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震災から1年(後編)~リーダーは「想像力」と「創造力」で道を開こう!~

震災から1年(後編)~リーダーは「想像力」と「創造力」で道を開こう!~

原田 由美子

HRD(人材育成)サービスを提供するコンサルティング会社の代表です。

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今年のお正月のこと。家族でおせち料理を食べながらくつろいでいると、ガタガタガタッと大きな揺れを感じました。2012年1月1日14:28。鳥島近海でM7.0の地震です。この地震は、北海道から四国までかなり広範囲に揺れました。更に、2月中旬。ゴォー、ドドドド・・・といった山梨県を中心とした地震で横浜も複数回の揺れを感じました。そして3月に入り、ユラ~ユラ~っと建物がしなり、回転するように揺れる東北地方を震源とする地震。その数時間後に、ガタガタっと揺れる千葉を震源とした地震。

規模もタイプも違う地震に何度も見舞われ、その度に「首都直下型地震」や「東海・東南海・南海連動地震」といった、メディアで取り上げている被災規模の大きな地震が頭をよぎります。また、地震以外の災害も増えています。

ここ1年、気が休まる感じがしていないのは、私だけでしょうか?

そのような状況下、リーダーはどのようなことに取り組むことが有効か、最近の私の考えをお伝えします。 

「マズローの欲求段階説」を元に考えてみた

下図は、「マズローの欲求段階説」と言われるものです。この図の意図することは、次のようなことです。

人間は満たされない欲求があると、それを充足しようと行動(欲求満足化行動)するとした。その上で、欲求には優先度があり、低次の欲求が充足されると、より高次の欲求へと段階的に移行するものとした。例えば、ある人が高次の欲求の段階にいたとしても、例えば病気になるなどして低次の欲求が満たされなくなると、一時的に段階を降りてその欲求の回復に向かい、その欲求が満たされると、再び元に居た欲求の段階に戻る。このように、段階は一方通行ではなく、双方向に行き来するものである。また、最高次の自己実現欲求のみ、一度充足したとしてもより強く充足させようと志向し、行動するとした。(ウィキペディアより引用)

さて、図とウィキペディアの解説をふまえ、今の日本の状況を客観的に見ると、多くの地域で無意識のうちに身の危険を感じ、「生理的(生存)欲求」も、「安心・安全の欲求」も「満たされにくいのでは?」と考えました。

マズローの欲求段階説.GIFもしそうだとすると、まずは「生理的(生存)欲求」と「安心・安全の欲求」の充足度を確認する必要があります。そこで取り組みたいのは、自分の身の周りの人(家族、仕事仲間、友達)に不安や心配を抱えていないか、話を聞くことです。

日本人は、自分の不安や心配を口にすることを、タブー視する傾向があります。まして、1人の人が多くの仕事を抱える今、仕事以外の話をするゆとりは組織にはありません。(もしかしたら、家庭でも話をするゆとりはないかもしれませんね)すると、不安や心配が溜まったまま、仕事にあたっていることになります。

不安や心配が溜まったまま仕事にあたっていると、どのようなことが起きるか。多くの場合は、ミスが頻発したり、ちょっとしたことでイライラしたり、そのイライラが元で人間関係がギクシャクします。或いは、何となく組織のムードが沈滞し、組織に元気が無くなります。もし、このような兆候が感じられれば、仕事以外の会話が必要なタイミングです。

ちょっとした不安や心配を口にできる場をつくろう!

私の場合もともとストレス耐性がないので、不安や心配事があると、「ちょっとだけ聞いてもらえますか?」と言って、周囲の人に聞いてもらうようにしています。

例えば昨年の夏ごろ、毎日夜中の2時ごろに目が覚めることが続きました。その時に「最近夜中に目が覚めることが続いてて・・・」と話をしてみたところ、「私もそう!で、メンタルの先生に聞いたら、そのまま眠れないのはまずいけれども、その後で眠れるようなら気にしなくて大丈夫って言われたよ。起きた後、すぐに眠れる?」という会話になり、(自分だけかと思っていたら、自分以外の人も同じようなことがあるんだな)と、ほっとしたことがありました。

誰かに聞いてもらったことで安心したのか、それからは夜、目が覚めることもなくなっています。

この時に思ったのは、「誰かに話してみるものだな」ということでした。

ここで必要なのは、話し手の気持ちに寄り添って話を聞く姿勢と、共感を示すことです。反対に、してはいけないのは「病院に行った方がいいよ」「それって大丈夫なの?」といった、課題解決や、話し手の不安を更に深める会話です。

あくまで、「そういうことあるよね」、「そういうことが不安(心配、困っている)なんだね」と、話し手の言葉をいったん受けとめることです。もし、本当にどう考えても病院に行く必要がありそうだと感じられた場合は、「一緒に病院行ってあげようか?」というような、不安を軽減する伝え方をします。

結果は後からついてくる

不安や心配を理解し、その軽減に努める。或いは、多くの人が感じている共通の不安や心配の場合、その元を解決(例えば、震災に対する不安が多ければ、自分が帰宅できない時の家族の身の安全の確保などを含めた緊急時の対応などに、1つ1つ具体的に取り組んでいくなど)していけば、今やるべきことに集中できるようになります。

集中できるようになれば、本来やるべき仕事の効率や質が高まります。また、このような不安定な時期だからこそ見えてくる、新たな仕事のテーマに気づくこともあるでしょう。

まずは、自分自身を含め、家族、仕事仲間、友達など身のまわりの人が、不安や心配、困っていることがないか、心の声に耳を傾けてみる。誰でもできる基本的なことが、大事なタイミングだと思うのです。