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もしも会社勤めをやめるなら「ハウスワイフ2.0」を読んでおこう

もしも会社勤めをやめるなら「ハウスワイフ2.0」を読んでおこう

柏野 裕美

1975年生まれ。大阪 → シンガポール → 今、東京。2007年に帰国し、外資系ITベンチャーで広報を担当。2013年に独立。PRコンサルタント、文筆業、地域再生プロジェクト、英語学習分野で活動中です。

当ブログ「バイリンガルなエブリディ」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/hiromikashino/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 「ハウスワイフ2.0」エミリー・マッチャー著 森嶋マリ訳(文藝春秋刊)を読んだ。本のタイトルと「会社に使われない新しい生き方」に興味をもった。この本の表紙を見る限りキャリアを捨てて専業主婦の道を選ぶ人が増えているのだろうかとも思える。実際はそういった話よりも、専業主婦でありつづける人にもキャリアと家庭の両立に奮闘する主婦にも、現代社会とどのように向き合って生きていくかを考えさせてくれる内容になっている。

book2.jpg この「ハウスワイフ2.0」では、主婦が家庭を守りながら自分をとりまく社会とどう向き合っているかを取材をもとに描いている。ブログを通じてコミュニティと交流する姿もあればキャリアウーマンとして仕事と家事の両立に奮闘してきた女性が専業主婦の道を選択した話など実にさまざま。登場する人たちそれぞれの考え方だけではなく社会的な背景が詳しく書かれている。

 世の中があまりにも便利になり、お店も遅くまで開いているから仕事で忙しい日が続けば食事を出来合いのものを買ってきて見繕えるようになった。自分で料理をすれば出来合いのものほど味は整っていないかもしれないけど、調味料から食材まで全て管理できるのに。

 世の中が便利になればなるほどスピードに支配され、何かに手間をかけるゆとりを失っているのかもしれない。

 私の経験ではあるが、会社勤めをやめて独立してからは仕事の時間が長くなった反面、時間の融通がきくようになった。毎日決まった時間に家を出て夜遅くに帰ってくるというライフサイクルを断つだけでも、家庭での生活環境を改善するチャンスが生まれる。ご近所さんとの会話も増えてかわいいお孫さんがいるような人生の先輩たちから食と健康について教えてもらう時間も作れるようになった。母が遠くに住んでいるので家事の知恵などはご近所さんからも学ぶ。

 ある日のこと、パソコンで書き物をしながら左手で手帳を持ち上げた時、手首に激痛が走った。まさか腱鞘炎?とも思ったが、そんなにひどくはないだろうと願いながら、なるべく痛まないように手首をいたわる日々を送っていた。

 その話をご近所さんにすると、ビワ酒が効くと教えてくれた。ビワの種を焼酎かホワイトリカーに6ヶ月以上漬け込んだお酒だ。その効能は医者要らずと言われているらしい。

 たまたま私の母はいろいろな果実酒を作るので、もしかしたらと思い聞いてみたら見事に作っていた。300mlほど分けてもらいロックでちびちびと数日間飲んでみた。すると左手の手首に痛みが走ることがなくなった。これには驚いた。 ビワの葉酒もビワの葉茶にも効能があると知ってからは、実家の両親に連絡して畑仕事のついでにビワの葉を収穫してもらったり、年末に帰った時には主人に手伝ってもらって採りにいったりと、手に入る時だけではあるがビワの葉でお茶を作るようになった。ビワの葉の裏のごわごわを洗い流して2週間ほど干してから細かく刻んで煎じて飲む。ビワの葉酒も去年の10月末に3.6リットル分漬けた。(作り方:「ビワの葉の効能 お茶と焼酎漬け」)

 今年の3月9日に出場した名古屋ウイメンズマラソンではフルマラソンに挑戦をしたのだが、ハーフを過ぎたあたりで左ももの筋肉がつったのか、まともに走るのが困難な状態になり足を引きずりながらゴールまで到達した。

 ゴールした直後にしっかりとストレッチをしたものの、ホテルへの帰り道では階段を普段通りに降りることができなくなるほど重症だった。左足は痛くて思うように動かすことができず、固定したまま右足に頼ってなんとか前に進める状態だった。5年前に那覇マラソンでフルマラソンを走った翌週はまともに歩くことが出来ない日々が続いたので、それよりももっとひどい状態になることを覚悟していた。

 とにもかくにも、自分でできる最善の処置は施そうと、ホテルについてからすぐに患部を冷やし、名古屋から東京に戻ってからビワ酒を飲んだ。すると、翌朝にはウソみたいに左足の痛みがほぼなくなっていて階段も普通に上り下りができるほどに回復していた。フルマラソンを一緒に走った友人も私が普通に歩いている様子を見て驚いていた。もしかしたら冷やしたのが適切な処置だったからかもしれないけど、ビワ酒の効能もあったと思う。

 ビワの話はささやかなエピソードに過ぎないが、健康のために手間をかけることや手作りの大切さを実感した経験でもある。時間の融通が効くだけで心にゆとりが生まれる。買いに行くのではなく自分で作ってみようという気持ちになる。いきなり全てを手作りに変えられるわけではないが、少しずつ健康にいいものを学び実践すればいい。

 何を得ることができれば豊になるかは人それぞれ違う。人生のステージによって価値観も変わる。私の場合は会社組織に属さなくてもやっていけるかもしれないと思えたから選択的な離脱に至った。もちろん今日決めて明日というわけではなかった。その結果として、食と健康を考える時間ができ、手間をかけたり手作りをして健康を守る大切さを学び、出来ることから日常に取り入れるようになった。

「もしも会社勤めをやめるなら」と考えている人には「ハウスワイフ2.0」は参考になるのではないだろうか。アメリカと日本は文化は違っても、主婦として社会の中で生きていく上で共感する考え方に出会えるかもしれない。