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競合店は生かさず殺さず

競合店は生かさず殺さず

川乃 もりや

とあるところで、とあるコンビニのオーナーをしている、「川乃 もりや」です。事情により、匿名です。とあるコンビニの元社員が仕事や感じたことを、時にはコンビニの内情のあれこれをブログにしちゃいます。みなさんお付き合い下さい。

当ブログ「とあるコンビニオーナーの経営談議」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/kawarimonoya/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 競合店対策というものがある。本部側は競合店は無い方が、もしくは潰れた方が良いと思っているだろうが、私は違う。競合店は潰してはいけないのだ。

 立地によっても違うが、コンビニの商圏というものは、最大半径300m~500mが範囲が買い物に歩く限界だと私は考えている。タバコの販売免許取得は、既存販売店から150m~200m離れてないと、許可が下りない(これも地域等によって違うが、関東財務局は詳細を教えてくれない)。今やタバコの無い店舗は余程利用客数が多くないと経営維持出来ない。これら2点の条件から、競合の立つ目安は200m~300m離れている空白地帯が危険ゾーンと考えている。

 現在コンビニエンスチェーンとしては、不採算店を潰し、別の場所に出店する方法が多く採られている。
社団法人日本フランチャイズチェーン協会の資料から店舗数推移を見てみよう。
2004年 38,901
2005年 39,877
2006年 40,616
2007年 40,929
2008年 41,714
2009年 42,629
2010年 43,372

 協会に加入チェーンがどれほどあるか分からないが、大手3社は含まれているだろう。それでも、年間全国で数百店の伸びに留まっているところからも、コンビニ出店地域の飽和状態が見ることが出来る。

 各チェーン共に店舗出店場所が無いのが現状である。

 そこで、チェーン本社は、売上の低い店を高い店にする為の行動を起こす。手っ取り早く実現出来るのが、不採算店の閉鎖と新規出店である。俗に言う、ビルド&スクラップと言うやつだ。

 仮に自店に優位性がある場合で、競合店の息の根を止めたとする。すると、閉めた側のチェーンは、同一立地で新規店舗を立ち上げようとするのだ。これは、ドミナントを死守するが為の行為だ。チェーン店の最大の強みであるドミナント方式は、経営特性上守らなければならないのが、チェーン本部。ゆえに、潰れたままその地域を放っておくわけがないのだ。

 折角潰しても、元々潰れるような店の為、潰れた後の見返り(売上増)は大きくは見込めない。これは筆者の経験からだ。それより、その後、自店より好立地に新規出店される方が苦しむ確率が高くなるのだ。
 
 やらしい考え方だが、人は比較においてモノを評価する。近隣に自店より不甲斐無い店舗があった方が、自店の評価も上がるというものだ。無理して競合店を潰すより、ひっそり残ってくれた方が総合的に良いと筆者は考えている。しかし、自商圏に後から出店してきた店や自店より優位な競合店は別だ。徹底的に分析し、勝つ為の手段を考えて実践していかなければならない。
 
 これから、コンビニを始めようとする人に一つアドバイス。競合店対策とは大変な苦労が伴う。その競合店対策の苦労を和らげる方法は、すでに競合のある場所に出店することだ。もちろん、既存競合店に勝つ自信が有ってこその作戦ではあるが。