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「ビジョン&ハードワーク、まず僕たちがすべきことは?」 〜ビジョンが持てないあなたに〜

「ビジョン&ハードワーク、まず僕たちがすべきことは?」 〜ビジョンが持てないあなたに〜

川瀬 太志

ハイアス・アンド・カンパニー取締役常務執行役員。都市銀行・大手経営コンサルティング会社・不動産事業会社取締役を経て現職に。住宅・不動産・金融の幅広い経験を元に、個人の資産形成支援事業を展開中。

当ブログ「世の中の動きの個人資産への影響を考えてみる」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/hyas/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


こんにちは!ハイアス&カンパニーの川瀬です。


■ノーベル賞、山中教授の座右の銘とは?

iPS細胞(新型万能細胞)を生成した山中伸弥京都大学教授が、ノーベル生理学・医学賞を受賞しましたね。久しぶりの明るいニュースに日本中が沸き立ちました。

山中教授の話の中で印象的だったのは座右の銘であるという「Vision(ビジョン)&Hard Work(ハードワーク)」という言葉。「ビジョン&ハードワーク」、すなわち「目的をはっきり持って、それに向かって懸命に働くということ」ですね。
山中教授は講演の中で
・「日本人は、ハードワークは得意だがビジョンを見失っている学生が本当に多い。」
・「ビジョン(仮説)がないとハードワーク(作業)のムダ使いになる。」
と話しているそうです。


■ではあなたのビジョンは?と聞かれると・・・

ビジョンとは「将来を見通す先見性や、それを導く仮説」です。
仕事や研究の目的や計画とも言えますね。
ビジョンを見失ってはいけない、というのは山中教授の言う通りだと思います。
でも、「ではあなたのビジョンは?」と問われてはっきり答えられる大人がどれくらいいるでしょうか。

もともと日本には空気を読む、とか出る杭は打たれる、というような雰囲気があって、革新的で独創的なアイデアは出にくい風土があります。
子供の頃から「僕はこれがやりたい!」と我を張るより、周りとうまくやることの方が褒められたりしてきました。

社会人になっても、リーダーから明確なビジョンを示されてハードワークできている人はむしろ恵まれている方で、多くの人は今やっている仕事の完成形や目指すところを知らず、また考えることを求められることもない中で目の前の仕事をコツコツとこなしています。
そんな社会で生きてきて、「仕事は目的ではなく、人生の目的を達成する手段。では目的は何だ!?」と気づいたとき、皆がハタと立ち止まります。
「そもそも自分は何のために働いているのだろうか」
若者の場合でしたら「なぜ勉強するのだろうか、なぜ生きるのだろうか」といったことを考えます。

そういうことを考えてこなかった人には当然すぐには答えが出ません。
立ち止まってしまいますね。
時には立ち止まって考えることは大事です。
自分を振り返る意味でも。
でも、いつもいつも、そしていつまでも立ち止まっていては・・・それはダメでしょうね。


■強いサッカーチームの大前提は?

私の好きなサッカーの話ですが、サッカーの日本代表は強くなりましたね。
香川、本田、長友といった世界で通用するタレントも出てきました。今の強くなった日本サッカーの礎をつくった一人であるイビチャ・オシムさんが日本代表監督になった時、まず選手たちにこう言いました。
「走れ!ハードワークしろ!」

サッカー好きの方ならわかると思いますが、今世界で通用する一流プレーヤーたちの必須要件はというと、それはハードワークできることです。
世界一華麗なサッカーを展開するFCバルセロナの選手はものすごく走ります。
労を惜しまず走り続けること、ハードワークが今のサッカー戦術の大前提になっています。
長友、遠藤、本田、香川たちは1試合で10キロ以上も走ります。
ハードワークできるチームに海外経験や世界水準の戦術が加わったことで日本代表は強くなったのです。


■ハードワークは悪?

何事にもビジョンは絶対必要です。
ビジョンがあって、「やっていることは間違いない、将来は明るい!」と思えることができればどんなハードワークも苦じゃなくなりますからね。
でもビジョンの前提にあるのはハードワークです。
山中教授がおっしゃるように、ビジョンがないハードワークは無駄が多くなります。
一方、ハードワークのないビジョンは絵空事で終わります。
素晴らしいビジョンを持つビジネスリーダーは例外なくハードワーカーです。そういうリーダーが社員に求める資質は、まずはハードワークできる人材です。

今、日本はちょっと疲れています。
「ハードワークは悪」みたいな雰囲気があるように感じます。
もちろん体を壊したり、精神を病むまで働いたりするのはよくありません。
当然適度な休息は必要です。
人口が減り、経済が縮小する中、先行きに明るいビジョンが持てないと言ってしょんぼりする。
本来、ビジョンは政治や会社に期待するのではなく自分で持つものですが、でもどうしてもビジョンが持てなければビジョンがある人と一緒に働けばいい。
または自分でビジョンを持てるようになるまで経験を人一倍多く積めばいい。
自分のビジョンはなんなんだ!と考えながら一生懸命に働いていればきっとそのうちに何かぼんやりと見えてくるはずです。

オシム監督はまず「走れ」と言いました。
そして走れるようになると次に「考えながら走れ!」と言いました。
本当は人口減少とか関係ないのです。世界の先進国は日本より人口が少ないところばかりですから。
でも皆が立ち止まって働かなくなったら日本経済はおしまいでしょう。
僕のビジョンは何だろうな〜と考えながら、未来の自分に期待しながら、明るく前向きにハードワークしましょうよ、みなさん。

今回は以上です。
もっと日本が良くなりますように。


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