れて、それから全体の相関図もあるといいよな。

と、こんな感じですが、イメージつかめますか?

「前提確認」の基本要素は、「誰が(主催者)、誰に(対象者)、何のために(達成目標)」です。この場合はそれぞれ「人事部」「新入社員」「事業部について知ってもらうこと」です。
この3つが「前提確認」の基本要素ですが、このほかに制約条件がいろいろつくのが普通です。たとえば「人数は100人超」「○○の話題は避けて」などですね。

その上で、「企画」を立てます。企画で重要なのはコンセプト、タイトル、ストーリーです。「○○について知ってもらう」のようにテーマをひとつに絞り込んで表現したものが「コンセプト」、その上で対象者の興味を引くようにつけるのが「タイトル」、そのコンセプトを踏まえたおおまかな構成が「ストーリー」です。

ちなみに、「前提確認」段階までひっくるめて「企画」と呼ぶ場合もありますし、「ストーリー」を「製作」に含めている場合もありますね。

「製作」は具体的な内容を作る作業です。資料を集めたりグラフを書いたり写真を撮ったりトークスクリプトを書いたりします。複雑な話の場合は「相関図」と「まとめ」を用意することが望ましいですね。

ということです。以上を一枚で書くとこんなイメージです。

2014-0723-2.PNG

「製作」の中の「エレメント」というのは、たとえば100ページの資料を作るならその1枚1枚が「エレメント」です。要は個別の枝葉の部分ということです。

よくあるのが、「企画をおろそかにして、いきなりエレメントの製作に熱中している」というケース。プレゼンだからといってすぐにパワーポイントなどを開いて打ち込み始めるとこういうことをやりがちなので、「企画段階でパワポは使うな!」と指導するコンサルタントもいるぐらいです。

以上、とりとめありませんが何かの参考になれば幸いです。


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