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サラリーマンが起業を考える時(3)
そろそろ脳内ビジネスの話をしようか
サラリーマンが起業を考える時(3)
株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。
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▼血塗られた起業では未来も血塗られている
前回、リスクを出来る限り少なく起業を検討するのであれば、会社の業務一巡を勉強するために、小さな会社か独立事業部制の会社に就職するのが理想と言いました。
こんなことを言うと
なるほど、その会社で一生懸命頑張って、最後は信頼関係を築いたお客さんや部下を引き抜いて独立するんですね?
という発想を持たれがちですが、それは大きな間違いです。
確かに、それが経営のスタートアップにおいてはもっとも手っ取り早く顧客とスタッフを得られる手段に思えます。
しかし、経営には揺るぎない美学が必要です。血塗られた歴史を持つ経営には、必ず血塗られた未来が待っています。
かくいう私の会社も、10年以上会社をやってくる間には、正直何度か信義にもとるような行為をしてしまったことがありますが、それは本当に恥ずべき行為で、そういう行為については今も社員に面と向かって話ができません。
そういう汚い行為を臆面もなくしている経営者は、社員からの尊敬も得られず、またいつか逆にそういう行為をされることになります。
経営者は、何物にも囚われない自由な発想で戦略を講ずる必要がありますが、「子供を人質に取る」とか「突如同盟を破棄して寝首をかく」ような戦法は絶対に採ってはいけないのです。
私は、そんな血塗られた未来に怯える会社を経営していくよりは、独立前に働いていた会社と長く付き合っていけるような立ち位置の会社を作る方がずっと現実的で、有益だと思います。
▼常にトップを目指すなんて、自分には無理だ
著名な経営者の成功談が書かれている本やWEBなどを読みますと、「トップを目指して諦めないことが重要」のようなことが書かれています。
これが、多くの「経営者になることを検討しているサラリーマン」の意気を挫(くじ)きます。
きちんと真面目に仕事をこなす自信はあるけど、トップを目指すなんてなんかしんどそうで無理だわ...と。
しかし、ここはあまり心配するところではないと思います。
折しも今年、蓮舫議員の「二位じゃダメなんですか?」が影の流行語大賞を取りました(*1)が、私は二位どころか業界の前から20%くらいのところに位置するように、舟をコントロールしています。
(*1:この発言自体は2009年ですが、2010年になっても幅広い世代を通じて様々なシチュエーションで使われていたようです。)
もちろん、一位を目指す会社は、それはそれで無くては困るので、あの発言には非常に反感を覚えるのですが、しかし生きやすさを考えれば、そこよりももっと後ろの方が、安定した市場ニーズがあると踏んでいるのです。
根っからの肉食系経営者であれば、「何人たりとも俺の前を走らせねぇ」でよいと思いますが、サラリーマンが「常にその可能性を胸に秘める」という専守防衛的な起業なら、業界トップを目指す必要はありません。
私なら、前から20%くらいの位置。
それより前に行きすぎたらブレーキをかけます。少し後れを取り始めたと思えばスロットルをふかします。
これが私が目指している会社の立ち位置で、起業以来ほぼ変わりません。
ただこれは、企業努力を怠っているというのとは違います。
例えば、「ジェネリック医薬品」をメインで売っている会社があるように、そんなに先端のものが必要でないお客様というのがたくさんいる(むしろそっちの方がパイが大きい業界もある)ので、そこをターゲットにしつつ、しっかりと世に価値を提供していこうというビジネスモデルです。
それはそれで、例えば社員のモチベーションの維持であったり、お客様への営業アピールの難しさであったり、地味な苦労は多いですが、ふと後ろを振り返ったら誰も同じ道を走っていなかった、みたいなどでかいリスクは明らかに軽減されます。
普通のことをまんべんなく8割できる会社って、なかなか無いものです。それで十分やっていけます。
そういえば、先日(といっても1年くらい前ですが)、ある長年ご贔屓にしていただいているSIerの担当者さんと飲んだときに、「本当に長い間弊社をお使いいただいてありがとうございます。ちなみに、どういうところが良くてウチを使っていただいているのですか?」と聞いたところ、「うーん、真面目なところだね。」という答えが返ってきました。「技術力はカネで買えるけど、真面目さはカネでは買えないからね。」と。
非常にありがたいお言葉でした。後生大事にしたいと思います。
ということで、起業の話はいったんこれで終わりにしたいと思います。
またいつかこの先を書きます。