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25歳のCEOがTumblrを作った理由

»2012年2月14日
3分間ビジネスモデル

25歳のCEOがTumblrを作った理由

斎藤 健二

DOS/V雑誌→IT系ニュース記者→ケータイ関連Webメディア創刊編集長→LifeHack系Webメディア創刊編集長→複数Webメディア発行人→スマホ事業責任者。ONETOPIボードゲームキュレーターです。Twitterアカウントは@kuzyo


PVは月間160億。月に1億3000万人が来訪するソーシャルサイト。国防総省やレディ・ガガもページを持っている...。

いや、FacebookやTwitterではない。日本では非常にマイナーだが、米国では大ブレイク中のミニブログサービス、Tumblrだ。

2月14日、CCI主催のSocialMediaWeekに来日した25歳のCEO、David Karpの講演を聞いた。それなりに大きな会場だったが、人の入りは半分、100人程度。しかもスーツは1割もいない。膝にMacbook Airをのせたアルファな感じのブロガーがほとんどだ。米国で著名人がこぞって使い始めブレイクしているTumblrだが、日本での認知の低さを如実に表している。

Limitless Expression ー 制限なしの表現力

DavidはTumblrの特徴を2つ挙げた。1つはその表現力だ。Tumblr創業の2007年当時、Webへのパブリッシングツールとして存在感を持っていた、Flickr、YouTube、Twitterという3つのサービスは、いずれも簡単に投稿ができたが、デザインについてはお仕着せから変えられなかった。一方で、wordpressに代表されるブログCMSは、利用者の裁量は大きいものの、使い方が複雑。

「そこで、7つボタンを並べて、簡単に投稿できる仕組みを考えた。いろいろな種類のものが投稿できる。そしてデザインを自由に選べる」(David)。

Huge Opporunities 

もう1つが、リブログだ。クリエイターが作成したコンテンツを、その周囲にいる"キュレーター"が「Reblog」によって拡散させていく仕組み。「Tumblrの一番面白いところは拡散性だ」とDavidは言う。

Tumblrのコミュニティは、クリエイター、キュレーター、オーディエンスの3層構造になっていて、キュレーターは作り手ではないが表現したい人たちだ。そしてオーディエンスはキュレーターたちの"集め方"に対して、自分たちのアテンションを与えていくという構造になっている。

Tumblrはクリエイターのためのツール

若きCEOがTumblrをどのように位置づけているのか、気になってInstagram、Pinterest、Posterousなどの新興サービスへの評価を聞いてみた。彼の答えは、

「我々はクリエイターにとっていいツールを作っていく。何にフォーカスするかということ、クリエイティビティだ。表現をするプラットフォームは現在、YouTube、Instagram、Tumblrしかない」

これには少々驚いた。初期の頃、Twitterと並び語られることの多かったTumblrだが、Twitterとは違い、自らをクリエイティブなツールだと言い切っていることが1つ。「コミュニケーションではなくクリエーション」という言葉も言っていた。Tumblrのメインユーザーは、世に出ることを目指す14〜20歳の若者と、写真の楽しさに目覚めた50〜60代のシニア層だ、と言っていたのも興味深い。こうしたEmerging Creatorが、Self Expressionプラットフォームを支えているというのだ。

もう1つは、新興のInstagramを、YouTubeと並べて位置づけたこと。2007年ならばここにFlickrがきていたはずだが、完全にリーダーは入れ替わった。Instagramはモバイルファーストだ。いまだにAndroid版はなく、PCでもサービスに参加することはできない。そしてDavidはTumblrのモバイル対応の遅れを認めている。ちなみに日本ではTumblrへのアクセスの33%がモバイルだそうだ。これはグローバルでは20%であり、日本はモバイルで先行しているようだ。

クリエーター、自己表現の場、そこにTumblrの意義を置いているDavidなわけだが、もともとはブックマーク的なツールとしてTumblrの開発を始めたことには触れておこう。David自身が使いたいと考えていたのは、こっちのツールだったという。本人が述べていたが、思った以上にクリエイターが集まり、Reblogという仕組みによって拡散機会が高まったことが、Tumblrの性格を変えていったようだ。

なお、160億PVのうち、7割はTumblrユーザーで3割がビジターだという。Facebookと同じように、実はかなりクローズドなトラフィックの生まれ方だ。またGoogleよりもFacebookからの送客のほうが多いそうで、SEOからソーシャルへのシフトも明確になってきている。