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「絶対知っておきたいお家の性能(地盤編)」~地盤について説明を受けましょう!~

「絶対知っておきたいお家の性能(地盤編)」~地盤について説明を受けましょう!~

川瀬 太志

ハイアス・アンド・カンパニー取締役常務執行役員。都市銀行・大手経営コンサルティング会社・不動産事業会社取締役を経て現職に。住宅・不動産・金融の幅広い経験を元に、個人の資産形成支援事業を展開中。

当ブログ「世の中の動きの個人資産への影響を考えてみる」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/hyas/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


こんにちは!ハイアス&カンパニーの川瀬です。

私どもの会社は地盤改良のコンサルティングも手掛けています。
その取り組みが『ガイアの夜明け』(毎週火曜10時 テレビ東京系列)という番組で紹介していただくことになりました。
今日のテーマは「地盤」。なぜ今地盤なのか?
しっかりこれを読んで、『ガイアの夜明け』も見てくださいね。

前回は、「これからの新築住宅は高性能住宅がスタンダードになる」という住宅性能のお話でした。
今回はその続き。
「安心、安全、健康、省エネ」
これらのキーワードが「住宅性能」と言うならば絶対に外せないものがあります。
それは・・・これです↓↓↓

『首都圏在住者の住宅選び 「地盤の安全性」1位に 震災前後で基準に変化』 
(2011年8月9日付 日本経済新聞)
<住宅選びで最も重視するのは「地盤の安全性」――。有楽土地が首都圏在住者に東日本大震災の前後で住宅選びの基準に変化があったかを尋ねた調査でこんな結果が明らかになった。震災前、重視する人が最も多かった「交通の利便性」は2位に後退、3位は「子育て環境」から「防災面の充実度」に変わった。>

3・11の震災以降、家の購入や建て替えを考える方々にとって、その土地の地盤の固さや液状化が起きる可能性など、地盤に対する関心がものすごく高まりました。
確かにどんなに性能のいい家を建てて、建物自体は耐震性がある頑丈なものだとしても、肝心の地盤が弱くて、もし家が傾いたとしたら現実的にはもうその家には住めなくなってしまいますからね。

私どもが定期的に開催している「後悔しない賢い家づくり勉強会」に来られるお客様からいただく質問も、震災以前は、「建物、ローン、住宅会社の選び方」などが多かったのですが、震災以降は、「地盤や地震保険」などの質問が増えました。


■それでも地盤について説明しない住宅会社は少なくない

それほど消費者の関心が高まっているにもかかわらず、いまだに住宅営業の現場では地盤の安全性や地盤改良工事に関する情報が十分に情報提供されているとは言い難い状況です。
住宅営業マンも建物やローンについては熱心に説明してくれますが、地盤について積極的に情報提供してくれる営業マンはそれほど多くないのが現実です。

実は、今の住宅性能基準の中に「地盤」の項目はありません。
だからなのかはわかりませんが、住宅業界の中でも地盤についての説明や対策の力の入れ方は会社によってかなり差があります。
うがった見方をすれば住宅営業マンにとってみれば、お客様の予算が限られている中であまり地盤改良工事にお金がかかりすぎると肝心の建物の方の予算が少なくなってしまうので、地盤改良工事はできるだけ安くあげておきたいという感覚があるのかもしれません。だからあえてお客様に情報を与えないようにしているのかもしれません。
もしくはもっと単純に、営業マンは家やローンについて覚えて説明するのに手一杯で、いまだに地盤についてはまだまだ知識が不足しているのかもしれません。(←勝手な推測ですが)


■地盤について住宅会社のあるべき姿勢とは?

10年以上前までは、家が傾いたとしてもその家を建てた住宅会社は法的に責任を取る必要がありませんでした。
2000年に住宅の性能水準を上げるための法律(住宅品質確保促進法:品確法)が出来てから、家が傾いた時には住宅会社の責任が問われるようになりました。
これにより軟弱地盤に関しては地盤改良工事がずいぶん増えました。
ただ「何かあった時には責任をとること」という法律なので、例えば心ない住宅会社がいい加減な地盤改良工事をやって数年後に家が傾いたとしても、もしその会社がその時に倒産でもしていたら、結局お施主さんは泣き寝入りするしかありませんでした。
そこで2009年に、住宅会社は倒産した時に備えて保険に入ることが義務づけられました(瑕疵担保履行法)。これで近年ますます地盤改良工事が普及してきたという経緯があります。
ただ、地盤が心配ならちゃんと保険をかけておけばいいじゃないか、という考えはいまだに業界にはあります。
ただ、お施主にとってはそもそも家が傾かないことが大事なはず。
だからお客様が家を建てる前に、地盤のリスクについてわかりやすく説明して、きちんと地盤の状態を測定して、そして正しく地盤改良工事をすることが本来の住宅会社のあるべき姿勢です。


■地盤も住宅性能表示の項目に!ちゃんと説明を受けましょう!

地盤については国の規制も業界の姿勢もこの10年でずいぶんと変わってきました。
その流れは震災以降ますます加速するようです。

『戸建て宅地に液状化対策 震災で需要拡大』(2011/10/17日本経済新聞)
<ゼネコン(総合建設会社)が、戸建て住宅の地盤が大地震で液状化するのを防ぐ工事の受注に動き出す。(中略)東日本大震災後、国土交通省も宅地の液状化対策を重視。住宅性能表示制度などを活用し住宅の購入を予定する消費者に液状化リスクに関する情報提供を徹底することを検討しており、液状化対策の需要が拡大すると予想されている。>

2年以内には改正されると言われている住宅性能評価制度に、新しく「地盤の液状化リスクの情報提供」が入ってくるようです。
地盤改良工事で液状化にまで対応しようとすると、かなりお金のかかる工事になることも事実です。
ですので、国交省は液状化対策をする場合には個人宅でも補助金をつけようという動きもあります。
そうなると2年以内には家を建てるときに、液状化の判定や対策が標準になってくるのではないかと思います。

地盤改良工事にはいろいろなやり方があります。
それぞれ効果や工事価格は違います。
地盤工事をやったとして施工の品質によっては改良の効果が出なかったり、土地の資産価値を下げたりすることもあります。
今回の震災でも地盤改良工事をしていても傾いた家は多くありました。
住宅性能評価制度が改正されるのを待つまでもなく、皆さんのお家にとってすごく大事な「地盤」について、ちゃんと説明して、対応してくれる住宅会社をパートナーに選ばれることをお勧めします。


今回は以上です。
次回、もっと日本が良くなっていますように。

(参考)
まじめに地盤の説明と改良工事に取り組んでいる会社のサイトはこちら
↓↓↓
地盤についての勉強もできますよ!




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