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何度目かのギャンブルの話

何度目かのギャンブルの話

島田 徹

株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。

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私はあまりパチンコについては詳しくないのですが、今日、娘とパチンコについて話す機会がありまして、あれがお金をかける遊びであること、看板に書いてあるように1円で遊べるなんてのは大きな嘘っぱちで、やはり最低数千円はかかること。パチンコには、玉を弾いて穴に入れるのと、スロットマシンみたいなやつと、その折衷マシンみたいのがあることを知ったかしてみました。合ってますでしょうか?

どうも彼女の話を聞いてみると、学校ではタバコや薬物の害についてはよく教えられているようですが、ギャンブルについてはほとんど教えられていないようですね。ギャンブルは、タバコや万引きなどと同じようにとても生活に密着していて常習性が高く、一つ間違うととても危ない世界だと思うのですが。。

私は、以前この記事で書いたように、大学時代から会計士浪人時代まで約5年ほど、かなり本格的なギャンブル依存症に陥っていた記憶があります。

あれは、とても恐ろしい時代でした。そんな経験もあって、今日、娘にはこんな話をしておきました。

「君が高校生になって、マックでバイトするようになって、1日働いてもらえる給料が6千円とか7千円だ。それに引き換え、パチンコで勝てば5万円10万円勝つことがある。もちろん負ければ2万円3万円というお金が飛ぶけど。そしてトータルでは負けるようにできてる。それでパチンコ屋は、あの豪華なお店を構えて新しい機械が買えるし、社長や社員の給料が出てる。やってる人だって、みんなそれを分かってる。でも、ギャンブルはやめられない。勝った時の記憶を追い求めて、何度でも負けるゲームを続けてしまうのが、ギャンブル依存症という病気だ。」

彼女が深いところまで分かってくれたかどうかは分かりませんが、とりえあえずは興味深く聞いてくれました。

ギャンブル依存は厄介です。

ギャンブルは、工夫と努力で勝率が微妙に上がります。いや、正確にはテラ銭を反故にするほど上がりはしないのですが、上がったように思えてしまうのが怖いところです。

2~3日、自分の仮説がものの見事にはまって、連続で勝つと、

「なるほど、もう分かった。これで当面食っていくわ。バイトも辞めるわ。」

などと思って友達に酒をおごって、その次の日、大負けするというのが基本パターンです。

そしてとんでもない後悔と罪悪感に苛まれ、酷いと自殺すら考えてしまうことがあります。

このような世界には、やはり自分の子供には入り込んでもらいたくないという気持ちはあります。

私はこういうことを、今後も折に触れ適当に教えていくつもりですが、学校教育でもスライドとかマンガとか使って、うまいこと教えておくべきではないかと思います。

よろしければ、わたくし、講演に行ってもいいです。

「明日の見えない人が博打と出会い 明後日の見えない人が博打に溺れる」 (病葉流れて---白川道)

病葉流れて (幻冬舎文庫)
(↑ギャンブルを実際にやらずに、ギャンブラーになったかのような錯覚を覚えさせてくれる本)

何か全身全霊をかけられるものを見つけるのが、ギャンブル依存を克服するための一番の近道です。



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と、ここで終わっておけばいいのですが、以下余計なことを書きます。よい子のみなさんは読んではいけません。


一方で、ギャンブルに向かう姿勢というのは、ビジネスではとても有効な面が3つあり、それにはまった経験というのはあながち無駄ではない気がします。

以下の3つは、特にフリーランスや自営業者、会社経営者など、まっとうなサラリーマンでない人生を送ろうという人間には共通して体得しておくべきマインドセットです。


(1)大きな目標に向かうためには、何かを捨てる必要があることを知るべし

何か達成したい目標があったとき、何も捨てずにただ努力するとズルズルと徐々に結果が現れてくる、なんていうことは通常は無いです。ある時に、思い切って何かを捨てるという決断をして飛び出さなければいけません。

多くの人は臆病なお利口さんで、大きなリスクを冒すことができない(あるいは永遠に迷い続けている)ので、そこが参入障壁になっていて、その先に進める人だけに広がる世界があります。

逆にズルズルとした努力で手に入る参入障壁のない目標などは大したリターンのある世界ではないです。

自分を信じ、エビ(3万)を捨てて、鯛(10万)を取りに行くというヒリヒリした緊張感というのは、自分の船を漕ぐうえではとても大事な感覚です。

もちろんビジネスでは、信じるのは「山カン」ではなく学習や経験によって裏打ちされた「合理性」であるべきですが。



(2)死ぬその瞬間まで、超絶元気でいるべし

麻雀でよく使われる言葉に「鉄砲撃ち」というのがあります。「鉄砲」は、撃ったら撃ちっぱなしで弾がどこに飛んで行ったのか、撃った本人知る由もありません。それと同じように、この「鉄砲撃ち」とは、負けたら払うお金が無いのに、ゲームに突入していくという状態を言います。

初めからそれを確信犯的にやっていく不届き者もいますが、一般的にはいつの間にかその状態に入ってしまって辞め時を逸してしまい、「おっと、これは負けたらやべぇぞ!」という状態に入っているのです。

ただ、そんな時も、お金が無いそぶりを決して見せてはいけません。死ぬその時まで、何食わぬ顔で淡々としていることが大事です。

イスラムのことわざに

「知り合いに借金を頼みに行くときは、ロレックスをして行け」

という言葉があります。無いですが。

ただ、これは本当のことで、弱った人間からは人と金が逃げていきます。ハムスターのような小動物は、肉食動物に狙われないように、死ぬ寸前まで元気なふりをすると言います。

そういうブラフ(嘘)は主に対人ギャンブルをやることでで普通に体得できます。いいか悪いかは別にして。



(3)危機に陥ると人間は正常な判断ができなくなることを知るべし

死ぬその時まで元気なふりをすると言っても、実際は人間の脳はそれができるほどドライに出来ていません。

昔から、会社が現金がなくなってアップアップになった状態を「クビが回らなくなった」と表現しますが、金が無くなると「クビが回らなくなる」というか「脳が無くなった」感じになります。

頭の中がキーンと冷たくなって、何か新しい角度からのアイディアなどを考えられなくなり、ただ定型的な処理をひたすら続ける状態になってしまいます。

そのあたりの心理状態が、水野俊哉さんの「幸福の商社、不幸のデパート」という本にも書かれていますが、これはギャンブルでも会社経営でも普通に起きます。

幸福の商社、不幸のデパート ~僕が3億円の借金地獄で見た景色~

ギャンブルに慣れていてその頭がキーンと白くなる状態をよく知っていると、自分が今その状態にあることが自覚できます。

そういうときは、信頼できる税理士や弁護士の先生に立ち会ってもらって一緒に考えてもらうことです。「今、自分では何も考えられない」と宣言して、彼らに考えてもらうことです。



といううことで、もし自分の子供たちが普通のサラリーマン人生を送るつもりがないようであれば、3年くらいギャンブルで死んで来いと言うかも知れません。いや、親公認ではダメなんです。人知れず、死んで来ることが大事かも知れません。

そして今現在、すでにギャンブル依存になってしまってる人は、会社経営の素養が出来ているかもしれないとか、適当なことを言ってみます。

いや、経営者の友人知人も、こんなこと言ってないので、たぶん嘘です。



ちなみに、弊社の社員やその家族、取引先等々の方々が心配されるといけないので申し上げておきますが、私は、そんな感じでもう20年も前にギャンブルはやりつくしたつもりですので、今は本当にたしなむ程度に遊んでいる以外、一切のギャンブルをやっていません。

勝っても負けても熱くなることがないです。

テラ銭がかかってルールを胴元に決められてしまうギャンブルは、負けるのは分かってますからね。