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昭和の上司に学ぶ『根回し』に、研修効果を高める秘訣あり
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上司「○○君、今日いないけど、どうしたの?」、部下「えっ、昨日、研修に行くって言ってなかったでしたっけ?」、上司「あー、そうだった。この忙しい時に研修か・・・」部下「・・・」。今日は、研修を担当する方や、プロジェクトの推進に当たる方で、"イマイチメンバーの参画意識が高まらない"と感じているときに、"参画意識を高めるヒント"をご紹介します。
研修に行くのは後ろめたい・・・
ある会社での研修が終わった後、いつも講師がいう一言。「砂漠に水を撒いているような・・・」この言葉は、研修終了後、ご提供した内容に満足していただいても、戻った後に、"あまり活かしてもらえないんだろうな~"と感じて、講師に虚無感があるときに湧き出てくる言葉です。
しかしその研修は、研修終了後に講師へ拍手が沸き起こることも頻繁にあり、参加者も"学んだことを活かしたい"と口々に言って職場に戻っていきます。また、実施後1週間してから取るアンケートも、毎回高評価。合わせて、研修を企画する担当者も大変気に入っているようです。普通に考えれば、何の問題もない研修です。しかし、講師は虚無感。
"もっと、参加する人達が目的意識を持って参加し、仕事の役に立つ場にしたい"と常日頃から考えているため、講師としては、"まだまだ"という気持ちが強くあるようです。
もちろん毎回、講師側ができる努力として、内容をブラッシュアップしています。
そうした気持ちを背景に、講師は毎回、参加する人と信頼関係ができた頃に、"どうしたらもっと役に立つことができるか"を聞いています。すると、聞けば聞くほど、講師の努力だけではどうにもならないこともあることがわかってきました。そこで、4年目を迎える今年、内容の見直しを含めた打ち合わせを実施することに。
その打ち合わせで担当者が、参加者の気持ちに立って出てきた本音。それが冒頭の、上司と部下のやりとり。
どうも"研修に行くのは、後ろめたい・・・"という雰囲気が職場に漂っているということ。
また参加する側も、業務の負荷が増しているので、研修から戻った後の仕事の量を考えると、得るモノ<負担の増大という図式が頭をよぎり、研修=心理的負担となっているようです。
この状況では、目的意識を持って参加する以前の問題として、"集中できていない"という問題があることが、お互いに理解できました。
後ろめたさは変えられない
さて、このような場合、上司が無意識に発している"研修=時間の無駄"的発言を、止めさせられるかというと、それは無理です。また、参加者が感じる"研修<心理的負担の増大"も、その気持ちを変えることは、無理でしょう。
さて、こうした場合にすることは何か?
"現場に話を聞きに行く"
ことです。
特に、上司に話を聞きに行くことです。聞く内容は、オフレコを前提に参考意見として、例えば
・(対象となっている研修の)参加するメンバーに期待していることは何か?
・メンバーを育成する上で困っていることはないか?
・人材育成側で支援できることはないか?
ということ。その際に、
"できるだけ、現場の負担を軽くしたい。そのために、できることは工夫していきたい"というこちら側の意向を伝えます。
すると、研修に対する認識が変わり、上司側も、送りだす心の準備ができます。上司側の理解が進めば、いない時の業務の割り振りを見直してくれたり、電話連絡等の配慮もしてもらいやすくなります。
参加する側も、集中しやすい環境で、取り組めるようになるのです。
全ての上司に聞きに行くことは出来なくても、部下の人数が多い上司だけでもコミュニケーションを取っておくことは非常に有効です。
昭和の上司
この方法は、昭和の時代に、上司同士がとっていたコミュニケーションをヒントにしています。
昭和の時代は、モノゴトを進める前に、関係する人達に、あらかじめ手を打っておく『根回し』がよくありました。
会議や打ち合わせなど、ゼロベースから建設的な意見を積み上げる場で、集まる前からあらかた結論が出るような持っていき方のイメージが強いため、あまりよい印象がない言葉かもしれません。
しかし、それとは別に私が評価したいのは、自分の想いや考えを率直に伝える、ダイレクトコミュニケーションとして、活用される場面があったことです。
昔の上司は、次のようなやり取りをよくしていました。
上司A「今度、○○という研修を、○○という目的でやるんだけど、お宅の課の○○君に出てもらうことになってるんだよ。いつぐらいにあるからさ、悪いんだけど、都合合わせてやってくれな。」
上司B「あー、わかったよ。毎年やってるあれだろ?わかった都合つけとくよ。あの研修さ、去年行った奴から聞いたら、"ちょっとうちの会社のこういうところには合わない"って感じたようだったぞ。その辺は、講師の先生に伝えられるのか?」
上司A「あー、確かにそんなアンケートがあったな。わかった。もう1回確認して、打ち合わせとくよ。ありがとな。」
上司B「"がっつり揉まれて来い"っていっとくよ。先生にもよろしく伝えてくれな」
こんな連絡を、職場が近ければ、ちょっと行って話してくる。遠ければ、電話連絡で。20人の参加者が居れば、上司全員に連絡していました。
事前のダイレクトな連絡を、社内通知を出す前に、地道に積み重ねていたのです。
知っておきたいのは、地道なコミュニケーションを積み重ねる風土のあった組織の多くが、大企業へと発展したことです。今では、発展した企業の中に、そうした地道さが残っている組織が少ないのがとても残念ですが・・・。発展した時代の日本の組織から学べることは、多いように感じています。
研修やプロジェクトのメンバーの参画意識が高まらない時、改善するための着眼点として、『根回し』活用してみてください。
なお、現在の組織で、全ての上司にコミュニケーションをとることができない場合でも、参画意識を高める方法は他にも色々あります。そうした、現場ですぐに使えるヒント満載で情報提供するのが、『人材育成担当者ワークショップ』です。
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■ファシリテーター:研修・プログラム構築アドバイザー
(株)マイルストーン 代表取締役 水野浩志 氏
http://sp.m-stn.com/info_profile/index.html
Six Stars Consultingパートナーコンサルタント