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なぜ新入社員は反応が薄いのか?
当ブログ「ひといくNow! -人材育成の今とこれから-」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/harada6stars/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
あと1週間ちょっとで4月。そのせいか、最近、新入社員の育成に関連するブログのアクセスが増えているようです。そこで今回は、新入社員について育成現場で感じていることともに、指導上のヒントをお伝えします。(継続して書いている記事がありますが、しばらくブログが更新できなかったので別の機会に書きます。ご容赦ください)
平成24年度入社社員の傾向から
毎年12月~3月は、前年に入社した新入社員のフォローアップ研修を多くの企業で実施します。弊社でも、東京商工会議所様で開催している公開講座(複数の企業から参加者を募り実施するセミナー)と、各企業ごとで実施する研修を担当しています。
そのような場面で新入社員世代と接していて感じるのは、本当に素直で真面目だということです。
彼らの良い面をあげると、学んだことはすぐに取り組みます。例えば、発表の場面で一人の人にアドバイスすると、次の人はそのアドバイスを活かして取り組むことができます。理解力と対応力が高いのが特徴です。
その一方で、平成24年入社社員を「指導する側」からは次のようなことを「課題」とする声が多く聞かれました。
それは、
1.反応が薄い
2.自分から関わってこない(受け身である)
3.立ち直りが遅い
ということです。
今回は「反応が薄い」ことについて、ご紹介します。
新入社員の「反応が薄い」とはどういうことか?
研修を担当する講師や、上司・先輩が職場で業務を教える時に、やりづらさを感じるのは、新入社員の反応が薄い時です。例えばどんな時に反応が薄いと感じるかと言うと、
研修場面:講義を聞いている様子はあるものの、表情や態度がほとんど変わらないため、理解ができているのか、理解ができていないのかが全くわからない。
現場指導場面:質問や確認がないので、理解ができているものと思い、しばらく経って様子を見ると、途中でつまずいたままじっとしている。
こんな状態を指します。
実際に私がフォローアップ研修を担当した時のメンバーも無反応でした。
しかもそれは1回だけでなく、複数の会社で似たような反応です。
どのような様子かと言うと、姿勢よく前を向いて話を聞いてくれてはいるものの、無表情。体勢も変わらない。本当に話を聞いてくれているのか様子が掴めない状態でした。
正直言って「のれんに腕押し」で、研修スタート時から疲れを感じるほどでした。
しかし、このままと言う訳にはいきません。
それではこのような時に、どうすれば良いでしょうか?
例えば、私の場合は次のように取り組んでみました。
研修開始後、一通り話を終えたところで、簡単な指示をし反応を見ました。すると、すぐに指示通り動けることから、「聞きながら理解している」ということはわかりました。
そのことから、「彼らは反応の仕方がわからないのかも」と考えてみました。
そこで彼らに、「人の話を一生懸命聞こうとすればするほど、うなずくとか、メモを取るとか、首をかしげるとか、反応するのを忘れてしまうようです。反応をしていないという自覚はありますか?」ときいてみました。
すると、彼らは(そんなこと初めて言われた)というように少し驚いた表情を浮かべ、そこから表情が和らぎました。
そして、「恥ずかしいかもしれないけれども、これから、反応してみてもらえますか?自分でできる範囲で構わないので」と伝えると、彼らは、首を縦に振り(うんうん)というしぐさをしました。そして、「では、やってみてもらえる?できる人は「はいっ」って言ってみて」と言うと、声を揃えて「はい」と返してくれました。
反応できるようになれば、反応してくれるたびに、「ありがとう」や「いいリアクションだね」とか、「その反応待ってたよ」などと伝えると、場はどんどん活性化します。
このことから、新入社員の反応が薄いのは「身体で表現するリアクションの仕方を知らない」ということが根底にあると考えるようになりました。
なぜリアクションが薄いのか?
私は、新入社員世代の育ってきた環境に要因があると考えています。というのは、彼らの主なコミュニケーションツールが、携帯メールやSNSだったからです。携帯メールやSNSでのリアクションは、相手が書き込む文字を見て、自分の頭の中で考えて、文字に変換し、送信すれば完結します。自分の表情や姿勢を変える必要はないのです。
恐らく、いいリアクションをしようとすればするほど、頭の中をフル回転させ、表情は真顔になるでしょう。
パソコンに向かっている時、電車の中でモバイルツールを見ている時などの人の姿を思い浮かべると、わかりやすいかもしれません。
新入社員研修やOJT期間で訓練しておくこと
以上のことから、今の新入社員世代の多くは、対人場面における反応の仕方を知らない、或いは、訓練の機会がなかった可能性が考えられます。
そこで、新入社員の育成期間では「リアクションの仕方」を訓練の1つに取り入れてみてはいかがでしょうか?
訓練の仕方は簡単です。うなずき、手を挙げる、メモを取るなど、比較的簡単なリアクションの仕方をまずは練習させます。
その上で、研修や指導の場面で良いリアクションを取ってもらえたら、そのリアクションに対して好意的なフィードバックを返すことです。
「ありがとう」、「いい視点だね」、「いい質問だね」、「よく気づいたね」、「ナイスリアクション!」、「グッドタイミング!!」などなんでもかまいません。
こちらが、相手のリアクションを受けとめてフィードバックする。それを繰り返しておくだけです。
それができれば、彼らも習慣として身に付き、自然と反応できるようになることでしょう。
新入社員や若手社員の「反応が薄いな」とお感じになることがあったら、試してみてください。
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