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現場での組み立てをどうするか考える

»2013年3月17日
事業のヒント

現場での組み立てをどうするか考える

神 真一

事業アドバイザーとして、滋賀、京都で「楽しく正しい事業」に導く事業アドバイスをしています。

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工場見学時には、各地の現場でプール工事をしている会社の社長も一緒に来ていました。

社長と言うよりも、職人を何人か率いて自分が先頭に立って仕事をしていますので、親方と言った方がふさわしいですね。

「たまたま近くのステンレスプール工事現場で仕事をしている」ということでしたが、近くと言っても他府県のことです。

泊まり込みで全国各地の現場を渡り歩いているため、隣の県だったら近いという感覚なのでしょう。

工場内を見学している途中では、いろんなことを教えてもらえました。

いろんな話を聞いていると、勉強になると同時に、どんどん不安が増してきました。(笑)

工場でのパーツ製造が終わったら現場での組み立て工程になるのですが、誰がやるかも決まっていませんし、そもそも、やる人材や会社がなかったからです。

不安が増すというよりも、「これは、ちょっとやそっとじゃ無理やぞ・・・」という感じです。

それはわかっていたのですが、あらためてそう実感してきたのです。

そこで、金額についてちょっと聞いてみました。

「社長のところで工事一式はいくらで請けているのですか?」

「25mプール工事一式で○○○万円くらいですなあ。職人数人が泊まり込んで作業しますんで、短期間でできるんで安い方ですわ」

「その金額をもう少し安くする方法はないですか?」

「難しいですなあ。主に人件費なんで、それくらいはどうしてもかかるしなあ・・・」

その金額は、私が想定していた金額の倍くらいでした。

そこに依頼すれば、現場工事一式ができることになりますが、赤字を出すことになってしまいます。

さらに、今回は子供用プールもありますので、赤字どころか火の車が一台走りかけます。(笑)

かといって、未経験者ができる工事ではありませんし、唯一、ステンレス溶接をやったことがある従業員は、「直線の溶接は無理」と言います。

溶接で一番難しいのは、金属板同士を貼り合わせて、真っ直ぐ溶接することです。

溶接時は強力な光が出ますので、面をかぶって作業します。

面は真っ黒ですので、溶接の光が見えるものの、貼り合わせのラインがよく見えずに、いつの間にかズレてしまうことがあります。

私も鉄板の溶接で経験しましたが、よく見えずに「これで真っ直ぐのはずだ!」と勘で溶接していると、貼り合わせラインから1センチくらいずれて溶接していたこともあります。

これは溶接ではなく、片側の鉄板に肉を盛っているだけです(笑)

また、一直線に手を動かして溶接するのは熟練の技が必要で、手を動かしている間は息を止めて溶接します。

呼吸すると、それだけで直線がプレてしまうのです。

あ、いつの間にか話がブレておりました。(笑)

とにかく、今回の工事はちょっとやそっとの技術では無理だということです。

さらに、小さな部品を溶接するのではなく、今回は巨大な物体ですので、下手な溶接をして歪んでしまえば、やり直しになる可能性もあります。

そうなったら、赤字が出るどころの問題ではなくなります・・・。

「良かったら、うちでやりましょうか?」とニコニコしながら言うおっさんじゃなくて社長を見ながら、どうしたものか考えていました。