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原子力論考(108) 旧ソ連が日本海に原子炉や放射性廃棄物を投棄していた件について

原子力論考(108) 旧ソ連が日本海に原子炉や放射性廃棄物を投棄していた件について

開米 瑞浩

社会人の文書化能力の向上をテーマとして企業研修を行っています。複雑な情報からカギとなる構造を見抜いてわかりやすく表現するプロフェッショナル。

当ブログ「開米のリアリスト思考室」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/kaimai_mizuhiro/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


表題通り、ロシアは旧ソ連時代に日本海に原子炉を含む放射性廃棄物を投棄していたんですが、この事実は一般にはどのぐらい知られているんでしょうね?

おそらく今も知らない人がかなり多いと思うんですよ。たぶんですが、この誠ブログに書いているブロガーさんでも10人中5人ぐらいは知らないんじゃないかなという印象を私は持っています。まあ、印象だけで実際に調査したわけじゃありませんが。

そう思うのはなぜか、というと、この事実に関する「大々的な報道」は見たことがないからです。

これは原子力問題に関して調べ始めるとわりとすぐに気がつく基本的な情報なんですが、原発・放射能問題への関心が高まったこの2年半の間も、一般のマスコミ報道にはあまり載りません。

1) ロシア連邦による隣接海への放射性廃棄物の海洋投棄 (14-06-01-16) - ATOMICA -

2) 旧ソ連による放射性廃棄物の海洋投棄に関する我が国の対応 (11-02-05-04) - ATOMICA -

なお、その後この件は日露両政府間で対応が話し合われ、日本が資金を提供してロシアに建設された廃棄物処理施設が稼動しています。

3) ロシア極東における液体放射性廃棄物処理施設(スズラン)の建設 (16-03-02-08) - ATOMICA -

4) 低レベル液体放射性廃棄物処理施設「すずらん」の供与に関する事後評価(要約)
   (日露非核化協力委員会技術事務局)
  "「すずらん」は供与目的を達成していると判断される。"

そして、上記(2)のリンクに書かれていますが、それ以後海上保安庁が実施している海洋調査では、「特段の異常は認められていません」。

なぜかこういう情報は一般の大新聞・TV番組には流れないので、自分で能動的に調べに行かない限り普通はわかりません。

つまり、「誰かが教えてくれる情報」だけに頼っていると、どうしても情報が偏向するということです。

偏向した情報に頼って物事を判断するのは非常に危険です。

旧ソ連が日本海に放射性廃棄物を投棄していた、ということをもし今まで知らなかった場合は「原発・放射能問題に関して頼りにしていた情報源が偏向していた」ということを意味しますので、なんらかの見直しをすることをお勧めします。

■開米の原子力論考一覧ページを用意しました。
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