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支社つくってたらクビになってた話を読んで

支社つくってたらクビになってた話を読んで

島田 徹

株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。

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http://natsumeg.blog.jp/archives/34550612.html

↑ この記事。

とても感慨深かったので、思ったことをいくつか...。はじめに断っておきますが、相当とりとめないです。あしからず。

 

■うちも考えてた

ちょうどうちの会社も今年3月のベトナム視察以降、これに似たことを考えていて調査してました。場所はセブではないですけど、日本人開発者を募って海外のコンドミニアムとか借りて海につかったりうまいもの食べながら開発したらいいんじゃないか、と。

こんなこと公言するとお客さんからは

「遊びながら仕事するな!」

とお叱りを受けそうですが、それは当たりません。その分賃金は安く抑えられ価格で還元できますし、時差を利用して開発することで共同開発時のソースのマージが若干楽とかあります。

うーん、、ちと弱い...。でもちゃんと営業と設計と開発の主力チームとサポートを日本に残しておけば、開発部隊の一部は海外支部にいてもいいと思います。

また賃金は安くなっても、短期ならそういう仕事をしてみたい、という人もいるでしょう。あるいはずーっとそういう生活がいいという人もいるかもです。

世の中、万人にウケる必要はないですから、誰かにとってメリットのある可能性がある提案を提示すれば、乗ってくる人がいる可能性もまた十分にあります。

これ、相当いいよ!


■先を越されたうれしさ

そんなことをマネージャクラスで話していた矢先、というか忙しくて3ヶ月くらい話が止まっていた矢先、先般の記事を見て「先を越された」っていうことで、とても嬉しく感じました。

天下のカヤックさんでもやろうとしてたということは、ここには採算の取れる鉱脈が眠っているということです。一応失敗に終わっているようですが、失敗にはその会社なりのいろいろな事情があるので、それを精緻に分析して「うちは大丈夫そう」という確証を得られれば問題有りません。

ゲームとか一般的な商品は「パクりもん」ということで悪いイメージがついてしまいますが、業態モデルなんかは二番煎じ三番煎じがとても大事です。認知コストも低くなりますしね。

むしろ「オリジナルで考えるな!」という偉い経営者の師匠もおられます。



■この人と社長は理想の信頼関係が築けている(と思う)

この記事全体を通じて、筆者の、カヤックという会社と社長への強い愛が感じられたのは気のせいでしょうか?

この記事しか読んでないのでそれは勘違いかも知れませんが、私はこの記事を「話が違うじゃねーか!」という恨み辛みのこもった記事にはまったく読めなくて、もし仮にこれが恨み辛みがこもっているのにも関わらず、こんな文体で書けるのであればそれはそれで逆にすごいなあ、と尊敬します。

その辺確かなことは分らないですが、そもそも出勤途中に「こういうのやりたい」「いいね」と話が決まって、「みんなに聞いたらダメだった」「マジすか?でもやりたいので会社離れます」「いいね、個人的にカネ出すよ」...なんて流れは相当の強力な絆が出来てそうです。

社長と社員の理想の形ですね。



■売上を上げるか固定費を下げるかしかないのか...?

会社の業績が思わしくないとき、確かに筆者のおっしゃるとおり

1、社員1人あたりの売上高を上げる
2、固定費を削減する

くらいしか普通は考えられないのですが、本当は

3、会社規模を適正に縮小する

という選択肢も俎上に載せたいところですね。

要はリストラです。これは単に人を減らすだけなく、社屋から外注先、広告費までいったん幅広く削っていきます。もちろん売上もきちんと(コストの削減率以下で)減らします。

これやっても知名度や実績、ノウハウは残るので、比較的持ち直すのは早いと思うのですが、それが特に上場(準備)会社だと難しそうですね。中小企業でももちろん難しいですが。。


■日本を離れる選択肢

そうなるといつも頭にちらつくのは、海外で開発を行ったり、サポートを行ったり、、、とにかく日本国の法律の呪縛を越えてコストを下げようという発想ですね。

これは仕方のないことです。最低賃金が安いとか、派遣社員は3年経ったら正社員にしろとか、首切り部屋許すまじ、、、などと声高で叫べば叫ぶほど、経営者は「なんか大変なんで海外でなんとかならないだろうか...」と考えてしまいます。ちょうど、若い男性が「なんかいろいろ聞いてると結婚なんてめんどくさそうだから、結婚しなくてもいいや。付き合うといずれ結婚迫られるくらいなら、付き合うこともしなくていいや。」というのに似てます。

労働市場はアウトソーシングの市場と代替関係にありますし、10年20年前に比べてどちらも海外に開かれてきましたし、Skypeやクラウドサービスの普及で今後ますます開かれていきますので、あまりガラパゴスなことを主張しない方がよいと思いますね。


■プランよりまず実行

私の周りでもたくさんのベンチャーや中小企業が海外に進出しています。一部は成功し、また一部は不本意にも帰ってきてしまいましたが、どちらも「赤字を作っただけで徒労に終わった」などということはありません。

もちろん帰って来たという事実は失敗であって不本意ではあるのでしょうが、そういう会社もみな大きな成果を持って帰ってきてます。「外国人のマネジメント難しい」という経験から「日本人、やっぱり楽だわ。案外コスト安。」という結論も一つの成果です。

「実際に事業をやってみたらなんか日本の仕事をやるより、現地の仕事を現地でやって現地の人が喜ぶ顔が見たくなった。」なんていうのも聞きましたが、こういうのも実際に行ってみて初めて感じることだと思います。現地向けの仕事で食いつなげれば、日本向け営業には余裕が出来ます。

とにかく、PCの前で「ビザが難しいんじゃないか?」とか「犯罪率は日本に比べてどうなんだろう?」とかググっている場合ではなく、そういう調査はある程度のところで終わりにして一歩踏み出してみることです。何か一歩踏み出すと、PCの前では思いつかなかった発見が必ずあります。技術屋は「絶対」という言葉を使いたがりませんが、これだけは「絶対」ですね。100%です。

プランより実行大事。


■そもそもこの人はなぜ会社辞めて別法人作ったんだろう?、、、いやわかります。

非ベンチャーのネオ中小企業を標榜する私がベンチャーを語るのもナンではありますが、ベンチャーって大手が出来ない違法スレスレのところを攻められるのが一番のメリットでしょう?

FacebookにしてもgoogleにしてもYouTubeにしてもLINEにしても、「これは違法じゃないのか?」「この仕様は乱暴だろう」ということをガンガンに攻めてきましたし今も攻めてます。

日本のベンチャーにはそういう不良っぽさがどうも無いんですよね。

たとえば今回のケースで言えば、何かを隠したり騙したりしてセブに連れて行って働かせるのは犯罪ですが、

「セブで気持ちよく仕事をやりませんか?安定収入はおそらく保証します。その代わり、皆さんには個人事業主になってもらいます。ビザは自分で取って下さい。」

と公示して人を集める方がストレートで気持ちいいと思います。

これは違法でもなんでもないですが、しかしそういうことに、名の知れた企業がためらわざるを得ないのは、周囲の日本人が違法(脱法)の臭いにとんでもなくセンシティブだからです。

mixiでは「追い出し部屋」みたいなことをやっているみたい、という極めて不確実な情報だけで大炎上しました。今回も、もしカヤックさんがそんなことをすると「社員を個人事業主にするのを推奨するとは!ここでも体のいいリストラ始まった。」と言われかねません。

ちょうど村上氏の記事がいい例ですが、

facebookで「自分のみ」モードで写真をアップしたら、いろんな人からコメントがついてて吹いたよ。
http://blogs.bizmakoto.jp/fukuyuki/entry/17102.html

こんな乱暴な仕様に、ついているコメントは「危険」「恐い」「気を付けなきゃ」ばかりです。

mixiがやったら大炎上は必至です。...いや、今はかなり人口が減っているので話題にもならないかも知れませんが、それでも社会の公器になりつつあった2008~2010年頃だったら相当叩かれてたはずです。

今、eightとかTalkNoteとか、ちらほらと「お?」と思わせるような和製サービスが生まれてきてはいますが、基本的にはどうもコンパクトでお行儀が良すぎる気がします。

日本人みんながもっと日本ベンチャーの行いにおおらかになっていれば、日本ベンチャーはもっといろんなチャレンジができるのですけどね。


ということで、とりとめもない話をいろいろ書いてきましたが、プラムザも何かやろうと日夜あれこれググっているところです。