誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
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ベリークルシミマス

ベリークルシミマス

川乃 もりや

とあるところで、とあるコンビニのオーナーをしている、「川乃 もりや」です。事情により、匿名です。とあるコンビニの元社員が仕事や感じたことを、時にはコンビニの内情のあれこれをブログにしちゃいます。みなさんお付き合い下さい。

当ブログ「とあるコンビニオーナーの経営談議」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/kawarimonoya/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


クリスマスシーズンですが、いかがお過ごしでしょうか?
本日は、誠ブログ管理人の澤田さんよりコンビニのクリスマスについて、お題をいただいたことと、昨日の誠ブログオフ会で、誠編集長吉岡さんから講義いただいた「どんなお題でも書けるフレームワーク」を踏まえ、1本ブログを捻出してみました。

コンビニのクリスマスと言えば、大きく3つ商材によって商売が成り立っています。
◯クリスマスケーキ
昨今のコンビニのデザートは皆さんも御存知の通り味のレベルが上がっております。これは、クリスマスケーキの販売からノウハウを取り入れたことに起因していると、私は考えております。10年程前からコンビニ各社は、年末商戦の一つにクリスマスケーキの販売に力を入れてきました。
それまでは、食品業者の提案をそのまま受け入れて販売するという方法で、10件もケーキを販売したら優秀な店舗でした。ある時期を堺に、商品の企画を、食品会社のみが行なうのではなく、コンビニ本部の商品部も商品作りに参加するようになって、デザートのみならず、多くのオリジナル商品のレベルに変化が起きました。
それにより、クリスマスのケーキ販売はうなぎ登り、店舗によっては1000件を超える予約を獲得するほどだと聞いております。
今年も、コンビニスイーツブームに乗り販売は好調。当店は催事に力を入れる店舗ではありませんが(単日に力を入れることに経営的な興味がわかないのです。だったら、毎日、ちょっとでも実になる業務変革を起こした方がトータルで良いと考えているからです)、100件を超える予約があります。

◯ファーストフード
クリスマスに販売伸長するものの代表格。チキン関連商品。ファーストフード店のお株を奪うが如く、コンビニチェーン各社、クリスマスチキンの販売にも力を入れます。
これは、通常片手間に行なうファーストフード販売では、収まりきらない程の量を作ります。一人チキン専用要員を用意しなければならないほどです。
作成方法などを記載すると所属チェーンがバレてしまうので「かわりものや極秘事項」を守るために書けませんが、これもクリスマスの重要な商品のひとつです。

◯アルコール飲料
やはりアルコールも販売内容が少し変化します。
通常安価な発泡酒で済ませている方も、クリスマスとなると財布の紐が緩むのか正規のビールが販売伸長いたします。
しかし、なんといっても赤白ワイン、スパークリングワインの販売伸長が大きいです。通常、スパークリングワインの品揃えは1種類2種類なのですが、このクリスマス時期は4種類5種類と容量を変えて品揃えします。
また、女性の為にサワー系の缶酎ハイも動きが盛んです。通常晩酌をしない主婦層を中心に売上が立ちますので、甘めのサワーを品揃え強化していきます。

当日、売上は通常の2倍近くにまで跳ねますので、苦労は絶えません。
まずは、人員の確保に苦しむでしょう。当店は、バイトのスケジュールを曜日固定しています。バイトは自分で代わりを探すという伝統を作り上げましたので、人員に困ることは少ないのですが、店によってはバイトが自分の入りたい日を申請するパターンで運営している店もあります。そうなると、肝心な催事に人がいないという苦労をすることがあるのです。これは、私がファーストフード店で店長をしていた時に同様の苦労を経験したため、経営者となった今は雇用契約を曜日契約とすることで、当時苦労した経験を活かしました。

膨大なケーキの受け渡しも大変な業務の一つです。間違えて商品を渡したら目も当てられません。社員だった頃は、ケーキを探しまわって1日が終わる経験もしました。
また、納品時には商品の検品に苦労します。納品された膨大な量のケーキの状態を一つひとつ検査していくのです。イチゴに痛みはないか?ケーキの潰れはないか?と、お陰で、クリスマスイヴにかけての深夜は、ケーキの検品で半徹。場合によっては、そのまま、25日まで眠れないのです。

ケーキのことで言えば最悪に凹むのが、当日販売分が売れ残った時です。予約を中心に受け付けてはいますが、やはり当日売り場にケーキを並べていく必要があります。これが、ケーキ専門店ならば、廃棄ロスも考えて価格設定も出来るでしょうが、コンビニはそうではありませんので、売れ残ったケーキは当日出勤したバイトへのボーナスと、我が家のクリスマスパーティーに使用されます。よって、我が家のクリスマスパーティーは、26日に行われることになっています(不憫な子供達ウゥッ)

売上が立つのは大変嬉しい限りなのですが、やはり、お客様商売は、クリスマスを手放しでは楽しめないといったところです。では、最後にクリスマス商戦を戦っている人達の声を代弁したいと思います。
「キリスト教徒でもないのにクリスマスとかヤメませんか?
日本には正月があるじゃないですか!」

と、お客さん商売を経験した人なら誰でも思ったことがあるはず。
けど、その商売人達が、日本のクリスマスを創ったのですから諦めて商売に専念しましょう(笑

皆様ベリークルシミマス!!