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「国民年金、未納率40.7%!」~国民年金って払わなくてもいいの?~

「国民年金、未納率40.7%!」~国民年金って払わなくてもいいの?~

川瀬 太志

ハイアス・アンド・カンパニー取締役常務執行役員。都市銀行・大手経営コンサルティング会社・不動産事業会社取締役を経て現職に。住宅・不動産・金融の幅広い経験を元に、個人の資産形成支援事業を展開中。

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こんにちは!ハイアス&カンパニーの川瀬です。

今回は国民年金についてです。
国民年金保険料を払っていない人が増えているようですね。

■国民年金未納率40.7%!

<国民年金保険料 未納率40.7% 過去最悪を更新>(毎日新聞2011年7月14日付)
『厚生労働省は13日、2010年度の国民年金保険料の未納率が40.7%となり、過去最悪を更新したと発表した。 2年連続で4割を超え、5年連続の悪化となった。要因として、比較的未納率が低い55~59歳の加入者割合の減少や、所得が低く、保険料(月額15,100円)負担が難しい非正規雇用労働者の増加などを挙げている。 未納率を年代別にみると、25~29歳が「53.4%」で最も高く、20~24歳も「50.8%」と5割を超えた。 30歳以上は年代が上がるにつれて低くなり、55~59歳は「27.4%」。ただし、各年齢層ともほぼ毎年悪化している。』

国民年金保険料を払わない人が年々増えているようです。
パート労働者や自営業者らが加入する国民年金の保険料未納率は1992年には14.3%(納付率86.7%)だったのが、10年後の2002年には37.2%まで増えました。その後も増え続け2010年度は40.7%になり、過去最悪水準を更新したとのことです。

厚生労働省によると、保険料を2年以上一度も払っていない未納者はおよそ330万人いるそうです。これは厚生年金のサラリーマンを含めた公的年金の加入対象者全体でみると約5%と少数ですが、無年金や低年金の人が増えていくのは社会全体でみて困ったことには違いありません。 

■国民年金って払わなくてもいいの?

国民年金は、言うまでもなく老齢になったり、障害を持つことで働けなくなったり、お亡くなりになったときに基礎年金を支給する公的年金制度です。国民年金は決して「任意」ではなく、20歳以上60歳未満の人は「強制加入」ですから、本来は、国年年金保険料は絶対払わなければいけないものです。払わないと強制徴収されますし、督促しても払わない時には財産を差し押さえされることもあります。

サラリーマンなどの勤め人の方は厚生年金で会社が給料から天引きしているので原則的には未納はありません。
ですから、国民年金を払っていない人は「国民年金だけの人」です。
「国民年金だけの人」というのは「自営業者」のイメージがありますが、実は今では約4割はパートやアルバイト、非正規雇用などの勤め人だそうです。だから20歳代が多いのでしょうが、それにしてもその20代の半数以上が未納というのはすごい状況ですね。

■国民年金は払わないと損?

社会保険庁のアンケートによると、国民年金未納理由の第1位は「家計が厳しくて払えないから」です。今の月の国民年金保険料は15,000円ですが、確かにアルバイト暮らしの方には厳しいかもしれませんね。生活は厳しいかもしれませんが、長い人生を考えるとそれでも国民年金は支払っておいた方がいいでしょう。

国民年金は国がその半分を補助してくれています。年金を受け取る権利がない人は当然この補助分はもらえません。
今およそ年間10兆円以上の国家予算が国民年金のために使われています。
6月に「2010年代半ばまでに、消費税を5%引き上げる」という政府案が出ましたが、このうち1%分(約2兆7千億円)は、この国民年金の国庫負担のために使われます。
つまり、年をとって無年金になろうが、消費税は払わざるを得ません。
ところが、その払った税金は他人の年金に回ってしまうのです。もらえない上に税金の負担だけはしなければなりません。これはもったいないですね。

■未納より免除申請を

このもったいない状況を避けるための救済制度があります。
生活が厳しくて支払えないほど所得が低い場合には、保険料が免除や減免、または支払猶予してもらえます。いろいろな条件があるので詳しくは日本年金機構に確認をしていただければと思いますが、厚生労働省によると現在未納の人の約8割の人は減免もしくは免除対象になるそうです。減免されたり、全額免除されたりしている人であっても、最低限国が補助する分(2分の1相当分)だけの年金は受け取る権利を得ることができます。未納率がこのように問題視されるようになると今後、強制徴収が厳しくなることは間違いないでしょう。「払いたくない!」と開き直ったり、「払えないから・・・」と逃げたりするより、まずは免除申請をされてみてはいかがかと思います。

■国はもっと周知徹底を!

厚生労働省の調査によると、
・6割以上の人は、半分国が年金を補助しているのを知らなかった。 
・全額免除になる人の3割しか申請していない。
・・・だそうです。
年金については社保庁の問題があって以降、「年金は詐欺だ!」「生活保護の方がお得」「年金は払う必要なし!」など、ネガティブで決して正しいとは言えないような怪しげな情報が飛び交っています。特に若い人たちに最低限、必要な情報が行き渡っていないと思います。 
日本年金機構はもっと年金について正しい情報を開示して国民に周知させる努力をするべきですね。
そしてきちんと支払っている人がバカを見ないよう真面目に未納者から徴収してほしいと思いますね。

今回は以上です。
次回、もっと日本が良くなっていますように。
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