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成功談は積極的に聞く価値なし。失敗談こそ収集せよ。

成功談は積極的に聞く価値なし。失敗談こそ収集せよ。

島田 徹

株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。

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特にビジネスで何か成功をしたいと思っている人ほど、成功者のtwitterをフォローしてみたり、書籍やwebでサクセスストーリーを追ってみたり、セミナーに行ってみたりしているようです。

しかしよく言われることですが、成功談より失敗談の方が一万倍くらい有益です。このことは、キャリアを積むにつれますます強烈に実感します。

成功談は、大抵内容がスカスカです。どんなに事前によく練られた事業計画を元に優秀なスタッフによって導かれたプロジェクトであっても、ひとたび「成功」と銘打たれてしまえば、その事業に厳しい分析なりレビューなりが入ることはまずありません。

またそのときの苦労話もたいてい大雑把で、慢心が感じられることが多いです。

本当に事業計画が良かったのか、アサインされたメンバーが優秀だったのか、単に運が良かったのか...。

そういうことを、深く分析することなく、話がどこかホワーンとしています。

ですので、「なるほどなるほど、それ、真似すれば私もうまくいくかも知れない」と思ったことはタダの一度もありません。

しかし失敗事例は、基本的にガチです。気合いの入ったライブ感がビンビン伝わってきます。

事業を中止するかどうかのギリギリの葛藤を何度も繰り返し、PDCAを回し続け、最後に「もうダメだ」「撤退しよう」というところまで本気で考え続けられています。

そこには、「もしあのとき、これがこうだったら結果が違ったかも知れない」というかなり現実的な謙虚な分析が存在しています。

こういう話は面白いですし、後々のためになります。「もしかすると、今からそこに気をつけてやれば、私なら成功できるかも知れない」、と思うこともしばしばです。

そういえばこんな話、ロバートキヨサキの『金持ち父さん 貧乏父さん』でも言ってましたっけね。ああ、それ成功者の話じゃないですか...(^^;

いや、実際、あの本でも、彼の成功談っぽい話の部分は適当に流して読んでました。だいたいにおいて、『それ、あなたの特殊能力のなせる技でしょ?なんの参考にもならない』と思ってました。

話を元に戻します。

事業の成功事例に限らず、何かのツールを入れてよかったとか、新しいスキームを取り入れたらうまく回り始めたとか、その手の話はWEB上、書籍上にあまた散らかっていますが、真面目にビジネスに取り組もうというのであれば、そんな情報を積極的に収集して回るべきではないと思います。

その時間がもったいないですし、本当に役に立つことは、信頼できる知人等から自然に耳に入ってくるものです。

ただ、失敗事例はなかなか転がっていません。それに携わった多くの人がそれを話したがらないからです。話したがらないというか、いろいろな人間関係があって公に出来ないというか...。

もしビジネスと真面目に向き合いたいのであれば、人とどんどん会って親しくなり、そういう話こそ積極的に収集するべきだと思います。

結局、ビジネスは『こうではない』『こうではない』『こうではない』の連続で、最後に残った物が、たぶん私たちが突き詰めるものだと思うのです。

ビジネスに『こうです』は無いです。