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記憶と忘却
»2013年2月15日
とあるコンビニオーナーの経営談議
記憶と忘却
とあるところで、とあるコンビニのオーナーをしている、「川乃 もりや」です。事情により、匿名です。とあるコンビニの元社員が仕事や感じたことを、時にはコンビニの内情のあれこれをブログにしちゃいます。みなさんお付き合い下さい。
当ブログ「とあるコンビニオーナーの経営談議」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/kawarimonoya/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
コンビニだけではなく、一期一会の接客サービスを行なう上で「物忘れ」は、重大な損失となりうる。箸の入れ忘れ、お釣りの渡し忘れ、コンビニでも日常のように発生する可能性が高い。
その要因は、短期記憶の繰り返しにあると考えている。例えば、レストランで「お客様;水下さい」→「従業員;かしこまりました」→「従業員;水を持っていく」→「従業員;忘れる」ということを繰り返して行なっている。
従業員は、お客様の「水下さい」を永久に憶えておく必要がないため、忘れるという行為は、その他の作業へ集中するための手段とも言える。忘れることで、短期記憶のメモリー容量を増やすとでもいった感じだろうか。
しかし、「忘れる」という行為が、ミスにつながる。「お客様;水下さい」→「従業員;かしこまりました」→「別のお客様;灰皿下さい」→「従業員;かしこまりました」→「従業員;灰皿を持っていく」→「従業員;忘れる」「従業員;水を持っていくことも忘れる」
接客サービス業を、特にレストランや筆者のようなコンビニ業の仕事をした人なら誰でも経験があるだろう。別名ファイルで記憶しなくてはイケないはずなのに、上書きをしてしまうのだ。
このミスを防ぐのは避け切れない。熟練度が上がれば、ミスが発生する確率は下がるだろうが、どんな熟練者がやっても"物忘れ"がゼロになることはない。
防ぐ方法は、記憶するという行為を極力さけることしか無いと筆者は考えている。
例えばマクドナルドでは、レジでオーダーすると、レシートと共にオーダー表みたいなモノが同時にプリントされる。それをチェックすることで、渡し忘れを減らしているようだ(それでも"物忘れ"を100%解消できない)。
筆者が店舗で行なっているのは、注文を受けたら優先的に作業することだ。レジを打っている途中でタバコの注文をされたら、レジを打つことを中断してタバコを取りに行く。当たり前のようだが、効率が悪いやり方なのだ。でも、忘れるより良い。
あとは、一連の作業を中断しないことだ。先のコトと反するようだが、少し違う。釣り銭の渡し忘れ時に多いことだが、商品のレジ入力終了後は、お釣りを渡し終えるまで作業を中断してはいけない。預り金入力後レジが開いた状態からの、追加注文を受けることは多い。その注文が、お釣りを渡すという記憶を上書きしてしまうのだ。皆さんはこのタイミングで注文することを避けるようにした方が良い。
性格の悪い人は実験してみたらどうだろうか、従業員がレジに預かり金を打って釣り銭を渡される前のタイミングで、タバコかファーストフーズの注文をするのだ。高確率で釣り銭を忘れられる(笑)
物忘れをなくすためには、メモをすることが一番確実だと考えているが、筆者のような業種だとメモも出来ない。今後、短期記憶を避けるシステムが出来るようになることを願うばかりだ。