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説明のコツ:「問題」が発生する「場所」と「対策」の関係を明示する
»2011年10月21日
開米のリアリスト思考室
説明のコツ:「問題」が発生する「場所」と「対策」の関係を明示する
社会人の文書化能力の向上をテーマとして企業研修を行っています。複雑な情報からカギとなる構造を見抜いてわかりやすく表現するプロフェッショナル。
当ブログ「開米のリアリスト思考室」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/kaimai_mizuhiro/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
社会人の文書化能力向上研修を行っている開米瑞浩です。なかなか体重が100kを切りません。今日も少し増えてしまう予定です(悲)。めざせ目標80kg(笑)
さて、今日は分かりやすい説明文を書くための教訓の1つである、「問題が発生する場所と対応策の関係を明示する」というコツについて書くことにします。
まずは具体例を見てみましょう。これはある新技術を説明している文書ですが、かなりの読みづらさを感じるはずです。
・・・いかがでしょうか。イメージつかめますか? かなりわかりにくいですよね?
これは実際にある会社で開発された新技術の論文に概要として掲載されていた文でした。わかりにくい理由の1つは、どんな分野の技術かがわからないようにするためにA工程B工程や前処理P、対処Uなどと具体的な名前を隠して記号化してしまったことですが、それだけではありません。
人間はこの種の「多数の要素が複雑に関係する事象」を理解するのは苦手なのです。
ちなみに、原文は「関係する要素」がこれよりも多かったため、原文の難易度は記号化してしまった上記例文と同じぐらいだと思います。
でも、「わかりにくい! 難しい!」と嘆いてばかりもいられません。
なんとかしたいですが、どうすればいいでしょうか?
ここで、今回の教訓です。
「問題」が発生する「場所」と「対策」の関係を明示する
今回の事例は「問題が起きているから対策をするよ」という話をしています。
この種の説明文では実は
というパターンがよくあります。この事例もそのパターンです。
こういう場合は、「基本的な工程」をまず明示してから、「問題」が起きる場所と「対策」を取る場所がその工程の中のどこにあたるかをわかりやすく示すのがポイントです。
簡略化して書くとこんなふうになります。
上図中の(1)の線は「基本的な工程」の中で「問題Rが起こる場所」を示し、(2)の線は「対処Uを行う場所」を示しています。そして(3)の線は「問題Rと対策Uの対応関係」を示しています。この3つの対応関係が一目で分かるように書くのがポイントです。これを文章で説明しても「イメージをつかむ」のは難しいので、図解したほうがいいんですね。
というわけで図解するとこんなふうになります↓。
左端のX→Y→Z→のラインが「基本的な工程」です。A工程・B工程・C工程を通して仕事が行われます。その過程での前処理Pと「区分」「コード」、それぞれに関係する「問題R」と「問題S」、そしてそれぞれへの「対処U」と「対処T」の対応関係を示してあります。
どうでしょうか、冒頭の文章を読むだけで、このイメージは思い描けますか? ちょっと無理ですよね。
電話口で地図を説明されても理解しにくいのと同じで、こういう情報は文章だけで説明されてもなかなか頭に入りません。
図解したほうがいいのですが、そうは言っても今度は図解の方法がわからない、という悩みがどうしてもあります。
今回の事例はそんなときの参考になる1つの例です。
「問題」が発生する「場所」と「対策」の関係を明示する
という教訓を思い出してください。分野は違っても、このパターンで構造化(図解)できるケースはよくありますので。
なお、私、開米瑞浩はこの種の「難解な説明書をなんとかわかりやすく書き直したい」という会社のために、「難解な説明書「持ち寄り」改善ワークショップ」というサービスも行っています。
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さて、今日は分かりやすい説明文を書くための教訓の1つである、「問題が発生する場所と対応策の関係を明示する」というコツについて書くことにします。
まずは具体例を見てみましょう。これはある新技術を説明している文書ですが、かなりの読みづらさを感じるはずです。
Xのデータを処理する工程は大まかに3つあります。A工程でデータを特定の形式に合わせてコード化し、B工程ではそのコードからXを復元するとともに編集加工を施します。さらにC工程では必要に応じて後処理を行います。ここで問題が起きるのは、AとBの工程を通じてデータにノイズが入るということです。このノイズを解消するためにA・B工程そのものを改良するのは現実的ではないため、C工程でノイズを除去したいというニーズがあります。A工程はA1~A4まで4つのサブ工程に分かれています。A1で前処理を行ってデータXを「区分」情報と「コード」情報に分け、A2でコード情報を符号化します。ところがここで問題Rが起きます。つまり、問題R=「コード情報にノイズが入る」わけです。さらに、B工程の2番目でもうひとつの問題Sが起きる場合があります。それは、「区分情報の喪失」で、前処理Pの成果である「区分」情報がなくなってしまうわけです。そこでC工程で対処Uを行うことで問題Rへ補正をかけたいのですが、実は対処Uを行うためには「区分」情報が必要です。困ったことに、問題Sが起きると区分情報が喪失してしまっています。そこで、C工程では先に対処Tを行います。対処Tで「喪失した区分情報の推定復元」を行い、それを使って対処Uを行うことで「コード情報のノイズ補正」を行うわけです。この対処TとUが新技術です。
・・・いかがでしょうか。イメージつかめますか? かなりわかりにくいですよね?
これは実際にある会社で開発された新技術の論文に概要として掲載されていた文でした。わかりにくい理由の1つは、どんな分野の技術かがわからないようにするためにA工程B工程や前処理P、対処Uなどと具体的な名前を隠して記号化してしまったことですが、それだけではありません。
人間はこの種の「多数の要素が複雑に関係する事象」を理解するのは苦手なのです。
ちなみに、原文は「関係する要素」がこれよりも多かったため、原文の難易度は記号化してしまった上記例文と同じぐらいだと思います。
でも、「わかりにくい! 難しい!」と嘆いてばかりもいられません。
なんとかしたいですが、どうすればいいでしょうか?
ここで、今回の教訓です。
「問題」が発生する「場所」と「対策」の関係を明示する
今回の事例は「問題が起きているから対策をするよ」という話をしています。
この種の説明文では実は
「基本的な工程」 がベースにあって、
そのうちの特定の場所で「問題」が起きるため、
別な場所で「対策」を取るように「工程」を変更する
というパターンがよくあります。この事例もそのパターンです。
こういう場合は、「基本的な工程」をまず明示してから、「問題」が起きる場所と「対策」を取る場所がその工程の中のどこにあたるかをわかりやすく示すのがポイントです。
簡略化して書くとこんなふうになります。
上図中の(1)の線は「基本的な工程」の中で「問題Rが起こる場所」を示し、(2)の線は「対処Uを行う場所」を示しています。そして(3)の線は「問題Rと対策Uの対応関係」を示しています。この3つの対応関係が一目で分かるように書くのがポイントです。これを文章で説明しても「イメージをつかむ」のは難しいので、図解したほうがいいんですね。
というわけで図解するとこんなふうになります↓。
左端のX→Y→Z→のラインが「基本的な工程」です。A工程・B工程・C工程を通して仕事が行われます。その過程での前処理Pと「区分」「コード」、それぞれに関係する「問題R」と「問題S」、そしてそれぞれへの「対処U」と「対処T」の対応関係を示してあります。
どうでしょうか、冒頭の文章を読むだけで、このイメージは思い描けますか? ちょっと無理ですよね。
電話口で地図を説明されても理解しにくいのと同じで、こういう情報は文章だけで説明されてもなかなか頭に入りません。
図解したほうがいいのですが、そうは言っても今度は図解の方法がわからない、という悩みがどうしてもあります。
今回の事例はそんなときの参考になる1つの例です。
「基本的な工程」 がベースにあって、こういうパターンはよく起きます。そんなときはこの
そのうちの特定の場所で「問題」が起きるため、
別な場所で「対策」を取るように「工程」を変更する
「問題」が発生する「場所」と「対策」の関係を明示する
という教訓を思い出してください。分野は違っても、このパターンで構造化(図解)できるケースはよくありますので。
なお、私、開米瑞浩はこの種の「難解な説明書をなんとかわかりやすく書き直したい」という会社のために、「難解な説明書「持ち寄り」改善ワークショップ」というサービスも行っています。
自社で書いた「わかりにくい説明書」が生産性を下げている
社員に「読者に伝わる書き方」を工夫する習慣を持って欲しい
そんな問題意識を持たれている会社にオススメのワークショップです。御社の「わかりにくい説明書」、思い切って退治してみませんか?!
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10月に名古屋で公開講座を開催します
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