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東大生と『7つの習慣』

東大生と『7つの習慣』

原田 由美子

HRD(人材育成)サービスを提供するコンサルティング会社の代表です。

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夏休みもあとわずか。私が住む地域は、今日(8月27日)は登校日だったようで、大きな袋に宿題を抱えた子供たちが学校に向かっていきました。その姿を微笑ましく見ながら、自分の子供の頃を思い出していました。

子供の頃の自分を今の自分の視点で見ると、"残念な子供"でした。そこそこ色んなことが器用にこなせてしまうので、勉強、スポーツ、音楽も、同じクラスの大多数よりもちょっと出来るようになると安心してしまい、それ以上取り組むことはありませんでした。そのため、色んなことがその場限り。身に付くことなく終わり、今に至っています。

そして社会に入り、才能あふれる大人たちに囲まれるようになり、自分とのあまりの違いにショックを受け落ち込みました。"自分は、あの人達と違うんだ・・・"と思っていました。無意識でしたが、そんな風に感じて過ごした時間はかなり長かったように思います。

と、思いこんでいたある日、才能あふれる人たちと一緒に仕事をしていると、"あれ?"と、思う出来事を経験します。

例えばその人たちと私が、今まで全く経験のないことに同時に取り組んだとします。すると彼らは、何だか不器用な感じです。その時点では、私の方が上手く出来ています。しかし・・・しばらく時間が経つと、彼らは見違えるほど上達しているんですね。同じ時期にスタートしているのに、大きな差が生まれる。やはり才能がある人は違うのでしょうか?

"才能がある人は違うのか?"と考えていた頃、私が大変お世話になっている方から面白いお話をお聞きしました。その方は、東京大学在学中に野球部に所属されていました。卒業後の本業は弁護士ですが、野球の経験があることがきっかけで、高校、大学、社会人野球の審判員を長年つとめられていました。(現在は審判員の育成にあたられています)その方に"名選手・名監督に学ぶリーダーシップ"というテーマで講演をお願いした際に、面白いエピソードを聞かせていただきました。以下はその講演の議事録からご紹介します。

名選手は自分の能力を信じきって練習する

 名選手は自分の能力を信じきって練習をしています。名選手は非常によく練習をしますが、その練習の仕方が「俺は練習すれば絶対に上手くなる」と信じきって練習をしている。そういうところがあるような気がします。そういうと皆さんは、桑田だ、清原だ、松坂だ、というような選手だから、そうだろうとおっしゃると思いますが、ところが必ずしもそうではないのです。

 ぼくの東大時代の1年後輩にK君という選手がいました。当時、東京大学の野球部は、新入部員のうち正式に硬式野球をやったことがある人が5名ぐらいという大変なチームなんです。彼は高校時代柔道をしていて野球のことは全然知らない。フライがあれば顔で受けてしまうし、球はバットには当たらない。けれど全然めげていない。「大丈夫」、「大丈夫」と言って、ひたすら練習を重ね4年の時には3割を打つバッターになった。

 皆さんご存知だと思いますが、東大が戦わなくてはならない相手チームは、競合ぞろいです。その中で3割は凄い結果です。そのようなことから考えても、自分の能力を信じきって取り組んだK君は名選手だったのだろうと思います。

(引用了)

私はそのエピソードを伺ってから、"練習"という視点で、才能ある人たちを見るようになりました。すると、なるほど!その通りだったのです。彼らは、とにかく"練習"します。ビジネスにおいて、"練習"という言葉が適切でなければ"場数"をこなします。それも、最初はとてつもなく下手です。それも驚くほどです。けれども、とにかく"場数"をこなしていくのです。

"場数"をこなしていくうちに、彼らは"才能ある人"に成長を遂げていくのです。

その際に、表面的にはわかりませんが、同時に次の事を行っていると思います。"練習(または場数)"+αです。+αについて、『7つの習慣』の次のような記載があります。

『7つの習慣』第二の習慣 (ニ)イメージ化と自己宣言

 チャールズ・ガーフィールド博士は、スポーツや企業で大きな功績を残した人たちを広く調査研究してきた。NASA(米国航空宇宙局)での仕事を通して、彼はこの分野に興味を抱いた。宇宙飛行士たちは、実際に宇宙に行く前にありとあらゆる状況を想定し、地球上で何度もシミュレーションを繰り返す。そのシミュレーションの効果に興味を持った博士は、数学の博士号をすでに取得していたにも関わらず、心理学の博士号をとるために大学に戻り、著しく好業績を上げている人間を研究しはじめた。

 彼の大きな研究成果のひとつは、世界のトップ・クラスの選手やその他の分野で際立った成功を収めている人のほとんどが、イメージ・トレーニングを行っているという事実を発見したことであった。実際に物事にとりかかる前に、彼らはそれを見て、感じて、経験していた。つまり、彼らは「目的を持って始めている」のだった。

 これは、人生のあらゆる側面において適応できることである。演奏、セールス・プレゼンテーション、人間関係の問題解決、目標達成などについて、前もってその場面を明確に、そして鮮明に繰り返し心の中に描いておく。自分の中で自然だと感じる領域を広げておく。そうすれば、その状況に実際に直面したときに、違和感がなく恐れることもない。

(引用了) 

今日のタイトルに「東大生」と記載しましたが、東大生の中には、生まれつきずば抜けて頭脳明晰な人がいらっしゃるでしょう。しかし、東大生の全員がずば抜けているわけではなく、大多数は"自分の能力を信じきって練習できる人"なのだろうと思います。またこのことは「東大生」に限ったことではなく、どの世界でも同じだろうと思うのです。

自分自身、家族、仲間の才能を生かすヒントになれば嬉しく思います。

それではまた来週。よい週末を!

『7つの習慣』をもっと深く知りたい方は↓↓

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