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学べる店舗数値力2『前年比』

学べる店舗数値力2『前年比』

川乃 もりや

とあるところで、とあるコンビニのオーナーをしている、「川乃 もりや」です。事情により、匿名です。とあるコンビニの元社員が仕事や感じたことを、時にはコンビニの内情のあれこれをブログにしちゃいます。みなさんお付き合い下さい。

当ブログ「とあるコンビニオーナーの経営談議」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/kawarimonoya/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


先日、誠Biz.IDの企画で行われた池上彰さん×津田大介さんの対談を現場で見させていただきました。津田さんの池上さんに対する質問力にも素晴らしいものを感じながら、池上さんの大変分かりやすくタメになる話を、PCのバッテリーが途中で切れたこともあり(tsudaることをヤメて)じっくりとお二人の話を堪能してきました。見てない人はこちらからどうぞ!!

池上さんは自分と周りの人・モノに対しての距離感を自身で操っている感じがした。「本を書くのが本業」「自分の意見は持っているがそれは言わずに、皆さんの考えを補佐できる情報を多く出し続ける」「コメンテイターの仕事は断って解説をさせてもらう」と、すべての事柄に自分の立ち位置を決めそれに沿って進んでいる。だからこそ、伝え方・考え方にブレが生じないのだろう。池上さんはマネージャーを付けていないそうです。仕事を自身でマネージメントすることからも池上さんの姿勢が垣間見れる。
私で言えば、コンビニのオーナーという立場をハブにして周りとの関わり合いを持つ。そんなことを感じされられた対談でした。

店の数値分析も、一つの「テーマ」を中心に据えて数値を見ていかないと、最終的に行動がブレていくのではないだろうか。本日は見方によって解釈がまるで変わってしまうこともある『前年比』について書いてみましょう。

前年比(%)=(今年÷去年)×100である。
店舗の中でも、最も多く用いられる数値指標ではないだろうか。まぁ実のところ店舗が用いているというより、店舗巡回社員、コンビニ本部が指標として用いていると言った方がいいのかもしれない。企業は成長し続け無ければならないといった強迫観念にも似た思いが、前年比という数値指標を生み出したのでしょうか。
ところが、コンビニ経営者は自分達が生きていらければ最悪OK!的なところもありますので、「前年より売上落ちた」位のことを言われても「そうだね」位にしか思わなかったりします(笑

《見方が変わると解釈が変わるとは》
例えば、今年のような猛暑。当然、飲料の売上は前年より伸長します(大きな外的要因がない場合)それに伴い店舗全体の売上も伸長します。解釈として、店全体の売上が伸びたから「良かった」で終わらせて良いのでしょうか?
当店のリアル数値で見てみましょう。
2010年8月度
店全体前年比104%
飲料前年比108%
飲料抜き店前年比103%
※猛暑が売上に与える要因は飲料だけではありませんが、分かりやすくするため飲料だけを比較の対象としました。
当店においては、猛暑により飲料が今年の売上を押し上げたものの、飲料を抜いた数値も前年を超えているので「良かった」と言ってもいいでしょう。これが、飲料を抜いた数値で前年比割れを起こしているのであれば、店舗運営に何らかの問題があると言っても過言ではありません。これが見方を変えるということです。

《前年比から問題点を発見していくには》
これで、終わらせるのも良いでしょう。しかし、問題点を前年比より発見したいという視点に立てば良かったカテゴリーだけを見ていてはいけないでしょう。もちろん前年比が悪いからといって、安直にその前年比の悪いカテゴリーを問題視してもイケません。例を上げれば、今月10月の煙草の前年比が非常に悪いです。イコール問題カテゴリーというわけではありませんよね。何故ならば、先月9月には煙草の増税に伴い、まとめ買いが発生しているからです。当然、まとめ買いをしたお客様の煙草購入高は減ります。このような特殊な事例もしくは、原因の明らかな(例;市場の急激な増減)前年改悪カテゴリーを問題視していると行動が迷走するでしょう。

私の店舗では、8月度ファーストフードの売上に目を付けました。8月のお盆を過ぎて数値の確認をしたところファーストフードの売上が大きく改悪している事を確認しました。前年比88%です。大きな原因はお盆時の販売不調にありましたが、時間帯別の数値を確認するとお盆前から夕方以降の販売が減少していることが分かりました。そこで、夕方以降の販売方法に注意を向けることで、9月度98%、10月度直近で104%の数値まで回復したのです。

これは、店全体の数値だけを見ていたら発見出来なかったことです。店全体数値の良し悪しに惑わされず、自分の数値を見ていく「テーマ」を持つことです。
「カテゴリー別の売上前年比を100%超にする」とか「一番改悪しているカテゴリーを改善し続ける」とか自分でテーマを決めましょう。ちなみに私は数値を見るときに考えていることは「このカテゴリーは本領を発揮出来ているのか?」と考えながら数値を見ています。この視点をブラさなければ改善可能な問題点を発見できるでしょう。

しかし、改善に向ける行動はどうしたらいいのでしょう?
それには目標を決めなければなりません。目標がなければゴールはありません。ゴールが無いと疲れてしまいます。疲れはやる気を削ぎますので、必ず目標(ゴール)を決めてから動いていきましょう。では、その目標の決め方を前年比から算出するには

と、今回はココまで(笑
次回の【学べる店舗数値力3『前年比その2』】をお楽しみに!!