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「勝手に展望、どうなる2011年!」~イノベーションを生み出す活力を持とう!~

「勝手に展望、どうなる2011年!」~イノベーションを生み出す活力を持とう!~

川瀬 太志

ハイアス・アンド・カンパニー取締役常務執行役員。都市銀行・大手経営コンサルティング会社・不動産事業会社取締役を経て現職に。住宅・不動産・金融の幅広い経験を元に、個人の資産形成支援事業を展開中。

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こんにちは!ハイアス・アンド・カンパニーの川瀬です。


あけましておめでとうございます!本年もよろしくお願いいたします。
明け第1回目の今回は今後の日本経済を展望してみたいと思います。


毎年年明けにはその年の経済を勝手に展望しているのですが、昨年に書いたコラムを読み返すとこうありました。

(要約)「2010年は世界の株式市場が回復するから日本の株価も回復基調になる。株価も早いタイミングで12,000円~13,000円程度になるのではないか。株価が上がって経済緩やかによくなる。懸念材料は政治が足を引っ張ることか・・・。」


・・・すみません。まったく外れてましたね。

2010年は円高のマイナス影響もあり株価は1万円前後で上がらず。新興国を中心とした回復基調から完全に取り残されてしまいました。

これでわかったことは「日本経済の弱さってやっぱりかなり深刻・・・」ということではないでしょうか。


■2011年、経済は回復基調、でもその先は・・・?

年明けのテレビや新聞などの論調を見ても今年、2011年の経済展望はおおむね「緩やかな回復基調」というトーンですね。

世界銀行のエコノミストの方も日経新聞(1/6付)のインタビューで

「今年の世界経済は3%の成長を維持できる。」と話しています。
その根拠は、
「新興国中心だった景気回復がアメリカや欧州などの先進国に波及していく」
という見方のようです。
確かにアメリカは失業率も改善してきていますし、金融緩和政策の効果で株式市場も活性化してきていますね。

「アメリカがよくなれば日本もよくなる。」←これは今のところ確かですから、日本の株式市場も今年は回復することでしょう。あとは、「長年の節約疲れ」とか「政府のナントカ減税などの消費促進政策」とかで「日本の消費も回復する」そうです。

確かにきっと日本経済は2010年よりは良くなるでしょう。
多少は。

でも今年のこの展望ってほとんど1年前と同じですね。
こういった「新興国頼み」、「アメリカ頼み」、「バラまきによるカンフル剤」などで回復する景気って結局一時的なものなんじゃないか?・・・という思いがぬぐいきれません。


■経済構造を変える活力の源泉は将来への投資のはずなのに・・・・

日本は「人口減×高齢化×財政難」という、世界でどこの国も経験したことのない『構造的長期衰退国家』への道を突き進んでいます。
「世界の株価が上がれば日本も上がる」というのはいつまで常識として通用するのでしょう。現実に昨年は新興国が景気回復すれば日本も良くなると皆が思っていたのに、日本は取り残されてしまいましたよね。

経済の活力は将来への投資から生まれます。
今の日本の一番の課題はその「経済的活力がまったくないこと」です。
例えば以下の記事が日本経済新聞(1月10日付)にありました。

<設備投資意欲 韓国勢が突出>~日本経済新聞社日中韓経営者アンケートより~
『韓国有力企業の8割超の経営者が2011年度に営業キャッシュフロー以上の設備投資を考えていることがわかった。韓国企業の投資意欲は突出している。(中略)
韓国では11年度の設備投資額について、「営業キャッシュフローを大幅に超える、または上回る」と回答した企業が40.0%、「同程度」が44.0%に達した。
営業キャッシュフロー以上の額を予定する回答は中国が29.8%、日本は20.4%だった。』

「営業キャッシュフロー(CF)」とは事業活動で生み出す現金収入のことです。
営業CFを超える投資をするということはその投資資金をなんとか調達しないといけません。
新たに銀行から借り入れをするか、投資家に投資してもらうか、もしくは貯めていた現預金を取り崩すか。
このように資金を調達するにはリスクもコストもかかるわけですが、韓国企業はこの資本コストを超える利益が今の投資によって見込めているからこそ投資をするわけですね。
つまり、韓国にはリスクをとってでも成長が期待できる市場と商品があるのです。

日本企業も資金調達はできないわけではありません。
市場金利はかつてない低水準ですし、企業にある内部留保(現預金)も過去最高の水準にあります。
でも日本企業は11年度も投資をしないのです。
なぜなら日本にはリスクをとるほどの成長が期待できる市場と商品がないからです。

同じアンケートで「環太平洋経済連携協定(TPP)」についての調査結果もありました。
『自国が参加すべきだ、との回答が日本では85%に上ったものの、中国は29%、韓国は27%にとどまった。』
TPPは経済市場整備の話です。中国は自国そのものが膨大な成長市場ですし、韓国はすでに主要貿易相手国とは個別に自由貿易協定(FTA)を締結しています。
ですからTPPに関心が低いのもわかります。日本企業のTPPへの関心の高さは日本が成長市場を渇望しているというあらわれではないでしょうか。


■未来への希望を持とう!

今の日本に必要なのは、外に出ていく力や既存の市場の中にも新しいニーズを生み出すような創意工夫、つまりイノベーションだと思います。それがないのはイノベーションを担うべき私たち現役世代のチャレンジ精神と行動が足らないからだと思います。

若い世代が働けないような社会には未来はありません。
政府の成長戦略に期待する声がありますが、(もう皆さんもお気付きのように・・・)
政府にあまり大きな期待はできないでしょう。

であれば政府には創意工夫やイノベーションが生まれやすい社会整備をしてもらいたい。まず若年層の失業を解消しなければなりません。既得権益者を守るような今の社会の仕組みを変えれば今の若い世代は頑張れるはずです。

そして将来に希望が持てる社会を作りたいものですね。
希望さえあれば日本はまた復活することができるはずですから。



今回は以上です。次回もお楽しみに!



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