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「未来を切り開く力」=「人生を楽しく生き抜く力」

「未来を切り開く力」=「人生を楽しく生き抜く力」

生内 洋平

EGGPLANT楽団主催 株式会社デザインバンク代表 & アート・ディレクター 株式会社アニー・デザインオフィス アートディレクター ジャンルの垣根なく、仕事活動中。二娘のパパ。音楽は家族。デザイン・アート人生の相棒。創り続ける目的は自分と関連あまたの豊かさ創りです。

当ブログ「イクナイの未来派生活研究室」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/ikunai/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


新社会人へ一言、と編集部からお題の提示があった。
是非書きたい。

がしかし今は時間が取れないので一つだけ、たまたまこれを読んだ新人君に言葉を贈る事にしよう。

新社会人のみなさんの中に、社会や会社に対して希望を抱く事ができている人はどのくらいいるだろう?
「希望でいっぱい」な君はよほどの楽天家か能天気のどっちかだろうか?今度酒でも飲みながら君から見えている希望の世界を聞かせてほしい。
「夢も希望もない」君は、若くして相当な苦難を乗り越えてきたんだろうか?人生は20歳を過ぎたら既に折り返していると私は思うが、まだ半分ある。そう悲観する事はない。
「よくわからなーい」な君が、ある意味一番正しいだろう。きっと一番センスあるよ。

新社会人おめでとう!!
これを機に、これまで持っていた夢や希望、絶望、社会への憤りは、とりあえず一旦、全部捨てよう。

君たちはこれまで生きてきた時間で「素の経験」を積み重ねてきた。
それを、自らの了見の狭い偏見で塗りつぶしてしまうのは持ったいなさすぎるからだ。
素の経験は、どんな状況にもあわせて姿を変え、あらゆる角度から君を助けてくれる、何物にも代え難い財産となる。
しかし、それを活かすも殺すも君次第だ。君が社会に対する偏見で凝り固まった頭で、似合わない考え方を振り回して自分勝手に憤っているうちは、その財産は見方になってくれるどころか、姿形すら見えない。

この春に君がどんな職に就いたとしても、たとえこの春には職に就かなかったとしても、この先の人生で君を助け、励ましてくれるのは、この「素の経験」に他ならない。

まずすべき事は、頭をリセットして、今まで自分が生きてきた時間を見つめ直してみることだ。
君が今まで何をして生きてきたか、何を成し遂げたか、事の大小に関わらず、しっかりと認識しておこう。
そしてそれらを大事に心の奥にしまい込んで、これから目の前に広がる世界をできるだけフラットに感じてみよう。
新しい世界が君の狭い常識に通じないからと言って、それにいちいち憤るのは、意味がない。

新しい世界は「夢も希望もない世界」でもなく「大人が勝手に作り上げた世界」でもなく、
ただ単純に「今まで君が生きてきた世界とは違う世界」だ。

新社会人になるインパクトは、長い人生の中でも赤ん坊がこの世に生を受けるのに次ぐ大きさがあるように思う。
赤ん坊が初めておなかの中からでてきた時に空気の味にびっくりして泣き叫ぶのと同じで、だれしも新しい世界にさらされたときのインパクトは計り知れない。
そして大きなインパクトはできる限りフラットに感じる事が一番自分を成長させる。
それをこの1〜3年でできるかできないかで、君の貴重な「新人時代」を棒に振るか、人生有数の貴重な数年にするかの命運が別れると言って良い。
これから自分の身に起こる様々な新しい事を、できるかぎり自分の中で良く噛み砕いてから自分の過去の経験に対面させてみよう。このタイミングがうまくいくと、素晴らしい化学反応が生まれる事がある。(私もあった)

「過去は振り返るな」という言葉を鵜呑みにする必要はない。
自分の成長を助け、長い人生の中で誰にでも起こり得る危機に光明を見いだす力の源は「素直な過去の経験」なのだ。

そしてそれこそが、君たちが「夢も見られない時代のかわいそうな世代だ」と酷評されながら、自分でも気付かないうちに自ら育くんできた「自分で未来を切り開く力」だ。
その力を是非、大切にしてほしい。
そして「未来を切り開く力」をあまり大げさに考えないでほしいと思う。

「未来を切り開く力」は「人生を楽しく生き抜く力」

だ。たったそれだけだ。
私自身も今なお追い続けているこの力は「フラットに物事を見る目」からしか養われないものなのだ。

カワイイ恋人を見つける為にも、センス溢れる制作物を生み出す為にも、もちろん明日の花見を前回で楽しむ為にも、「未来を切り開く力」は必要な力だ。
そして新社会人は既にその力を持っている事が多い。またそれに気付かずに腐らせているケースもとても多い。
この力は一度失われると、取り返すのが非常に難しい。「凝り固まった大人」路線にまっしぐらに突き進んでいる25歳を、私は何人も知っている。とてももったいないし、残念な事だ。


最後に一つだけ。

会社は社会の鏡だとよく云うが、これはあながち間違っていないと私は感じる。
このエントリーに従って新社会をできる限りフラットに感じてみたのだけれど、それでもどう考えても会社にどうしても許せなく、自ら変えたいと思うところがある自分に気付いたなら、君には会社どころか社会を変える事ができる素質があるだろう。

もちろん実際に変えられるのは素質がある1億人の中の一人だけど。