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「片づけ教育」の未来は明るい!と感じた日 Part2

「片づけ教育」の未来は明るい!と感じた日 Part2

野原 淳

キングジムファイリング研究室でファイリングや机の整理のしかたなどの指導・提案をしています。

当ブログ「ファイリングは捨てることと見つけたり」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/jun_nohara/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 7月27日に、愛知県刈谷市で、愛知県内の小中学校の事務職員の方々約130名を対象に、ファイリングセミナーを実施しました。昨年に初めて実施させていただき、今年で2年目!嬉しい限りです。

 今回も、許可を頂き、このブログでの掲載となりました。

 ちなみに、昨年のブログもご参照ください。「片付け教育の未来は明るい!と感じた日」

 

【学校事務ってどんな仕事?】

 昨年の記事にも書かせていただきましたが、再度ご紹介。学校事務って、一体どんなお仕事なのでしょう?

 部外者の私が書くのもちょっとおかしな気もしますが、学校事務の仕事はとても大変です。普通の会社なら、人事部、総務部、経理部...と、通常、独立した部署で行うべき仕事を1人か2人でこなします。

 私は大学を卒業した後、実は2年間、埼玉県で公立中学校で社会科の先生をしていたことがあります。そんな私の視点から、学校事務の方の仕事を思い浮かべると、まず最初に思いだされるのが、先生方の給与や福利厚生、出張の手当や出金の手続きなどの人事的な仕事です。

 先生は子供相手ですから、とにかく現場対応の連続です。授業以外にも、部活動あり、委員会活動あり、校務分掌あり...。そうなると、やっぱり先生は、自分の出勤に関することや出張の手続きみたいなことって、どうしても「後回し」になってしまいます。そこをサポートするのが学校事務の大きな仕事だと思います。

 先生が子供たちの方を見ていられるのは、学校事務の方がいろいろな面で支援している、というのも理由の一つなのですね。

 それ以外にも、学校の窓口としての役割もあります。一般の人の視点から考えると、学校はちょっと閉じられた世界のようにも思えるかもしれませんが、生徒の保護者、これから入学する生徒や保護者、地域の方や他校の先生、一般の方、業者、結構色々な方が来校するので窓口対応は結構あります。それだけでなく、県や市から文書などがどんどん届き、こうした対応もしなければなりません。

 仕事あるところに書類あり。

 仕事が多ければ、その分書類も多くなります。これがきれいに整理されていることは、必ず子供たちに直接的、間接的にいい影響を与えるに違いありません。

 私は、小学校から大学まで、学校という所にいる間、本当に楽しい時間を過ごして来ました。そして、楽しい思い出や感動のそばには、必ず先生の姿があります。これは、自分が生徒だった時だけでなく、立場が変わって先生になってからもそうでした。先生は本当に大変だけれど、その分、生徒が直接感動をくれるし、何人かの子どもたちの思い出の中には多分、残っていることでしょう。これ以上のやりがいが果たしてあるでしょうか。

 しかしそこには、先生が生徒の方を向いている時間を最大化させられるよう、学校運営に関することを一手に担う、学校事務の方の存在が必ずあります。これは本当にすごい仕事だと思います。

 

【この日行ったセミナーは...】

 この日行ったセミナーは、昨年受講された方も受講する予定ありとのことだったので、昨年と内容を変えました。とりわけ大きな修正は、多忙な学校事務の方でもできるよう、内容をかなり削ぎ落としたファイリング方法の提案を加えたことです。

20120906_誠ブログ使用画像.jpg 私は、学校事務の現場をそれほど良く理解しているとは思っていません。確かに2年間、教員として、学校事務の方の仕事を近くで見る場面はありましたが、それはやはり教員からの視点にすぎません。しかも、社会人1年生でもあったわけで、広い視野で見るということも全くできていない時期の記憶にすぎません。

 それでも恐れずにそうした提案をしました。ファイリングはテクニックではなく、考え方です。結果は若干的外れでも、考え方の一例としては参考にしていただけると思ったわけです。

 さらに、事前にご質問も頂き、その全てに回答しました(似ている質問は統合しましたが)。実際に現場で起きている問題点に回答することで、たくさんの「考え方」の例が示せることを期待しました。ですので、全てのご質問と答えは質問者だけでなく、全受講者に配布していただきました。

 

【学校事務向けの提案はこんな内容!キーワードは「統一」】

・使用ファイル

 提案した内容は、毎年の見出し印刷の作業を大幅に減らすため、ファイルそのものの耐用年数が高い、両開きパイプ式ファイルを用います。例えば、3年保存の書類なら当年度分を含んで4年分を1冊に収納し、毎年一番後ろから廃棄していく方法です。

 これで、書庫が不要になります。ファイルも見出しも、1回作ればずっと再利用できます。全てのファイルの末尾に廃棄対象文書がありますから、どれを捨てるか考える必要もありません。これなら、忙しい方でも維持しやすいと思います。

・分類と色分け

 また、学校事務の方特有の悩みとして、異動時にその学校のルールに慣れるのが大変という問題があります。頂いた質問の中にもかなりありました。

 学校は違えど、仕事は同じ。なのに、異動の際に慣れが必要というのはできれば避けたい現象です。完全には無理でも、異動すると全く別の仕事内容になる一般の公務員や民間企業に比べれば、統一は容易なはずです。この強みを活かさない手はありません。

 そこで私は、なるべく学校間でルールを合わせるよう提案しました。ざっくりとした大きな分類を作って分類ごとの色を周囲の学校で合わせることを提案しました。

・ファイル管理表の統一

 ファイル管理表の統一は、今回の提案では最もハードルが高い提案ですが、メリットは確実にあるので入れました。基本的な仕事が同じなら文書も同じ、であれば各校でそれぞれ管理表を作ることさえ省略しようという作戦です。一番いいのは本部的な役割をするところが、年に1度最新版に更新して、一斉に配信してしまうことです。

 このような統一は、今回の学校事務だけでなく、銀行やチェーン店など、基本的に同じ業務をしている拠点が複数ある業態では応用できると思います。

 どこに行っても同じ分類、同じ色分け、同じタイトルになっていて、違うのはその学校の固有の特徴のみ、としておけば、異動時のロスはかなり減らせます。

 逆に、そこにいる人がそれぞれに「自分なり」の方法を構築してしまうと、拠点の数だけローカルルールができてしまい、異動時に慣れるまでのロスが生じます。

 人間は適応力が非常に高いので、「こういうルールです」と言われれば結構慣れてしまいます。実際、異動した時はそうしているわけですよね。

 「自分なり」の方法を見付けるのはいいことです。ただその時は、異動の可能性のある近隣の人が集まる会議などの場で「こうしてみない?」と提案して足並みをそろえることです。確かに色々言われて思い通りの形にはならないかもしれませんが、目的は自分のロスをなくすことではなく、全体としてロスをなくすこと。なので、草の根的なものでもいいと思うので、少しでも広い範囲で一緒にやることが重要です。

 

 いかがでしたでしょうか。

 今回のお客さまに限らず、とにかくファイリングは、テクニックではなく、考え方です。仕事の仕方はどんどん変わります。ですから、変わりゆく仕事のしかたに合わせて、自らの力でファイリング手法も変化させて行くことが必要です。自分のケースでは、何を優先させるべきなのか、それぞれ異なるこの答えを、自分の場合は何なのか、それを問うことです。

 私は今回、それを「統一」だと思いました。このハードルは意外に高いものだと思いますが、取り組む価値は確実にあると思います。ベクトルが前にさえ進んでいれば、急ぐ必要はないので、できる範囲プラスもうひと頑張り、くらいで継続すればいいのではないのでしょうか。そこで行った時間投資は、必ずリターンとして返ってくるものだと、私は思います。

 

 学校事務についてさらに詳しく知ってみたい!と思った方、今回セミナーをやらせていただいた愛知事務研ナレッジサイトは、こちらからご覧になれます。