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えっ?整理と整頓って、違うんですか?

えっ?整理と整頓って、違うんですか?

野原 淳

キングジムファイリング研究室でファイリングや机の整理のしかたなどの指導・提案をしています。

当ブログ「ファイリングは捨てることと見つけたり」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/jun_nohara/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 皆さん、こんにちは。キングジムファイリング研究室の野原です。

 前回のブログで「整理・整頓」という言葉を何度か使いました。今日はこれについてのお話をすることにしましょう。

 整理整頓と一口にいわれますが、「整理」と「整頓」は実は意味が違います。ご存知ですか。

 製造業などの方は「5S」でそのことをご存知かもしれません。5Sとは、整理・整頓に始まり、清掃、清潔、しつけ、と続く、頭文字の5つのSです。安全に、効率よく作業を進められるよう、皆さんまじめに取り組んでいる活動です。ただ、オフィスワーク中心の方はご存じない方もいらっしゃるようです。

 

【整理と整頓の違い】

 それでは、整理と整頓の違いを見てみることにしましょう。

【整理】要るものと要らないものを分け、要らないものを捨てること
【整頓】要るものを誰でもすぐに出せるように秩序だてて配置すること

 整理は捨てることを意味し、整頓は誰もが素早く探せることを意味していて、これは、ファイリングと共通することに気づきます。

 

【整理する】

 製造現場で成果を出している「5S」も最初は整理、つまり捨てることから入ります。要るものと要らないものを分け、要らないものを捨てていく作業です。

 5Sの本などを読むと「赤札作戦」などの「整理」の手法が紹介されています。赤札作戦は、ファイリングでも十分通用する方法です。前回のブログで「捨てるものに赤い付箋を付ける」という方法をご紹介しましたが、あれは赤札作戦を簡略化したものです。

 

【整頓する】

 要らないものを捨てた後、残ったものは何でしょう。

 もちろん、要るものですよね。要るからと言って、ただ置いておけばいい、積んでおけばいいのではありません。

 では、どうするか。

 誰でもすぐに探せるようにすることが必要です。それが整頓です。だから、整理の次が整頓なのですね。

 さて、整頓ために最低限必要な情報は、ファイリングでは「戻す場所」「いつまでそこに置いておくか(=捨てる時期)」の2つだと、私は考えています。

 使い終わったら速やかに、かつ、間違いなく元に戻され、要らないものは捨てられて、管理できる分量を超えない、だから誰でもすぐに探せる、と言うわけです。

 情報は通常、新しいほど価値があり、古いほどその価値は下がります。そしてある時から「要らないもの」になるのです。価値があるうちは「戻す場所」に戻されなければなりませんが、価値が低下し、要らないものとなった後は、捨てられなければなりません。

 そして、空いた場所にはより利用頻度の高い、新しい情報が入ることになるのです。これが、情報ライフサイクルとなるのです。

 情報はどんどん入って来ます。捨てなければいけない情報もそれだけたくさん発生します。戻しただけじゃ、ダメなんですね。だから、ファイリングの場合、整頓にも「捨てる」に繋がる概念、「いつまで置いておくか」が必要なのです。

 

 前回のブログで「戻す場所」と「捨てる時期」を色分けで表示している写真を紹介しましたが、これは、整理・整頓を維持するためにとても重要な情報だからなのです。

 皆さんも、いらないものを捨てた後は、戻す場所といつまで置いておくかの2つを決め、表示してみましょう。

 

 いかがですか。ちょっと書類特有のアレンジはあるものの、ファイリングも5Sの入り口である整理・整頓が基本になっているわけです。

 ですから、5Sをご存知の方々には、ファイリングとはオフィスの5Sです、と説明することにしています。そうすると話が早いですし、5Sは成果を出せると皆さんご存じですから、そういったニュアンスも加わる「ファイリングはオフィスの5S」というのは、とてもいい表現ですね。

 整理と、整頓。

 漠然と使っていた言葉も、意味を知って改めて見直してみると、いろいろ改善点が浮かび上がって来るのではないでしょうか。