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3つの改善を「探すため」より、「捨てるため」に使ってみる

3つの改善を「探すため」より、「捨てるため」に使ってみる

野原 淳

キングジムファイリング研究室でファイリングや机の整理のしかたなどの指導・提案をしています。

当ブログ「ファイリングは捨てることと見つけたり」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/jun_nohara/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 皆さん、こんにちは。キングジムファイリング研究室の野原です。

 ここまでのちょっとした改善、いかがでしたか?

 え?
 「ファイルのタイトルくらい、書いてるよ」「色分けくらい、もうやってるよ」

 そんな声も聞こえてきそうです。

 ファイリングは、整理・整頓。子供の頃からお父さん、お母さん、先生に言われてきた当たり前のことですから、改めて言われてみても、「ソレっぽく書いてるけど結局知ってることばかり」だと感じたかも知れません。

 「そのくらいやっているけど、それでも困っているから、このブログを読んでいるんじゃないか」

 むしろそう言う方の方が多いかも知れません。

 しかし、改善という作業は字面でさらりと流し読みして「特に目新しいことはなかった」と止めてしまうのではなく、そこで今一度立ち止まって振り返ってみると、「待てよ、これってもしかしたら...?」と、思えるヒントが見つかるものです。そうして試行錯誤してみて、答えが見えてくるものなのです。

 

【3つの小改善を捨てるために使ってみる】

 例えば「立てる・色分けする・表示する」を「捨てる」ために使ってみてはどうでしょう?

 新しい案件が発生したとき、ファイルの中身を表示する習慣が既にある方は、前回のブログでは新しい発見はそれ程なかったと思います。では、中身の情報に加え「案件終了から1年間保管」と入れてみましょう。

 そして、案件が終了したら、鉛筆でも何でもいいので「○年×月△日終了」と書けば、その日から1年たったら捨てて良いことが明らかになります。

 他には、捨てるべきものに赤い付箋をつけてみてはどうでしょう。赤い付箋が付いているものは、例えば「今月末に捨てるゾ」と自分自身に宣言するのです。

 これまでは捨てる段になってから捨てるべきものを探していたものが、この改善によって、捨てるものが予め「見える化」されるので、通常業務をしながら、本当に捨てても良いかもチェックできるのです。

 さて、捨てるときがやって来た、となったら、既にチェックが済んでいるわけですから、赤い付箋が付いたものを抜き出して捨てればいいだけ。カンタンです。チェック期間も設けているので安心だし、正確。だから、続くわけです。

20100518_05-01.jpg 当社のコンサルティングでは、「捨てる時期」と「戻す場所」の2つのルールを最も強力な表示である「色分け」できるソフトを利用していただいています。戻す場所ごと、捨てる年度ごとにソフトが自動で色を変えてくれます(写真)。

 要らないものを捨てた後、要るものを管理するには、この「戻す場所」と「捨てる時期」の2つが重要だからです。

 

【管理できる量には限界がある】

 ファイリングや整理・整頓と言っても、多くの方は「探す」ことだけに注力しているように思えます。

 「立てる・色分けする・表示する」をやっているという方も、「探す」ことのためであって、捨てたり、戻したりするための「ルール」にはあまり使っていなかったのではないでしょうか。

 管理できる分量にはスペース、能力、時間などの面で必ず限界があります。「立てる・色分けする・表示する」で少しは限界を広げられますが、無限に管理できるような変化は望めません。

 ですから捨てる必要があるのです。

 書類の発生スピードは私たちが考える以上に多く、速いものです。そのペースと同じかそれ以上のペースで捨てていかないと、いずれは書類の洪水に飲み込まれることになります。

 皮肉にもITの発展が、書類の増加スピードを速めてしまったようにさえ思います。

 次々発生してくる書類の要・不要を素早く選別する技術を身につけ、管理できる限界内に書類を収めて、初めて「探す」ための工夫が生きて来ます。管理能力の限界量を超えた書類に対して、立てたり表示したりしてみても、あまり効果は感じないでしょう。

 

 いかがでしょうか。捨てるための表示、元に戻すための色分けをする。いらないものは廃棄され、使ったものは元に戻される。だからこそ、見つかるのです。

 ファイリングとは、捨てること。

 捨てることが実現できなければ、その先のことをやっても効果は期待できません。タイトル表示や色分けをしているのに、効果を感じられない方は、書類を減らす為の工夫をされてみてはいかがでしょう。

 そして、一度減らしたら、もう増やさないためのルールを作り、そのルールを「表示」し、表示が見えるよう「立てる」のです。

 それがだんだん習慣づいて来たらファイリングの原型は既にあなたの中で形作られて来たと言っても良いのではないでしょうか。