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広報と英語 海外に情報を発信する
»2013年2月20日
バイリンガルなエブリディ
広報と英語 海外に情報を発信する
1975年生まれ。大阪 → シンガポール → 今、東京。2007年に帰国し、外資系ITベンチャーで広報を担当。2013年に独立。PRコンサルタント、文筆業、地域再生プロジェクト、英語学習分野で活動中です。
当ブログ「バイリンガルなエブリディ」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/hiromikashino/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
シンガポール在住時、マーケティング・マネージメントの学位を取得するため、夜間でノーザンブリア大学ビジネススクール分校に通っていました。カリキュラムに、パブリック・リレーションも含まれていて、その目的からプレスリリースの書き方など、ひと通り学びました。かれこれ7年前になります。その頃からPRのあり方も随分変わってきたと感じています。さすがに当時の教科書は内容的に古いので、最近は、David Meerman Scott氏のブログや著書の"The New Rules of Marketing &PR"(無料版(英語)はこちら)を、海外広報研究に役立てています。
◆プレスリリースの歴史
プレスリリースという手段が誕生し、今年で107年目になります。報道関係者向けに初めてプレスリリースを作成したのが、「近代PRの父」といわれるアイビー・リー氏です。 1906年10月28日にペンシルバニア鉄道がニュージャージー州アトランティックシティで列車事故をおこし、53名が命を落とす惨事となりました。
アイビー・リー氏は、ペンシルバニア鉄道のマネージメントを説得し、事故現場でジャーナリストに説明する場を設け、ありのままの事実をプレスリリースという形式で報道関係者に発信しました。これが、プレスリリースの誕生となります。それは、1906年10月30日にThe New York Timesに一語一句違わぬ内容で掲載されたと言われています。
(Source: wikipedia 1906 Atlantic City train wreck)
◆コミュニケーション方法の広がり
100年の時が経ち、コミュニケーション手法は、マスメディアを通じた一方的なコミュニケーションのみだった時代から、ソーシャルメディアを活用した双方向型へと広がっています。広報の役割としても、情報発信スタイルが多様化しています。 新しいトレンドを学びながら思考錯誤されている担当者は多いのではないでしょうか。報道関係者向けのプレスリリース、報道関係者に限らず全てのステークホルダー向けのニュースリリース、そして、最近では、ソーシャルメディアリリース(ニュースリリースのブログバージョンと平たくまとめてしまっていいかな?)もコミュニケーションスタイルとして注目を集めています。
◆言葉選びの大切さ
前出のDavidさんのブログで面白い記事を見つけました。ブレスリリースで使われることが多い割にはあまり役に立たない「Gobbledygook ー 小難しい言葉、回りくどい表現(ロングマン調べ)」の頻度を調べたものです。頻度分析の対象になったワードをいくつか抜粋しますが、英文のプレスリリースでよく見る言葉ばかりです。
2006年
- next generation(次世代の)9,895回
- flexible(フレキシブルな)8,772回
- world class(世界トップクラスの)8,186回
- scalable(スケーラブルな)5,389回
- easy to use(使いやすい)5,338回
- cutting edge(最先端の)4,560回
Findings:
- 2006年9ヶ月間に配信されたニュースリリースの数:388,000以上
- 74,000のニュースリリースでGobbledygook頻度分析対象キーワードが1回以上使われていた。
- 「next generation」が最多を記録
調査対象:プレスリリース配信サービス(Business Wire, Canada NewsWire, CCNMatthews, Commweb.com, Market Wire, Moody's PR Newswire, Primzone Media Network)
調査期間:2006年1月1日〜9月30日
調査機関:FACTIVA
引用:WebInkNow, 「The Gobbledygook Manifesto -- Cutting Edge! Mission Critical! An analysis of gobbledygook in over 388,000 press releases sent in 2006」
2008年
- innovate(革新する)51,390回
- pleased to(謹んで〜する)48,762回
- unique(類のない)48,095回
- focused on(〜に重点をおく)40,964回
- leading provider(大手プロバイダー)33,101回
- commitment(責任、約束)29,621回
Findings:
- 2008年1年間に配信されたニュースリリースの数:711,123以上
- 「innovate」が最多を記録し、「next generation」は、分析対象ワード12位(15,371回)
調査対象:プレスリリース配信サービス(Business Wire, Market Wire, GlobeNewswire, PR Newswire)
調査期間:2008年1月1日〜12月31日
調査機関:Dow Jones Insight
引用:WebInkNow, 「Top Gobbledygook phrases and how to avoid them」
たしかに「この商品は最先端の技術で開発されており、スケーラブルかつフレキシブルです。」って言われても、具体的に何がどう最先端なのかわかりませんよね。
英文プレスリリースは、300〜400ワードで簡潔に書くのがスタンダードで、A4サイズ1枚に収まるボリュームです。ついつい使いたくなるキレのいい言葉ではありますが、自社サービスや商品をより具体的に正確にまとめ、他社と差別化できる5W1Hを意識したいものです。