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原子力論考(53)放射線の影響に関する情報の認知調査

原子力論考(53)放射線の影響に関する情報の認知調査

開米 瑞浩

社会人の文書化能力の向上をテーマとして企業研修を行っています。複雑な情報からカギとなる構造を見抜いてわかりやすく表現するプロフェッショナル。

当ブログ「開米のリアリスト思考室」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/kaimai_mizuhiro/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 ちょっとした調査をしたのでその結果を報告します。
 まあ、別に調査会社でもなんでもないので、私の直接の知人を中心に、こういう質問をしてみただけですが。

質問:下記の各情報を聞いたことはありますか? いずれも、それを信じるかどうかとは別に、単に「聞いたことがあるかないか」だけでYES/NOでお答えください。

(1) チェルノブイリに関して国連科学委員会が「セシウム由来の放射線障害は起きていない」と結論づけていること

(2) 放射線影響研究所が原爆被爆者の子供における放射線の遺伝的影響を追跡調査した結果、広島・長崎の原爆被爆者の子孫に対する遺伝的な影響は出ていない、と結論づけていること。http://www.rerf.or.jp/radefx/genetics/geneefx.html

(3) アルファ線を出す核種(要はプルトニウムですが)による内部被曝はきわめて危険である、という説(ホットパーティクル説といいます)があること

(4) そのホットパーティクル説は学術的には完膚無きまでに否定されて、現在では元の提唱者も取り下げていること

(5) 甲状腺障害の治療のために放射性ヨウ素を服用する場合があり、その量はギガベクレル単位(つまり現行の食品に関する基準 100ベクレル/kg の1千万倍以上)であるということ

 もう一度書きますが、単に「聞いたことがあるか、ないか」だけで、それを「信用するかどうか」とは別に、です。したがって、「聞いたことはあるが信用はしない」という人も「Yes」という回答をしています。

 調査範囲は私のリアル知人を中心に今のところ11人。
 結果は次の通り。(YESの割合を示す)

    (1) 73%
    (2) 55%
    (3) 55%
    (4)    9%
    (5) 18%

この5つの情報は、放射線の影響に関して真剣に調べ始めたらすぐに見つかるものですが、危険煽りの好きなマスコミではこの種の情報は目立たちません。まったく報じられていないわけではありませんが。

しかし、たとえば(1) (2) はいずれもれっきとした研究機関が行った調査で多くの科学者の批判を受けた結果の結論です。だから正しい、という意味ではありませんが、「政策判断」をする場合には知っておくべき基本的なInformationの1つなのは間違いありません。

一般の人がそれをまったく知らず、危険煽りをする反対派の主張ばかりを聞かされている、としたらそれは間違いなく異常な事態であり、報道機関が本来の役割 を果たしていない、ということです。そういう事態になっているのかどうかを知りたいので、普通に生活をしている知人に答えてもらいましたが、こんな結果で した。

ちなみに(5)は誰も否定しようのない単なる客観的な事実ですし、(4)もきわめて信憑性の高い情報です。

(1)~(3)については50%を超えていますが、(4)(5)は20%以下。
これをどう解釈するかは・・・とりあえず読者の判断にゆだねます。

とりあえず、(3)の認知度が高いのに(4)のほうが知られていない、というのは困ったことだなとは思いました。


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