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スマホの効果 その7 焦点移動

スマホの効果 その7 焦点移動

樋口 健夫

アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。

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スマホの効果 その7 焦点の移動 
 スマホを使い続けると,自己の内向的満足に浸り、膝を合わせたべったりとした人間関係から、個人的集中の社会に移っていく。

ラジオもテレビも無かったころは、家族が近所の噂話をしていた。焦点は、家族の人数の対角線となっていた。


ラジオが始まり、家族の焦点は、聞くことに移った。これを聴焦点と呼ぶ。テレビが家庭に入ってきて、家族の焦点は、家族の円から外に出て、テレビ画面に固定された。これを視焦点と言う。ファミコンから始まった電子ゲームも、テレビ画面は視焦点は家族の円の外にあった。集中する人数が減った。


家族の若い世代がネットにつながった携帯を所持し始めた時、ついにテレビへの家族の全員の視焦点の集中が崩れ、テレビから移動を開始した。家族の個人が焦点を身の回りに移し始めたのだ。


携帯からスマホに移って、家族の全員の視焦点は、ばらばらになり、それぞれ個人の手元に完全に釘付けとなった。
視焦点は50センチのところで、固定された。そして、今年中に、この視焦点距離が3センチまで接近する。

グーグルグラスの出現だ。

めがねの右側レンズの右端に取り付けられたモニターを見るために、目のつかれはひどいと思うが、それ以上に左右で焦点が異なったり、あまりに近くのものをみるための目のレンズの伸縮の筋肉の動きや、長時間使用に伴う乱視、視力低下など、考えられる問題がたくさんある。また人の脳は、左右の眼球から入っていくる視角データをバランス取って脳に送り込んでいるが、これが崩れて、左右の情報がこれから異なっていくと、右脳左脳に対する刺激、脳が今まで体験したことのない状態を長く続けることで、新しい精神的影響の問題が出てくる可能性がある。


とにかくグーグルグラスが、視焦点を片目で3センチほどのところに引き寄せることになるかの直前に今、ある。
これ以上視焦点が体に接近するとなると、思考の焦点は自分自身の眼球の中に入ることだ。それは眼球に直接投影するプロジェクターがメガネに取り付けられることだ。3D効果を狙って両目にプロジェクトされるとなると、目は見ているのがリアルか、投影されたものか分からなくなるかもしれない。

さらに焦点は自分の脳の中に思焦点となっていくのかもしれない。自分の脳に思考の焦点が戻り、そこから他の人間と自在に思念で話しができる時代がくるのを焦点が示しているのかもしれない。

それが人類をどのように変えていくか誰にも分からない。