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ARCS(アークス)モデルを従業員育成に取り入れてみる
»2011年1月18日
とあるコンビニオーナーの経営談議
ARCS(アークス)モデルを従業員育成に取り入れてみる
とあるところで、とあるコンビニのオーナーをしている、「川乃 もりや」です。事情により、匿名です。とあるコンビニの元社員が仕事や感じたことを、時にはコンビニの内情のあれこれをブログにしちゃいます。みなさんお付き合い下さい。
当ブログ「とあるコンビニオーナーの経営談議」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/kawarimonoya/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
「コンビニのオーナー・店長の仕事で一番重要な仕事は?」と、聞かれたら、迷わずに「従業員育成」と、私は答えるだろう。それは自分の中で「苦手なモノ」と、認識しているからかもしれない。
コンビニのような業態のアルバイト継続年数は非常に短く、1年以上継続率は1%、2%と言われている。理由は様々だが、平均的なアルバイトのパターンを記しておくと、高校生にしても大学生にしても1年生からアルバイトを始める人は、比較的少ない。学校に慣れて1年が過ぎた辺りから「バイトでも始めるかなぁ」と、いうのが標準だ。すると2年生から始めることになる。学生はその後、進学・就職が控えている。すると、2年生の間、長い人で3年生の前半で、受験勉強や就職活動へ移行しまう。そんな生活パターンからも学生のアルバイト継続年数が少ないことがわかる。もちろん、それ以外の理由もあるので、更に継続年数が少なくなる。
そうです。教えても教えてもすぐに辞めてしまうのだ!
ココまで短いと、従業員教育が重要だと思っていても、教える気力を無くしていく自分自身がいる。そんなことを繰り返しているからだろうか、いつしか従業員教育に対して苦手意識に似た感情が生まれてきた。
今は、直接従業員教育に携わるシーンは少なくなってきたのだが、私が思ったように、現在、従業員教育をしてくれている部下もそう思うのではないだろうか。いや、きっと思っているだろう。
そんな時、誠ブロガーの石井力重氏のTwitterでのつぶやきで「ARCSモデル」というものを知った。
『ARCSモデル』
1983年にアメリカの教育工学者、ジョン・M・ケラー教授(フロリダ州立大学)が提唱した学習意欲を高めるためのモデルです。
以下、石井氏のHPから参照させていただきます。
◯ARCSモデル
1;注意(Attention)「面白そうだなぁ」
学習者の興味を引き、探究心を喚起する。マンネリを避け、学習者に「面白そうだなぁ」と思わせること。
2;関連性(Relevance)「やりがいがありそうだなぁ」
学習目標に対して親しみをもたせ、与えられた課題を受身的にこなすのでなく、学習者が自分のものとして積極的に取り組めるようにする。目標に向かうプロセスを楽しめるようにし、学習者に「やりがいがありそうだなぁ」と思わせること。
3;自信(Confidence)「やればできそうだ」
ゴールを明示し、成功の機会を与える。自分の努力によって成功したと思えるような教材にし「やればできそうだ」と思わせること。
4;満足感(Satisfaction)「やってよかったなぁ」
学習の結果を無駄に終わらせない。目標に到達した学習者をほめて認める。公平な評価を行い、「やってよかったなぁ」と思わせること。
これは、従業員教育に使えるのではないか!!そう思って、現在使用している「新人向けハンドブック(自作)」の流れにARCSモデルを組み込むもうと考えたのです。
しかし、すぐに壁にブチ当たりました。
『注意(Atteention)・自信(Confidence)』は、特に問題は無く個々の業務指導に取り込むことが出来たのですが、『関連性(Relevance)・満足感(Satisfaction)』を、どの様に業務とリンクさせたら良いのか全く発想が浮かばないのです。
何故ならば、バイトがアルバイトをすること自体に思い入れが無いからです。「無い」と言ってしまうと語弊がありますが、コンビニでアルバイトを始める動機なんて「自宅から近いから」が圧倒的に多いのです。そのアルバイト達に「やりがいがありそうだなぁ・やってよかった」と、思わせるのは至難の業。アルバイトをすることに対して「目標」を持つことが無いのですから、結果の「満足」を与えることが難しいのです。
そこで、発想の転換をしてみたのです。
アルバイトをすること自体に「目標や満足感」を望むことが無いであれば、バイト個人の「目標や満足」を、アルバイトすることによって達成させてあげれば良いのではないだろうか!
アルバイトの誰もがバイトはメンドクサイけど、バイトの給料で買いたい物があったり、将来なりたい職業があったりします。それらを、アルバイトと連結させれば、業務自体は面白く感じる必要はないのです。
新モデル『RACSモデル(ラークスモデル)』
R「関連性」;まず目標を提示させて、このバイトをすることで自信が達成出来る目標を常に認識させる。
A「注意」;目標とリンクさせながら「バイトは面白そうだなぁ」と思ってもらう。
C「自信」;小さな目標を達成させることで「もっとやりたい」と思わせる。
S「満足感」;自分の掲げた目標を次々に達成させることで「バイトして良かった」という満足感を与える。
その為のワークフレームの一つとして紹介しておきたいのが下記のフォーマットだ。
このようなプロフィールを作成している会社等はすでにあるのかもしれないが、単なるプロフィールで終っていないだろうか。これをARCSモデルと紐付けることで、従業員の自発的な仕事への関わりが期待できるような気がしたのだ。
下部の目標を一つひとつ達成感を味わえるよう、チェックBOXを入れてみた。
バイト退職時に額縁に入れてプレゼントしてみよう。どれだけチェック出来たかで、バイトをして良かったと思ってもらえれば幸いだ
PDFも貼っておきます
まだ結果が出たわけではないのだが、とりあえずこんな感じでアルバイト教育のスムーズ化を図っていきたい。
当初、考えていたこととはだいぶ違ったが、これを、事務室に掲げることでアルバイト自身の目標を見失わないで済むし、新人アルバイトとのコミュニケーションにも役立ちそうだ。