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日本人が日本で事業を起こすなら 【非ベンチャー起業法 ~その3】

日本人が日本で事業を起こすなら 【非ベンチャー起業法 ~その3】

島田 徹

株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。

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さて、前回、前々回の記事で私が言いたかったことは

「こういう人たちは天才なので、どうやったって太刀打ちできない。だから事業を起こそうなんて大それたことを考えるのはやめよう。」

ということではありません。

「なにか事業を起こそうという際に、みんなあっち系を目指すけど、そうじゃないこっちでも十分事業は成り立つんですよ。」

ということです。

こっちとか、あっちとか、分かりにくいので図にしてみます。

all.png
(図1)

事業を起こす上では、「事業ドメイン(=何をやって食っていくか)」の決定というのが第一歩なのですが、みんなこの左上の一区画だけをエラい勢いで追求している訳です。


先進性とはエッジと言ってもいいかも知れません。尖って新しい世界へどんどん突き進んでいくことで、お客さんをグイグイ引っぱっていきます。

しかし、これがなくても売れるものは売れます。それは、経験によってニーズの平準的な傾向を分析して「汎用性」「普遍性」を極めていく方向性です。

才能とは天才的な発想です。オンリーワンのコアコンピテンシーを持って、市場を自ら切り開いていきます。

これも、そんなものがない会社は五万とあります。と言うか、普通は無いわけです。才能には、「努力して積み重ね革新を続けていくこと」で十分太刀打ちできます。

というのに、特にIT系の起業家は、みな天才的な発想で先進的サービスを展開し、エッジを効かせることばかりを考えます。

しかし、もしそんなことができるのであれば、考える間もなくもうやり始めているでしょう。

たとえばサラリーマンをやりながら、起業のチャンスをうかがうようなタイプは、そっちの事業ドメインは向いてないです。狙うべきはそれ以外の部分だと思うのです。


事業は、上記の平面上のどこでも成立します。

事実、プラムザは、

plm.png
(図2)

このあたりで食べてます。地味な業務システム開発やインフラ構築、運用保守をやりながら、先端のソーシャルメディアやスマートフォン絡みの開発も請けています。

まあ実際はこんな風に分断されて無くて、シームレスにつながってますが、すみません、Excelで図を作ってますのでそんな器用なことはできませんでした。。


弊社と長い付き合いをさせていただいていて、最近ネット配信授業で大変景気のよい学習塾AEG ASSIST(http://assist-web.jp/)さんなどは

aeg.png
(図3)

こんな感じです。たぶん。


大抵、長く安定して事業をやっている会社は、少なくとも右下に経営基盤を支える大きなエンジンを持ってきています。

このエンジンが無く、左上ばかり目指すから資金繰りが大変で、短命になってしまうのです。いやいや、あっても大変なんですが、なければそりゃVCやエンジェルがつかなければ一瞬で終わってしまうでしょう。



そして、大事なこと。

  • 経験によってニーズの平準的な傾向を分析して「汎用性」「普遍性」を極めていく
  • 努力して積み重ね革新を続けていく

この2つって日本人が欧米人より優れていると言われていることではないですか?

というか、それくらいしか今、日本人が世界と戦えるところってないでしょう。

そして、こういう事業をやっている経営者は、"和をもって尊しとなす"の日本社会からも叩かれません。

エッジを効かすと叩かれるというのは、本当に不条理ですが、実際そうなのでしょうがないです。しょうがないことは戦うべき障害と捉えず、環境として受け入れましょう。

つまり、日本人が今現在の所与の環境下で事業を起こすなら、左上のドメインよりも右下のドメインを追求するべきなのです。