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「不動産仲介会社さんを味方につける方法」 ~中古住宅や土地の賢い買い方とは?~ 

「不動産仲介会社さんを味方につける方法」 ~中古住宅や土地の賢い買い方とは?~ 

川瀬 太志

ハイアス・アンド・カンパニー取締役常務執行役員。都市銀行・大手経営コンサルティング会社・不動産事業会社取締役を経て現職に。住宅・不動産・金融の幅広い経験を元に、個人の資産形成支援事業を展開中。

当ブログ「世の中の動きの個人資産への影響を考えてみる」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/hyas/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。




こんにちは!ハイアス&カンパニーの川瀬です。

消費増税で新築の住宅市場が活況ですね。新築住宅は消費増税後にはその反動減が予想されています。これからは価格が安く、消費税もかからない「中古住宅」が注目されるのでは、と見込まれています。

さて、中古住宅の賢い買い方とは?

土地から探して家づくりをされる方や中古マンションなどの不動産を買おうと考えている方の窓口は不動産仲介会社さんです。不動産仲介会社の担当を上手く味方につけることができれば賢く、スピーディーに不動産を買うことができます。しかし、不動産仲介会社さんに行ったことがある方は、「担当の人が真剣に探してくれなかった。」とか「冷たく扱われた。」などと感じた経験があるのではないでしょうか。

今日は、中古住宅などの不動産を賢く買う方法として「不動産仲介会社さんを味方につける方法」についてお伝えします。



■買い客と売り客、どっちが大事?

不動産仲介会社とは、不動産を「売りたい」というお客様と「買いたい」というお客様を仲介する仕事です。

「売り希望のお客様」と「買い希望のお客様」、不動産仲介会社にとってはどちらも大切なお客様です。でも、どっちのお客様をより重視するか?というと、ほとんどの不動産仲介会社さんが「売り希望のお客様」と言うと思います。

 「商売の利は仕入れにあり」と言われますが、不動産仲介会社にとっては「売り希望のお客様」から売却の依頼を受けることは「仕入れ」にあたります。よい売り物件の仕入れさえ出来れば、その情報を世の中に出せば買い希望のお客様を集めることができます。

このように、売り物件を仕入れた上で、自分の会社で買い希望のお客様まで見つけて仲介をしますと、売りのお客様からも買いのお客様からも仲介手数料がもらえます。これを「両手取引」と言いまして、双方から物件価格の約3%ずつ、合計約6%の手数料が得られます。

だから不動産仲介会社さんは「まずよい売り物件の仕入れが大事!」と口をそろえて言うのです。



■買い客対応が苦手な理由

一方で多くの仲介会社さんは「中古マンションや土地などを買いたい」と物件探しをしている買い希望のお客様の対応が苦手です。
なぜなら、買い希望のお客様は仲介会社にとっては面倒なお客様でもあるからです。

 買い希望のお客様は、買いたいと言いながらも、「いつ買うのか」という時期が曖昧だったり、「どこの場所のどんな物件をどれくらいの価格で買いたいのか」という自分のニーズが絞り込めていなかったりします。
もしくは買いたい物件のニーズと自分の購入予算がマッチしていなくて、とてもじゃないけど買えないような物件ばかりを探している人もいます。

 住宅などの不動産を買い慣れている人なんてほとんどいません。だから自分がどれくらいの予算でどういう物件を買えばいいのか最初から絞り込めている人なんていないのが普通なので、仲介会社さんはまず、お客様の「時期」と「予算」と「ニーズ」の整理をしないといけません。
が毎日何人ものお客様の相手をしている不動産仲介会社の担当の方にしてみれば結構面倒なんですね。

さらに言うと、仲介会社の担当の人が一生懸命お客様のニーズを整理して、予算を調整して、丁寧に対応したとしても、買いのお客様は他にもいろんな不動産仲介会社を回ることが多いので、必ずしも自分の会社で決めてくれるかどうかもわかりません。

 つまり、ニーズを絞り込んだり、予算を調整したりと手間がかかる割に、自分のお客様になるかどうかもわからないのが「買い希望のお客様」なのです。

 だから、「そんな物件はありませんよ!」とか「そんな予算では買えませんよ!」という物言いになったりすることもあります。これがお客様からすると「態度が悪い」とか「冷たくあしらわれた」と感じる所以です。



■では、買い客である「あなた」はどうすればいいか?

お客様がわがままで面倒なのは小売業の方々から見れば「当たり前やん!それがお客様というものでしょ」と叱られそうです。でも不動産仲介会社は、売り希望の、いわば「仕入元」からも手数料がもらえるというちょっと特殊な業態ですから仕方がないんです。

 さて、このように買い側にとっては、不動産が買いにくい環境があるわけですが、どうすればいいのでしょうか?
不動産仲介会社さんを味方につけるには、次の4つのことをはっきりさせればいいのです。

つまり、

1. 時期(いつまでに買うのか)
2. 予算(いくらで買うのか)
3. ニーズ(どんな物件がいいのか)
4. あなたから買うということ(他の不動産会社に浮気はしません)


まず不動産会社さんにいったら、「予算と時期がわからないので教えて。」と言ってみましょう。
そうすると担当者の方は資金相談などをしてくれると思います。

この時に、勤務先とか年収とか年齢、今ある自己資金などの個人情報を教えないとか、隠したりしてはいけません。こういうことがわからないとどれくらいのローンが借りられるのか、本当に買う気があって、買える人なのかがわからないからです。

この資金相談をやっていくと、最適な時期や買える物件の価格帯などが絞り込めてくるはずです。この一連の最初の対応で担当の人が信頼できそうだなと思ったら、「あなたから買いたいのでこの予算のこの条件で宜しくお願いします。条件に合う物件ならすぐ買いますから。」とお伝えしましょう。

不動産仲介会社さんもここまで言われれば頑張って探してくれると思います。

要するに、あなたが「買うのか買わないか」、「買えるのか買えないのか」がわからないお客様だと相手も真剣になってくれません。「真剣です!買えますし、買います!」ということをいかにわかってもらうかということがまず大事なんです。



■不動産仲介会社も変わり始めています

今後はあなたが不動産仲介会社を見極める番です。

「ウチにしかないいい情報がありますよ」などという不動産会社はちょっと気を付けた方がいいかもしれません。これは「両手取引」を狙っているわけですから、「あなたにふさわしい物件」というよりも、売主さんから預かっている「不動産仲介会社が売りたい物件」を勧められる可能性が大です。

むしろ「このあたりの不動産会社が公開している売り物件でしたらどの物件でも扱います。お客様にふさわしいものを探します。」と言ってくれる方が頼もしいですね。
これは「買いのお客様からだけの片手取引でもやります」ということですから。

 国際的にみると住宅取引に占める中古物件の割合はアリメカで約8割、イギリスではなんと約9割にもなりますが、日本はわずか1割ちょっと。いくら新築志向なお国柄といってもかなり低い水準です。国土交通省はもっと中古住宅の流通量を増やしていこうと様々な施策を打っています。

 実は今、不動産仲介会社間で売りのお客様確保の競争が激しくなる中、不動産仲介会社も変わってきています。ウチの会社で「資金相談手法」を中心に、「買い客対応力強化」のセミナーなどをやっていますが、「買い希望客を重視したい。そのために資金相談やニーズの絞り込みのノウハウを身につけたい。」という不動産仲介会社さんが増えてきています。

お客様もいいお客様になる努力をする。仲介会社も買い客対応力を高める努力をする。
そうすると今までのような「不動産が買いにくい環境」は改善されていくことでしょうね。


今回は以上です。

もっと日本が良くなりますように。

 


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