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遭難に備えて何を持っていくべきか?の話し合い
»2013年6月25日
そろそろ脳内ビジネスの話をしようか
遭難に備えて何を持っていくべきか?の話し合い
株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。
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遠足で山に入ったところ、引率の先生とはぐれてしまい、移動するかその場に留まるかして生き残らなければならない。さて、そんな状況に対処するためには、いったいどんな道具が必要でしょうか?グループに分かれてよく話し合って、以下の30個の道具の中から、5つの道具を選んで、理由と共に発表して下さい。・地図・ペットボトルの水・おにぎり・懐中電灯・新聞紙......
私の知人に小学校高学年のお母さんがいるのですが、授業参観の時、こんなお題で話し合いが行われたそうです。
当然、小学生はまだ知識も経験も無い(少ない)ので、この課題では正解を言い当てることが目的ではありません。
いや、そもそもこのお題に明確な正解というのは無いでしょう。これはおそらくグループで話し合って結論を出す、ということが主題の学習ですね。
こういうのってとても面白いです。
世の中に出れば、正解がない問題について、何らかの結論を出さなければいけないことばかりです。テスト向けの勉強にはない、とても意義のある教育だと思い、感心してしまいました。
また、この話し合いにはもう一つのルールがあって、必ず30分で結論を出さなければならない、ということでした。
弊社の会議も45分以内に結論を出すと決めてますが、時間を決めることはとても大事です。これがあるか無いかで、話し合いがどこぞの議会のようになってしまうかが決まります。
私は、たとえば2週間かけてメンバーで徹底的に話し合って、皆が納得する結論を出した答えよりも30分でエイヤで出した答えの方が圧倒的に価値があると思います。
30分で結論を出せば、それから2週間の間に実際に行動に移してそこからフィードバックを得たり、あるいは別のことを議論できるからです。
また、そもそも時間制限の無い話し合いでは、一切話はまとまらないでしょうね。
まとまるとしたら、おそらく粘着質な人が持論に固執し、理性的な人が折れるということによってまとまるパターンでして、それではもっともよい意見に集約されたことにはなりません。
その意味で、今回は正解のない問題をスピード感を持って結論を出すという、とてもよい試みだと思います。
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ただ、欲を言えば、次回はもう一つ入れてもらいたいルールがあるなぁ、と。
それは話し合いのチームの中に、必ずリーダーを入れるということです。
議長や進行役ではなくリーダー。(←これ大事)
30分の話し合い時間であれば20分くらいからリーダーが中心となって意見を取りまとめていくというのはどうでしょうか。
みんなで話し合って結論を出すのではなく、最後はリーダーがチームの結論を決定するのです。
この方が意見は確実に早くまとまりますし、そしてなにより全体として一本筋の通った選択が得られると思います。
たとえば、冒頭の話し合いの中でリーダーが存在しないと、
「じゃあまとまらないので、ここは公平に5人の各メンバーが一番持っていきたいものはとりあえず持っていくことにしようか」
などということになったりします。
すると
- 地図
- 懐中電灯
- ヘッドランプ
- おにぎり
- ライター
みたいに、「懐中電灯とヘッドランプを両方持っていき、電池を持っていこうという人はいなかった」というおかしな結論が出てくるかも知れません。
その結論をみて、「なんだこれ!電池が無いと懐中電灯意味ないじゃん!」となり、電池は入れることにして、どれを抜くか、俺のを抜くんじゃねえ、みたいなカオスな議論になっていくのがよくあるパターンです。
これ、いつまとまるのか。。
こういう現象は、多数決による議決方法でもよく起きますね。
リーダーが一人で結論を出せば、このような整合性の取れない結論というのは、出にくくなります。
「そんな乱暴な。小学生なんだからまずは民主的かつ平等に話し合うことを学ばせた方がいい。」
と思われる方もいると思いますが、みなフラットな立場で話をすると声の大きい子供の意見が常に通ることになりがちで、そんなのは民主的とは言えないですし、また、平等の観点からは、リーダーは全員が体験するようにすればいいのです。
むしろこういうのはリーダ向きの人、そうでない人がまだはっきり分かれていない小学生の時代だから出来ることだと思いますね。
大事なのはリーダーの辛さ、難しさを皆が体験することです。そして、自分の意見がリーダーに取り入れなかったときの悲しさ、怒りもこの時代にしっかりと認識することです。
『彼の言うことももっともだけど、それを取り入れると他の意見とバッティングする。ここは彼には泣いてもらおう。』
この決断は苦しく、本人には言いにくいものです。
逆に
『なぜリーダーは自分の意見を取り入れてくれなかったのか。頭に来る!そして悲しい。』
こういう感情も当然起きるわけで、お山の大将的な子供もみな平等にそれを認識した方がいいです。
ビジネスの世界に出れば当然ですが、ビジネスでなくてもスピーディーかつ効果的に物事を決めようと思えば、必ずこのリーダーシップ、フォロワーシップという考え方が重要になってきます。
今の日本の教育ではこの意識がまったく訓練出来ていないので、大人になって価値観が多様化するにつれ、何かの問題に直面したときに意思の統一というのが出来ないのだと思います。
意見の異なる人をまとめて1つの結論を捻り出すというのは、メンバー全員にとって非常に辛く苦しく悲しい作業であることを、初等教育のうちから知っておく、というのもよいのではないでしょうか。