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就活の話の続き

就活の話の続き

島田 徹

株式会社プラムザ 代表取締役社長。システムコンサルタント。1998年に28歳で起業し、現在も現役のシステムエンジニア、コンサルトとして、ものづくりの第一線で活躍しつつ、開発現場のチームとそのリーダーのあり方を研究し続けている。

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前にも言ったことがあるような気がするのだが、言ってなかったかな。

うちの会社は、プログラム未経験者も採用する、というかむしろそっちの方が多いくらいなのだが、その際に

『経験はないのですが、やる気と向上心は誰にも負けません』

というのを一つのNGワードに決めている。

それを言ったら即不採用という訳ではないけど、その後の面接時間中、そのセンスの無い一言を言い放ってしまった事実を挽回する何かしらは、ずっと求めてる。

ぶっちゃけかなり難しい。

これはもちろん『やる気と向上心のある人』を排除しようという訳ではない。

ウソだと決めてかかっている訳でもない。


ただ、

『チャンスを頂ければやる』というセンスのなさ

それを嘆く。

そのセンスを修正していくのが大変そうすぎて、ちょっとなんかものすごい光るものが他にないと無理、、ということだ。

チャンスを与えてから、本当に『やる』ことが実証されるまでに、どんどん消えていく時間とお金。

少し頭を働かせて、相手の立場に立って話していれば、その一言は出ないはずだ。


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先日のこの記事


で、就活での面接対策について書いた。

主旨はこうだ。

  • 会社の中には採用面接で、準備していかなければ絶対に答えられないような質問をしてくるところがある(ようだ)
  • その質問で足切りをしているような会社があるなら、その会社は終わってる
  • でも、実際にそういう質問をしている会社が多いなら、応募者が対策するのはしかたない
  • まずは企業の側から、採用面接を改めていかないと、明るい日本の未来はない

このブログを書いた2日後だったか、記事内でも触れた『就職は3秒で決まる』の作者の荒木氏と会ってきた。

赤坂のおでん屋でその本をいただいて、就活の現状について熱く語り合い、帰りの電車から早速読み始めたのだが、読むなり、酔いも吹っ飛ぶものすごい剛速球を放り込んでくるのに驚かされる。

時にそれは荒れ球とも呼べるもので、すべてが賛同できる訳ではないが、先のエントリーの内容は少し訂正しなければいけないと思った。

もちろん結論として、企業側が準備必須のくだらない足切り質問をするのは止めていくべきだというのは変わらないが、このような対策をする就活生や、ノウハウを伝授する就活コンサルさんたちの姿勢を『しかたない』とするのも間違いな気がしてきた。

やはり、就職面接に臨む姿勢としては

自分の内面を磨いて、自分の頭で考えて自分の言葉を使い、相手の立場に立って受け答えする

それしかないだろう。

面接で良く聞かれる質問と、それに対する受け答えをインプットして、的確にそれを引き出して答える人に、どんな未来があるというのか。多少オリジナリティを加えたとしてもベースのOSは同じだ。

そして、そういう準備ができない人を『ビジネスマンとしての資質がない不適格者』としてしまう会社が、今の閉塞感みなぎる日本で生き残っていけるとは到底思えない。

全方位玉虫色のファーストフードの店員のような受け答えをする就活生を演じるくらいなら、素の自分をアピールし、それを受け入れてくれる数十社に1社を探すべきだ。その1社は荒海の中できっと沈まない。


※ちなみに素の自分というと語弊がある気がするが、長くなるので割愛する。少なくとも、ボランティア活動やサークル活動を通じて成長した自分とか、英語を活かす仕事に就きたいとかいってしまう自分ではない。このあたり、荒木氏の本にも書いてあるが、ほぼ同意だ。



冒頭の話に戻る。

弊社はプログラム実装の会社なのだから

『経験はないのですが、やる気と向上心は誰にも負けません』

などと裏の取れないアピール話をするくらいであれば、サンプルのアプリケーションを3つくらい作って持ってきて、ソースの一部をプリントアウトしてくればよい。プロの仕事など求めていない。どんなに中途半端であってもそれによって成長ベクトルがわかる。

荒木氏は、先の本の中で

最低半年くらい新聞5紙を読み比べて、自分の興味のあるテーマを自論レポートとしてまとめて、応募先の企業等に提出すべし

という。興味を持ってくれる人は少ないかも知れないが、いれば深く刺さるということだ。

これは私と同じことを言ってる。

労働サービスもサービスなのだから、サービスの提供側がリスクを先に背負い、下準備をするべきで、客がそれを買うか買うまいか吟味する。

そしてこれは就活生が企業によって虐げられた立場に置かれているというわけではない。

『そんな給料や職場環境では私は売れません』

は全然あってよい。

『それなら、私のスペックは他の会社に持っていきます』

と。あくまで取引の立場では雇用者被雇用者はイーブンだ。





以前書いたこのエントリーではちょっと過激なことを言ってしまって『いいね!』も少ないのだが、実はこの記事を読んで、ゲーム会社の社長が激しく膝を打ち、私を飲みに誘っていただいたという事実もある。

その社長は数年前に起業した若き社長。ゲームの立案から開発、リリースまで柔軟な発想とコネクションを使って、緩い組織形態でこなしていく。1本のゲームをリリースすると組織は解散する。

クレバーでスマートで、リスクの回避どころの嗅覚が非常によい。きっと伸びて行くだろう。

ま、それはいいのだが、荒木氏もやはり本の中で、

中小企業の経営者の「カバン持ち」を買って出るなんて方法もあるだろう。

と提案する。

社長は、中小企業のそれであっても、他の会社の社長や大企業の部長クラスなどのエグゼクティブ層同士でつながっているのだから、と。

タダでカバン持ちをするなど疲れるばかりでカネにもならないが、そこから業界のことがわかるきっかけになるかも知れないし、何かの機会に誰か重鎮を紹介してくれるかも知れない。少なくとも採用側の気持ちがわかるというのはあるだろう。


荒木氏も私も、細かい戦術自体は時に間違っていることもあるかも知れないが、誰かの尺度で正しいか間違っているかということは、明確な答えのない社会の難しい問題を攻略するという目的においては意味がない。

万人が正しいと思えるアプローチを探るよりも、一点、ほとんどの人が注目していなかった箇所に集中する戦略と実行力があれば、多くの難問は乗り越えられてしまう。

人の敷いたレールに乗らず、自由な発想で環境を分析して、どこかつけいる隙はないかを常に探っていくべきと思う。

世の中、正面は鉄壁の守備を固められているが、側面は手薄、裏側は全くの無防備だったりするのだから。



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