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説明書をわかりやすくするための5ステップ
»2011年10月14日
開米のリアリスト思考室
説明書をわかりやすくするための5ステップ
社会人の文書化能力の向上をテーマとして企業研修を行っています。複雑な情報からカギとなる構造を見抜いてわかりやすく表現するプロフェッショナル。
当ブログ「開米のリアリスト思考室」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/kaimai_mizuhiro/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
社会人の文書化能力向上研修を行っている開米瑞浩です。今なお体重100kgを超えているので、2桁を目指して今日も奮闘中です。目指せ、最終ゴールは80kg(笑)
さて、「文書化能力」というのは「説明力」の一種です。
人が何かを「説明する」シーンにもいろいろありますが、文書化しなきゃいけないときというのは、情報量が多くてしかもその情報の間にいろいろ複雑な「関係」があるときですね。そういうときは口頭だけで話を通じさせるのは無理なので、「文書」にする必要があります。
ところが「文書」といっても「文章」だけだとこれがまた難しい。「文章」というのは「複雑な関係」を表現するのには向いてません。「文章」だけで延々と解説された説明書なんて読みたくないですね?
だから、「図」を書く必要が出てきます。
といってもこれもなかなか一筋縄ではいかないのが困るところ。うっかりすると図解してかえって誤解を招くケースだってよくあります。どんな図を書けばいいかわからないから、本当はもっとわかりやすく書きたいのに、今日も文章だけにしておこう・・・・とお茶を濁してしまうこともあるのではないでしょうか。
そんな場面にもし心当たりがあったら、下記の「説明書を分かりやすくするための5ステップ」をちょっと見てください。
複雑な情報を説明している文書というのは普通はわかりにくい(難解)ですね。
ところがその難解さというのは、「問題の構造がわからないから難解になっている」だけで、
構造が見えると一気にわかりやすくなる
という場合がよくあります(例1 例2 例3)。私はその構造化で食べてるような人間ですからここは保証します(笑)。
じゃあどうやってその「問題の構造がよくわかる文書」を作るかですが、A~Eまでおおまかに5つのステップがあります。
A:まずは一度ざっと読んでみる
これは他人が書いた文書を分かりやすく書き直そう、という場合ですね。とにかく元ネタがあるわけだからこれを読むわけです。ただしここで何時間も悩んでもしょうがないです。1,2回程度軽く読みます。
B:文書に含まれる情報をざっと列挙してみる
元ネタの情報を書き出します。ここは付箋紙に手書きがオススメ。深く考えなくていいです。ちょっとでも気になったキーワードを怒濤の勢いで(笑)書き出します。
この作業、単純に見えるので必要ないだろうと思われがちなんですが、「手書き」することによって、なんとなく読み流していた情報がしっかり頭にはいるので意外に効果的なんですよ。
こんな感じです↓ 付箋紙がいっぱい。
C:鍵になる構造の見当をつける
そしてここがキモ、超重要。「どんな構造なのか」を見きわめるわけです。
ここでトコトン考えます。「構造」というのは千差万別多様なものがあるので、「この問題はどんな構造なのか?」を見抜かなければなりません。慣れないとここですごく時間がかかりますが、人間は「一度経験のあること」が二度三度と起きた時には短時間で理解できることが多いので、場数を増やして経験値を上げていくと、この時間を何十倍にも短縮できます。(初めて見たときは4時間かかってたものが、二度目は5分、三度目は1分でわかるようになった、なんて珍しくないです)。
D:その構造に沿って必要な情報を集めて整理する
構造の見当がついたら、それを構成する情報を、細部までつじつまが合うように整理します。「細部までつじつまが合うように」というのが肝心で、たいていこの段階で元ネタの文書に書かれていた情報の不足や矛盾に気がつきます。だいたい、「あるテーマについて必要な情報をモレなく正確に短時間で」書けるケースなんてごく少ないので、不足や矛盾があるのが普通なんです。でもこれになかなか気がつきません。気がつくためには、「構造化して細部の整合性を確認する」必要があります。
と、ここまでやると、元ネタの文書の不足や矛盾も解消して、必要な情報が過不足なくわかりやすく構成された「たたき台」が出来ます。
E:見やすいように表現を組み立て直す
そして最後の作業がこれ。家を作る仕事にたとえると、「きれいな壁紙を貼る」のがこの段階。要は「見栄えを良くする作業」であり、それだけです。
この点、かなり誤解があると思うのですが、「図解」というとこの最後のE段階のことだと思っている人がどうやら多いんですね。違いますから。そこは誤解です。
ある文書をわかりやすく書けるかどうかは、Cの段階で8割決まり、Dで9割5分まで決まります。Eに意味があるのは最後の5分ぐらいです。
家造りに例えるなら、「家が住みやすいかどうか」は、9割5分までは家の構造で決まりますよね? ということです。 「きれいな壁紙を貼ったから、すごく住みやすい家になる」なんてありえません。「住みやすい家」を作るためには、生活動線を考え家具配置を考え、断熱や配管、配線を考え、日照を考え、といった構造の部分が大事なのであって、「きれいな壁紙」は最後のちょっとした美意識を満足させるだけです。ここが本命だと思ってはいけないわけです。
「きれいな壁紙」も最後の仕上げとしては重要ですが、その前のB~C~Dのステップをおろそかにすると、せっかくのきれいな壁紙も活きてきませんので、どうぞご注意くださいませませ。
【お知らせ】
10月に名古屋で公開講座を開催します
■10月25日 主催:中部産業連盟
"部下に必要な仕事と知識を教え込む3つの心得"
自律型部下を育てるティーチング(いわゆる仕事の教え方の見本)」を様々な演習を通じて体得できます
詳細はこちら→http://www.chusanren.or.jp/sc/sdata/2282.html
■企業研修のご案内
○ 大量の情報を要約して手短に報告することに自信がない
○ 「手順」や「知識」を説明する文書を書く機会が多い
こんな社員が多い、とお悩みの企業様へ
→ 読解力図解力ファーストステップ講座のご案内
さて、「文書化能力」というのは「説明力」の一種です。
人が何かを「説明する」シーンにもいろいろありますが、文書化しなきゃいけないときというのは、情報量が多くてしかもその情報の間にいろいろ複雑な「関係」があるときですね。そういうときは口頭だけで話を通じさせるのは無理なので、「文書」にする必要があります。
ところが「文書」といっても「文章」だけだとこれがまた難しい。「文章」というのは「複雑な関係」を表現するのには向いてません。「文章」だけで延々と解説された説明書なんて読みたくないですね?
だから、「図」を書く必要が出てきます。
といってもこれもなかなか一筋縄ではいかないのが困るところ。うっかりすると図解してかえって誤解を招くケースだってよくあります。どんな図を書けばいいかわからないから、本当はもっとわかりやすく書きたいのに、今日も文章だけにしておこう・・・・とお茶を濁してしまうこともあるのではないでしょうか。
そんな場面にもし心当たりがあったら、下記の「説明書を分かりやすくするための5ステップ」をちょっと見てください。
複雑な情報を説明している文書というのは普通はわかりにくい(難解)ですね。
ところがその難解さというのは、「問題の構造がわからないから難解になっている」だけで、
構造が見えると一気にわかりやすくなる
という場合がよくあります(例1 例2 例3)。私はその構造化で食べてるような人間ですからここは保証します(笑)。
じゃあどうやってその「問題の構造がよくわかる文書」を作るかですが、A~Eまでおおまかに5つのステップがあります。
A:まずは一度ざっと読んでみる
これは他人が書いた文書を分かりやすく書き直そう、という場合ですね。とにかく元ネタがあるわけだからこれを読むわけです。ただしここで何時間も悩んでもしょうがないです。1,2回程度軽く読みます。
B:文書に含まれる情報をざっと列挙してみる
元ネタの情報を書き出します。ここは付箋紙に手書きがオススメ。深く考えなくていいです。ちょっとでも気になったキーワードを怒濤の勢いで(笑)書き出します。
この作業、単純に見えるので必要ないだろうと思われがちなんですが、「手書き」することによって、なんとなく読み流していた情報がしっかり頭にはいるので意外に効果的なんですよ。
こんな感じです↓ 付箋紙がいっぱい。
C:鍵になる構造の見当をつける
そしてここがキモ、超重要。「どんな構造なのか」を見きわめるわけです。
ここでトコトン考えます。「構造」というのは千差万別多様なものがあるので、「この問題はどんな構造なのか?」を見抜かなければなりません。慣れないとここですごく時間がかかりますが、人間は「一度経験のあること」が二度三度と起きた時には短時間で理解できることが多いので、場数を増やして経験値を上げていくと、この時間を何十倍にも短縮できます。(初めて見たときは4時間かかってたものが、二度目は5分、三度目は1分でわかるようになった、なんて珍しくないです)。
D:その構造に沿って必要な情報を集めて整理する
構造の見当がついたら、それを構成する情報を、細部までつじつまが合うように整理します。「細部までつじつまが合うように」というのが肝心で、たいていこの段階で元ネタの文書に書かれていた情報の不足や矛盾に気がつきます。だいたい、「あるテーマについて必要な情報をモレなく正確に短時間で」書けるケースなんてごく少ないので、不足や矛盾があるのが普通なんです。でもこれになかなか気がつきません。気がつくためには、「構造化して細部の整合性を確認する」必要があります。
と、ここまでやると、元ネタの文書の不足や矛盾も解消して、必要な情報が過不足なくわかりやすく構成された「たたき台」が出来ます。
E:見やすいように表現を組み立て直す
そして最後の作業がこれ。家を作る仕事にたとえると、「きれいな壁紙を貼る」のがこの段階。要は「見栄えを良くする作業」であり、それだけです。
この点、かなり誤解があると思うのですが、「図解」というとこの最後のE段階のことだと思っている人がどうやら多いんですね。違いますから。そこは誤解です。
ある文書をわかりやすく書けるかどうかは、Cの段階で8割決まり、Dで9割5分まで決まります。Eに意味があるのは最後の5分ぐらいです。
家造りに例えるなら、「家が住みやすいかどうか」は、9割5分までは家の構造で決まりますよね? ということです。 「きれいな壁紙を貼ったから、すごく住みやすい家になる」なんてありえません。「住みやすい家」を作るためには、生活動線を考え家具配置を考え、断熱や配管、配線を考え、日照を考え、といった構造の部分が大事なのであって、「きれいな壁紙」は最後のちょっとした美意識を満足させるだけです。ここが本命だと思ってはいけないわけです。
「きれいな壁紙」も最後の仕上げとしては重要ですが、その前のB~C~Dのステップをおろそかにすると、せっかくのきれいな壁紙も活きてきませんので、どうぞご注意くださいませませ。
【お知らせ】
10月に名古屋で公開講座を開催します
■10月25日 主催:中部産業連盟
"部下に必要な仕事と知識を教え込む3つの心得"
自律型部下を育てるティーチング(いわゆる仕事の教え方の見本)」を様々な演習を通じて体得できます
詳細はこちら→http://www.chusanren.or.jp/sc/sdata/2282.html
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