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新入社員の心をつかむ「経験談」
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新入社員が配属になるまで、もうしばらく研修が続くところもあるでしょう。この期間は、会社のビジネスの全体像や実業務に必要な基礎知識や技術を身につける時期。
本ブログをご覧いただいている上司や先輩の中には、業務紹介や知識・技術研修の講師として活躍されている方もいらっしゃることでしょう。
そこで今回は、新入社員に向けて話をするための、準備にお役立ていただけるポイントをご紹介いたします。
◆新入社員時代の「気持ち」
新入社員時代、どんなことが楽しく、どんなことが辛かったでしょうか?
私の場合は、入社直後は毎日楽しく、新鮮でした。うまくやっていけそうな同期入社の仲間にも恵まれ、「研修」は学生時代の勉強とは異なり仕事に直結すること。
勉強しながらお給料を貰えるなんて!というぐらい、ワクワクしていました。
しかし、入社3週間目頃から段々自信が薄れてきました。日々学ぶ生命保険販売に必要な資格取得の知識は膨大で、事業部が期待する目標は「満点必達」。
自宅から、満員の通勤電車を乗り継ぎ通うこと、約1時間半。生活習慣が変わり、徐々に疲れも溜まってきます。
そのうちに、「事業部が期待する満点なんて、まず無理ではないか。それ以前に、自分はこの試験に合格できるだろうか」、「合格できたとしても、本当にご契約がいただけるだろうか」といった心配が、次から次へと沸いてくるようになりました。
振り返ると、4月半ば~試験に合格が出来るまでは、楽しいことよりも、不安の方が大きくなっていました。
さてそれでは、最近の新入社員世代はどうでしょうか?
彼らの傾向を知るために、ある調査を実施したことがあります。
その調査は「新入社員のモチベーション」についてのものです。
調査内容は、入社時~1年目終了までの期間の、モチベーションの高低とその理由です。調査対象は新入社員で、業種・業態の異なる企業5社(調査対象人数、150人~200人/年)にご協力をいただき、数年にわたって調査しました。
その結果、新入社員のモチベーションは、大まかではありますが、以下の図のような傾向があることがわかりました。
入社時:モチベーションは高め。しかし、生活環境と人間関係に慣れること、覚えることが多く、心身ともにオーバーフロー気味。周りが自分より優秀そうに見えることも不安材料になる時期。
5月頃:GWでゆっくりしたのも束の間、また覚えることの多い生活へ。少々疲労が出てくる。人によっては、GWで実家に戻り久しぶりに安心感を持ったことから、ホームシック気味になる人もいる時期。
6月頃:環境に慣れ、自分の成長を感じ、少し自信がつく時期。
9月頃:夏の暑さで疲労が溜まり、やや元気が出にくい時期。夏の間に学生時代からの恋愛関係に変化がある人も。
10月頃:仕事を任されること、認められることも出てきて、仕事が楽しくなりつつある時期。
11月~2月頃:仕事内容や人間関係などで、モチベーションが変化しやすい時期。
3月頃:2年目を迎えることで、先輩としての自覚が芽生え始める時期。
また、最近の調査では、就職支援のマイナビが、2013年7月に「入社3ヵ月後調査」を実施しています。その中でも、次の項目が新入社員の様子を顕著に捉えています。
「社会人になってどう感じましたか?」については、「想像していたよりも難しかった」、「想像していた通り難しかった」と約7割が回答しています。また、その理由として「能力・スキル不足を実感」が77.1%と群を抜いて多くなっています。
このことから、そつなくこなしているように見える新入社員も、表に出ていないだけで、内面は「大変さ」を感じているようです。そう考えると、私が新入社員だった頃に感じていたことと、それほど大きく変わっていないのかもしれません。
◆不安が軽くなったとき
話を、私の新人時代に戻します。
販売員の資格取得の試験が近づき、模擬試験の結果がイマイチで、焦りと不安が増した5月半ば頃、知識研修の合間に設けられた15分ほどの時間で「先輩の経験」を聞く機会がありました。
その日は、自分たち新人とそう変わらない年齢の、ふわっとした印象の先輩社員が登壇し、話をしてくれました。
その先輩は、とてもゆっくり、おっとりとした口調で話し始めました。
「皆さん、本当に自分がやっていけるのか、不安じゃないですかぁ?
試験勉強大変だし、試験に受かれば、その後契約を取らなきゃいけないし。
私も、皆さんと同じ時期、本当に不安でした。
でも、大丈夫。試験は何とかなります。みんなやってきてるので、本当に大丈夫です。
あと、契約も大丈夫。私の場合は、トレーナーに手取り足取りしてもらえたおかげで、何とかなりました。
だから、自分がだめだと思っても、周りの人たちが助けてくれるので、大丈夫です。
何とかなります」
研修期間は3ヶ月間あり、多くの上司や先輩が話をしてくれましたが、この先輩の話しが、今でもそのときの光景が目に浮かぶほど、私の中では印象に残っています。
印象に残った理由は、「大丈夫」と言ってもらえたことと、大丈夫である理由として「周りの人が助けてくれる」ことがわかり、安心できたからかもしれません。
◆心をつかむ「経験談」
以上のことから、私はその時々の新入社員の気持ちの状態を捉えた話をすることは、非常に大事だと考えています。直接新人の様子を知ることが出来れば一番良いですが、知ることが出来なくても問題ありません。自分の経験を振り返ることや、周囲や入社2~3年目のメンバーの、新人時代の話をヒアリングします。
その上で話の準備をします。どんな不安や悩みを自分や周囲(2~3年目のメンバーのヒアリング内容)が持っていたか、それをどのように解消したかを伝えると効果的です。
伝え方は人それぞれで十分ですが、手順があったほうが話しやすい人のために、手順をご紹介いたします。手順は、「Before→Turning Point→After」という、色々な場面で活用できる話法です。
その話法を、次のような内容に落とし込みます。
Before:不安や悩み事がある状態とその内容
Turning Point:その問題を解消するきっかけとなった出来事や、解消するための方法
After:その結果得られたもの
このようなご自身の経験談を知識や技術の指導と合わせて、ほんの2~3分伝えるだけで、メンバーの表情が明るくなったり、講義後に質問する人が増えるなど、新入社員の様子や主体性に変化が現れます。よろしければ、試してみてください。
◆「経験談」は苦手・・・という方へ
実は私も経験談が苦手でした。その理由は2つありました。1つは、時間的制約がある中で、経験談を話すよりは、知識や情報を1つでも多く伝えたほうが良いと考えていたからです。もう1つは、経験談は、何か大きなコトを成し遂げた人がするもので、自分程度の人間が話すことではないと考えていたからです。
しかしここ数年、新入社員のフォローアップ研修などで接する新人の皆さんや、30代前後の社員と接するうちに、その考えを変えたほうが効果が高いと感じるようになりました。
その理由は、次回詳しくご紹介いたします。
【参考記事】
2013年7月25日発表
2013年マイナビ新入社員意識調査~3ヵ月後の現状~
http://www.mynavi.jp/news/2013/07/sinnyusyain.html
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