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「絶対知っておきたいお家の性能」~これからの家は省エネ住宅が当たり前に!~

「絶対知っておきたいお家の性能」~これからの家は省エネ住宅が当たり前に!~

川瀬 太志

ハイアス・アンド・カンパニー取締役常務執行役員。都市銀行・大手経営コンサルティング会社・不動産事業会社取締役を経て現職に。住宅・不動産・金融の幅広い経験を元に、個人の資産形成支援事業を展開中。

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こんにちは!ハイアス&カンパニーの川瀬です。
今回は、絶対に知っておきたい、家の性能についてです。


■これから10年以内にすべての新築住宅は省エネ住宅になる!

これから家を買おうかな、と思っておられる皆さんにはこれは重要な情報ですね。
↓↓↓
<新築建物に省エネ義務 国交省、20年度まで段階導入>
(2011年9月19日付日本経済新聞)
『国土交通省は不動産・建築業者に対し、住宅やビルなど全ての建築物を新築する際に、新たにつくる省エネルギー基準を満たすよう義務付ける方針。
断熱材などを活用し、冷暖房や照明に必要なエネルギーの消費量を一定水準以下に抑えるよう求める。2020年度以降は基準を満たさなければ建築を認めない。義務化までは基準を満たした業者や個人に対して税を優遇する。二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの排出抑制につなげる狙いだ。』

車や家電製品だけでなく、住宅も燃費が問われる時代になりました。「省エネ住宅」つまり、電気代やガス代などの光熱費がかからない高性能なお家です。
これが2020年には完全に義務化。それに先立って再来年には今の省エネ性能に対する基準を厳しくするようです。
ようやく日本でも性能の良い家が特別なものではなく、普通に建つ時代になりそうです。


■なぜ省エネ住宅が求められているのか?

日本の住宅の高性能化への流れは時代の必然であり、この流れは今後ますます加速していくと思います。
なぜ省エネ住宅が求められているのでしょうか?
日本の住宅が建ってから取り壊すまでの平均寿命は何年かご存知ですか?欧米では平気で100年くらいの家があるのに対して日本の住宅の平均寿命はたったの30年。先進国ではダントツの短さです。
住宅ローンは35年も払うのに、住宅そのものは30年でダメになるなんて・・・。それは困りますよね。
経済効率的にも、環境配慮の観点からもこれは良くない、という国際的な批判もあり、国は政策として長持ちする性能の良い家を作るよう推進してきました。

また、今回の原発事故によって電力供給がクローズアップされましたが、もともと資源の乏しい日本にとってエネルギー問題は昔からずっと深刻な課題です。

日本は今、たまたま円高なので表面化していませんが、限りある資源である石油の価格は世界的に上昇しています。また比較的コストの高い太陽光など再生可能エネルギーも普及していくでしょう。これらのことで今後電気代は間違いなく上がっていくと言われています。ですから住宅も省エネルギー化していかざるを得ないのです。そういう訳で、特にここ10年くらいの間で日本の住宅はすごい勢いで性能が良くなってきました。


■なぜ省エネ住宅はこれまで普及してこなかったのか?

今から12年前の1999年に国は住宅の省エネルギーの基準である「次世代省エネ基準」を制定するなど、省エネ住宅の普及に取り組んできました。ただ今はこの省エネ基準は義務化されていません。ですから現在でもこの12年前の省エネ基準を満たす新築住宅は全体の3割程度です。省エネ住宅が今一つ普及していないのはなぜかというと、価格が高くなるからです。
良い断熱材や断熱性能の高いサッシなどを使ったり、太陽光を乗せたりしますから価格が高くなるのは当然ですね。省エネ住宅の基準を満たして建築すると、通常より2割前後は価格が高くなります。
そのため今回は、省エネ基準を義務化していくにあたり、国は減税措置などで価格を抑える後押しをしてくれるようです。
住宅会社に対しては、断熱性能の高い部材などにかかる費用の一部を課税所得から差し引く、また省エネ住宅を買う人には住宅ローン減税の減税幅を広げるなどの優遇策を国は検討しています。

そして省エネ住宅完全義務化の2020年に向けて、まずは国際的にも時代遅れの水準になっている今の省エネ基準を国際レベルに近づけるように「省エネルギー法」を13年中にも改正する方針のようです。


■大変なのは住宅会社か・・・?

ますますより性能のいい家がお得に建てられるようになるのだから消費者にとってはいい話です。義務化は2020年からですが、これから建てるなら絶対に省エネ住宅の方がいい、と思います。多少価格が高くても将来的に確実視されている光熱費の上昇や建物の耐久性などを考えると、長い目で見て、絶対省エネ住宅の方がお得です。
将来的に中古住宅として売るとしても、その頃には省エネ住宅が普通になっているわけですから、燃費の悪い旧タイプの家は価格を安くしないと売れなくなるでしょうしね。

住宅のスタンダードが変わるわけですから供給サイドの住宅会社は大変です。まずは大手の住宅会社が来年度あたりからより性能の高い省エネ住宅が標準商品として続々出てくるでしょう。
「手間がかかるから」「高くなるから」といった理由で高性能住宅を敬遠していた中小の工務店も取り組まざるを得ません。
今後、住宅業界は高性能住宅への取り組み姿勢如何で優勝劣敗と淘汰が進むでしょうね。性能は横に置いておいて安さだけを追求してきた会社は戦略転換が余儀なくされると思います。

今回は以上です。
次回、もっと日本が良くなっていますように。



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