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産業医からみた復職のポイント

産業医からみた復職のポイント

伊藤 崇

株式会社リヴァ 代表取締役。うつの方への社会復帰支援サービスを展開中。医療、福祉、産業と色々な業界の機関とつながりをつくり、一人でも多くの方が自分らしくハッピーな人生を歩めるような支援を目指している。

当ブログ「うつ病からの社会復帰 自分らしい人生を!」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/liva/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


こんにちは、リヴァの伊藤です。

うつ病の方が社会復帰を目指すにあたり具体的にどんなことをすると良いのか、
リヴァが持っている経験や知識、事例をご紹介出来ればと思い、現在、本の執筆を進めております。
その一環で、複数の企業で活躍されている産業医の方々にインタビューをしました。

休職される方の特徴は大きく分けると3つタイプの傾向があるようです。

1)消耗型
 過重なストレスや心身疲労によるエネルギー切れがきっかけとなる。
 残業が続いたり、ストレスになることが重なったりする場合。抱え込んでしまう人に多い。

2)適応障害型
 職場環境(異動、昇進)や職務要求水準と本人の適性のミスマッチ。
 例えば研究開発などの専門職だった方が、管理職に昇進して部下のマネジメントが必要になってくる場合に、適応出来ず体調を崩す。

3)未熟型
 本人の未熟なパーソナリティが原因となり、通常であれば乗り越えられる困難や人間関係の軋轢に簡単につまずいてしまう。若者に多い傾向がある。

リヴァを利用している方ですと、上記1)と2)が多いように思います。

物事に対しての考え方や溜め込まない仕事の進め方、上司部下とのコミュニケーション等、これらを一度振返り、見直しが必要なところは修正していかなければ、病気の症状だけ回復しても再発しやすい状況にあるといえます。

企業側としても、本人の適性を見極め、本人と企業がそれぞれ考える課題のすり合わせをするなど、ギャップを埋めていく必要があると思います。


上記3)の場合、
もちろん本人にも課題があるとはいえ、業務の効率化や競争の激化により経験の浅い社員にも早急な成果を求められてきています。
産業医の方々も、

「本人の自己努力はもちろん必要ですが、リストラなどで人員が減っていく中、以前の日本企業にあった組織の中で人を育てていく仕組みは、弱くなってきているではないかと感じています。そのような企業を取り巻く環境の変化も、休む人が増えている一因にもあるのではないかと思います」

と仰っておりました。



職場復帰するにあたってうまくいくポイントとはどんなことがあるのでしょうか。


1つは、上司の役割はとても大きいとのことです。
本人の業務を把握している上司が、病気についてしっかりと理解を示してしていることは、スムーズな復帰に欠かせません。

「仕事の進め方、分量、進捗などを定期的に上司と確認する場を作ることが大切です。それともう一つ初期症状を本人が把握する、セルフモニタリングが大切です。初期症状は個人によって特徴があるように思います。たとえば、初期に必ず不眠になる人もいれば、頭痛がひどくなる人など。我慢しすぎず上司に状況をこまめに報告することで、早めの対応につなげます。体調不良は意外と周囲からは分かりにくいものです。」


上司としても本人が相談しやすい環境をつくることも大事です。
『いつでも相談に乗ってくれていいよ』、と言いながら忙しそうにしていたり、無意識にでも話しかけづらい雰囲気を出していると、相談出来ないものです。特にうつ病になる方は、相手に気を使いすぎてしまう方が多いですから。

また、こんなことも仰っておりました。

「休職前の自分はよく仕事が出来たというのに囚われていると危険です。昔の自分はよく見えるものですから。前の自分に戻ろうとするとするのではなくて、新しい働き方を見つけるという考え方が大切だと思います。自分で休職に至った経緯や課題について、自らで物語を語れる人は、復職がうまくいくというのはよく聞きます。以前はこんな自分だったけど、こんなことがきっかけで病気になって、それで自分の性格や考え方の特徴こんなことに気づいて、いまの自分はこうなった、こういう働き方が大事であることに気づいた、など。それは、つまり自己理解分析がしっかりと出来ているということでもありますから」


インタビューでは休職中の過ごし方になんかも伺っておりますが、今回は復帰した後のポイントについてまとめました。

何かの参考になれば幸いです。