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「相続税課税強化、高齢者資産はどうなるか?その2」~資産分割の備えは大丈夫?~
»2011年2月 8日
世の中の動きの個人資産への影響を考えてみる
「相続税課税強化、高齢者資産はどうなるか?その2」~資産分割の備えは大丈夫?~
ハイアス・アンド・カンパニー取締役常務執行役員。都市銀行・大手経営コンサルティング会社・不動産事業会社取締役を経て現職に。住宅・不動産・金融の幅広い経験を元に、個人の資産形成支援事業を展開中。
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こんにちは!ハイアス・アンド・カンパニーの川瀬です。
今回も前回に引き続き、「相続」についてです。
「相続税なんてかからないからいいや」とタカをくくっているあなた!
準備しておいた方がいいことがありますよ。
前回、来年から相続税が増税される方針であることについて書きました。
前回、来年から相続税が増税される方針であることについて書きました。
今回の改正が施行されると、資産が5,000万円程度以上あるような人は相続税がかかってくる可能性が高くなります。
ですので、まずはどこかで自分の場合は相続税がかかるかどうかを診断してもらうこと、あらかじめ試算しておくことが大事ですよ、という話でした。
ただ、「今回の改正で相続税がかかる人が増えるぞ!」と言っても従来の相続税納税対象者が全体の4%程度だったのが6%程度になるだろうというくらいのものです。世の中の9割強の人にとっては依然として相続税はかかりません。
でもだからと言って「相続なんて資産のないウチには関係ないよ」と思うのは早計です。
ですので、まずはどこかで自分の場合は相続税がかかるかどうかを診断してもらうこと、あらかじめ試算しておくことが大事ですよ、という話でした。
ただ、「今回の改正で相続税がかかる人が増えるぞ!」と言っても従来の相続税納税対象者が全体の4%程度だったのが6%程度になるだろうというくらいのものです。世の中の9割強の人にとっては依然として相続税はかかりません。
でもだからと言って「相続なんて資産のないウチには関係ないよ」と思うのは早計です。
そこに落とし穴があるのです。
■相続トラブルの7割は相続税がかからないケース
■相続トラブルの7割は相続税がかからないケース
相続税がかかるのが6%程度だとしても、相続自体は家族・親族がいれば「100%」、誰の身の上にも起こってきます。そしていわゆる「争族」と言われるような相続にからんだトラブルは相続税がかかるかかからないかとは実は関係ないのです。
最高裁判所が出している「司法統計年報」(平成18年度版)によると、遺産分割をめぐる裁判の件数割合を相続金額別に見てみると以下のようになるそうです。
「相続財産額別の遺産分割事件数」(金額は相続する遺産額、%は事件件数割合)
第1位:1,000万円~5,000万円 ・・・ 43%
第2位:1,000万円未満 ・・・ 28%
第3位:5,000万円~1億円 ・・・ 14%
第4位:1億円~5億円 ・・・ 8%
第5位:5億円超 ・・・ 1%
最も多いのは遺産額が1,000万円から5,000万円までの人で全体の43%を占めます。その次は遺産額が1,000万円以下で全体の28%になります。合わせて事件件数全体の71%が遺産額5,000万円以下ということです。
現在の相続税の基礎控除額は「5,000万円+相続人×1,000万円」ですから、つまり相続トラブルの7割超は相続税がかからないケースだということになります。
■「相続対策とは税金対策のこと」ではない?
■「相続対策とは税金対策のこと」ではない?
かつて私が仕事で関わったお客様でも、お父さんの残した預金200万円と評価額500万円の自宅を巡って兄弟でもめてしまい、最終的に兄弟が断絶状態になったしまったケースがありました。
(私もそうなのですが)世の中のほとんどを占める「相続税がかからないだろう」と思っている人たちはお父さん(被相続人)もお子さん(相続人)もどちらも資産相続についての意識が希薄です。おそらく遺産分割に関して親子間、もしくは兄弟間で話し合いなどしていないでしょうし、お父さんが遺言を残すケースもほとんどありません。
ですから現実には相続が発生してから初めて親の資産を洗い出して家族間で遺産分割協議を開始することが多くなります。
しかも、相続税の申告期限は相続開始から10カ月以内です。相続税がかからなくても小規模宅地の評価減特例を受けるケースなどは、この間で遺産分割をはっきりさせないといけないのですが、現実には家族といっても遠く離れて暮らしているケースが多い中、10カ月なんてあっという間です。期間内で合意できないケースも多く発生しています。
相続対策とは、「税金対策」というよりも「分割対策」なのです。
特にこれから相続を迎えることになる団塊世代以降の皆さんは統計的にも兄弟姉妹の数が多いので親の資産をどう分けるかで問題になるケースが多くなるでしょう。
実際、裁判所に遺産分割調停として持ち込まれる件数は年々右肩上がりで増加しているそうです。
■問題は「分けられないモノ」をどうするか?
■問題は「分けられないモノ」をどうするか?
遺産分割で問題になるのはやはり不動産です。不動産は現金とは違い、「財産額を評価しにくく、そして分けにくい」という性質があります。
例えば、親の財産が自宅しかないというケース。
相続人がお兄さんと弟さんの二人兄弟で、自宅はお兄さんが相続したとしましょう。
法的にはお兄さんと弟さんの相続割合は「2分の1」で同じです。ですから弟さんには半分相続を受ける権利があります。でも自宅不動産は分けられません。その場合、弟さんは自宅の財産価値相当の「2分の1」を現金でくれとお兄さんに権利を主張することができます。
これを「代償分割」といいます。
最近の相続の裁判ではこの代償分割を巡って争われるケースが多いようです。
こういった争いにならないように、例えば親が元気な内にみんなで話しあって、
こういった争いにならないように、例えば親が元気な内にみんなで話しあって、
「お兄ちゃんには自宅を相続してもらう。その代わり弟クンには自宅購入資金を少しだけど贈与しておくね。」などと決めておけばよかったかもしれませんよね。
今回の相続税改正により、相続税がかかる人たちはもちろん、相続税がかからない人たちでも相続に対して関心が高まるといいですね。
今回の相続税改正により、相続税がかかる人たちはもちろん、相続税がかからない人たちでも相続に対して関心が高まるといいですね。
扱いが難しい不動産については相続に詳しい不動産屋さんに相談しておくのがよいでしょう。
資産承継くらいで仲の良かった兄弟が争うなんて悲しいことです。
資産承継くらいで仲の良かった兄弟が争うなんて悲しいことです。
そんな無駄で不毛なことにエネルギーを使わなくてもいいようにできるだけ親が元気なうちに資産や相続について話し合っておくことようにしたいものです。(私もそうします)
今回は以上です。次回もお楽しみに!
今回は以上です。次回もお楽しみに!
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