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音楽体験  その2  何度か聞けば

音楽体験  その2  何度か聞けば

樋口 健夫

アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。

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音楽体験  その2  何度か聞けば

 考えてみると、昔のクラシック音楽の作曲家は、大変だったと思う。
 オペラでも、交響曲でも、何でも、大きな作品を作曲して、それを初演する時の緊張は、大変なものだっただろう。まず録音装置も無い単なる演奏となると、聴衆にとって、まったく耳にする初めての曲となる。ちょっと名前が売れ始めた程度だったら、競争相手は、批評家を通じて、評判を叩き潰すこともやったろう。演奏会場が暑すぎたり、寒すぎたり、演奏が長すぎたり、演奏家が下手だったり、お腹が空いていても酷評となったかもしれない。主賓の貴族がイライラしていたら、とばっちりを受けたかもしれない。ダメを出されると、2度と演奏できなくなったかもしれない。

 ビゼーの「カルメン」なんかも、今でこそポピュラーな曲だが、最初の演奏では酷評され、ビゼーはそのショックで3か月後に世を去っている。チャイコフスキーの名曲のピアノ協奏曲第1番ですら、初演を当時の有名なピアニストに断られ、別のピアニストに頼みこんで、演奏され、大変な評判となった。その後で、最初のピアニストがチャイコフスキーに謝ってきたという。モーツアルトですら領主にケチをつけられたこともあったはず。
 チャイコフスキーのピアノ協奏曲の出だしも、ベートーベンの運命も、出だしのだだだだーんではよく似ていて、居眠りしかけている聴衆を起こし、最初の印象を強烈にしようとしたのではないだろうか。録音されないで、生演奏だけでの音楽を好きになるかならないかでは、厳しい世界だっただろう。
 クラシックの曲が好きになるのは、何度か、聞いて、途中の好きなメロディに出会って、それが前後に拡がっていって、曲全部を好きになったと言うまで、少なくとも4回か、5回は、CDでも、聞いていることがある。昔はそんなのなかった。ブルックナーの交響曲7番なども、好きになったのは、ほんの数年前だった。


 無名のままになった作曲家の作った無数の素晴らしい曲があったはずだ。それらはいったいどこに消えたのだろうか?もったいないことだ。楽譜があれば、楽譜を自動的に画像認識して音楽化して演奏するシステムでもあれば、パリの書店の古い楽譜が読めるようになるのにと思っている。

 それでも、今のように、様々な手段で、CD、DVDなど、何度も聞いて好きになるというステップが踏めるとは、すごく幸せな世界だ。
最新鋭エアバス380では、音楽をヘッドホンで聞くだけでなく、座席のディスプレーで演奏をビジュアルに見せてくれる時代が来た。豊かな時代に入ったと思う。
 長距離大陸間の機内で、最新の機種では、座席で数百本ものポピュラーな曲を聴くことができるので、私は、機内では次々と音楽のクリッピングをして、ノートに、好きな感じの曲名やシンガーの名前をかきとめて、現地のCD店や、アマゾンで購入している。