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「土地を買おう!さて失敗しない買い方とは?」 ~失敗と成功の違いはなにか?~

「土地を買おう!さて失敗しない買い方とは?」 ~失敗と成功の違いはなにか?~

川瀬 太志

ハイアス・アンド・カンパニー取締役常務執行役員。都市銀行・大手経営コンサルティング会社・不動産事業会社取締役を経て現職に。住宅・不動産・金融の幅広い経験を元に、個人の資産形成支援事業を展開中。

当ブログ「世の中の動きの個人資産への影響を考えてみる」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/hyas/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


こんにちは!ハイアス&カンパニーの川瀬です。
家を買う際に土地から買うのって難しいですよね。
今回は土地購入の正しい手順についてです。



■土地から買う人約6割、購入までの期間は14か月

「家を買おう!」と思い立って、マンションを見たり、分譲住宅を見たりした後、最終的に土地から買って一戸建てを建てよう!となる人が多くいらっしゃいます。
統計によると一戸建てを建てる人の60.8%の方が土地から購入しています。(平成23年度国交省住宅市場動向調査)
そして土地が見つかるまでの平均期間はなんと14か月だそうです(SUUMO調べ)。

1年以上も土地を探すのって結構大変ですよね。
私はこれから家を買う方たちに向けて住宅購入相談会をやっていますが、土地を間違った方法で探している人が少なくないんです。
さて、土地の間違った探し方とは、そして正しい探し方とはどんな方法なんでしょうか?


■土地がうまく買えない2つのパターンとは?

土地探しに時間がかかってしまって、うまく買えない人には2つのタイプがあります。

<タイプ1:ない物件を探しているタイプの人>

(お客様)「○○小学校区で30坪くらいの土地を1,000万円以内で探しています。」
(不動産会社さん)「○○小学校エリアは人気ですからその条件ですとどう考えても1,500万円はしますよ。」
(お客様)「じゃあ出るまで待ちますから大丈夫です。」

こういう「掘り出しモノ」をずっと待っている人がたまにいらっしゃいます。土地については掘り出しモノはありません。相場より安い価格で売りに出た物件は市場に情報が出る前に真っ先に不動産業者さんが買いますからね。こういう方は、まずいろんな物件を見て相場感をつかむことです。できれば希望エリア、希望価格に近い物件だけでなく、その逆の条件の物件なんかも見て、まずは相場観を養ってください。
土地は相場通りの条件でしか出てきませんからね。


<タイプ2:いつも二番手で買いそびれているタイプの人>

(不動産会社さん)「お客様のご希望に近い物件が出ましたよ!これは即買いです!」
(お客様)「じゃあ妻と相談します。」
~1週間くらい経ってから~
(お客様)「あの後、妻や両親とよく相談した結果、あの物件を買うことにしました!」
(不動産会社さん)「えーと、残念ですがとっくに売れてしまいましたけど・・・。」

買うまでの意思決定に時間がかかってしまい二番手、三番手になってしまうようなタイプです。こういう方は買う準備ができていないからこうなるのです。「このエリアで、これくらいの条件の物件が出たら買う!」という意思決定を、家族とも相談して、済ませておくことです。
好立地・好条件の物件はみんなが探しています。ライバルに勝つためには意思決定までのスピードが何より大事ですからね。


■では「買う準備」とは?

何となく業者さんに希望を伝えているだけでは土地を買うことはできません。土地を決めるまでに14か月もかかる人は、上のケースのように相場観を掴み、買う準備を完了させるまでにおそらく13か月くらいかかっているのではないかと思います。
相場観を持って、買う準備をしっかりしておけば1か月もあれば土地を決めることができるはずです。

ではどのように「買う準備」をすればよいのでしょうか?
それには正しい順序を踏むことが大事です。
失敗パターンはこんな感じ。
(1) まず土地を探しに不動産仲介会社へ行く。
(2) (長い時間をかけて)やっとの思いで土地を買う。
(3) 次に住宅会社へ行って、土地に合うプランを決めて、見積もりをもらう。
(4) ローンも含めて予算の調整をする。

この「不動産仲介会社」→「住宅会社」→「予算決め」という順序では失敗します。(4)のローン調整の後、最終的に予算オーバーになってしまったら建物を小さくしたり、性能を落としたりして建物予算を削らねばならなくなります。

正しいパターンはこの順序です。

(1) まず総予算をつかむ。(今回の家づくりで土地・建物の総額でローンも含めていくらかけるか)
(2) 次に住宅会社と相談する。(どれくらいの予算で希望の家が建てられるか)
(3) 総予算から建物予算を引いて残った価格を土地の予算の上限とする。
(4) 不動産仲介会社へ行き、その予算で買えるエリアと広さを確認して物件を探す(←ここで相場観を掴む)。
(5) よい物件が出たらすぐ住宅会社に見てもらい、希望の家が予算内で建てられそうならすぐ買い付けを入れる。

正しい順序は「予算決め」→「住宅会社」→「不動産仲介会社」です。
土地を見る前にまず家のイメージをはっきりさせた上で土地の予算とエリアを決めます(ここで予算が合わなければエリアを変えるのも止むなしです)。
そして土地を見て相場観を養ってから、買う条件を決める。
以上の準備がしっかりしていれば間違いのない土地・建物の買い方ができます。


■買うのは「土地」ではなく「住まい」という意識を

土地を先に決めてから予算を決める、その時に予算オーバーになったからといって建物予算を削って性能の低い、安い家を買う。そして住まい心地の悪い思いをしながら、光熱費をばんばん払い続けて、だいたい30年で使いものにならなくなる・・・。
こんな感じが失敗パターンです。
皆さんが買うのは土地ではなく「住まい」です。土地と建物、さらに言えば建てた後の光熱費などのランニングコストや耐久年数などをトータルで考えないといけません。

まず住宅会社へ行くことをお勧めします。
ちゃんとした住宅会社なら建物の話はもちろん、予算のことも一緒に考えてくれるし、エリアや土地に対するアドバイスもしてくれると思います。
では、よい物件購入ができることをお祈りしております。

今回は以上です。
もっと日本が良くなりますように。


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