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企業ブログが読まれない理由は自社のことしか書いてないから
»2013年7月 8日
Parsleyの「Webについて知っている二、三の事柄」
企業ブログが読まれない理由は自社のことしか書いてないから
1976年4月8日東京都生まれ。埼玉の団地育ち。ブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を2004年より運営。エンタメ系出版社、ITベンチャー、広告企画会社でWeb担当し、現在はフリーで活動。
当ブログ「Parsleyの「Webについて知っている二、三の事柄」」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/parsleymood/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
最近、経営者やWeb担当の方から「ブログが読まれない」という相談を立て続けに受ける機会がありました。お悩みのことはほぼ一緒で、「ブログを一生懸命更新しているのだけれど、アクセスがまったく伸びない」というもの。中にはSEO対策もしているのに、全く反応がないというものもあったり、外部からスタッフを入れて運営しているのに効果がないというケースも...。
それで、どのようなエントリーを上げているかといえば...。社長が自社の経営理念を熱く述べていたり、社員の努力の素晴らしさを称揚していたりする内容のもの。あとは経営側の誰かの誕生日にスタッフから贈られた花束&ケーキの画像とか、何らかの記念で撮影したらしい社員全員の集合写真とか...。
まぁ、関係者以外の人に読まれる要素はほぼ皆無ですね。
経営者の思考や、社内での出来事について第三者が関心が持ってもらえるのは、既に充分に会社が著名な場合か、特定の分野で群を抜いている商品を出せているかのいずれかが必須条件。それに当てはまっていたとしても、エントリーの文章がつまらない時にはやはり読まれません。世にはさまざまなコンテンツが溢れていて、ニュースサイトの記事やソーシャルゲームなどと同じ土俵でユーザーの時間の奪い合いをしているわけなので、身内の話を書き続けても「しらねーよ」ということに99%くらいはなると思います。
では、どういうことを書けばいいのか、と問われると、「読者が面白いと感じて貰えることを書く」ということしか究極的にはないわけですが、それが自社の利益とどのように繋がるのか、ピンとこない方が多いのも実際のところ。
なので、私が説明する際は成功しているゆるキャラについてのお話をすることにしています。
今や日本中に知られている熊本県のくまモンですが、彼が熊本県の特産物を熱心にアピールしているか、といえばそんなことはありません。はっきり言って、体操を踊って決めポーズをすることぐらいしかやってない。県外出張などでも、自分のところのよさを伝えることよりも、その土地の食べ物を楽しんでいる時間の方がはるかに長く「仕事忘れているだろ」とツッコミたくなることも一切ではありません。
しかし、それでも彼が体操を踊ったり各地のイベントに参加することが、熊本県にとって最大のPR活動になっています。積極的に自分たちがアピールしたいことをアピールしないでも、存在すること自体で好感度が上がっている。そして、多くの人に対して、熊本県=くまモンというイメージを植え付けることに成功していることが最大のポイントなのです。
ここまで記してきたところで、お読みの皆様にはご理解頂けたと思います。
コンシューマ向けの認知度を上げるという目標を達成するためには、読者がネタにできるようなコンテンツを提供する必要があるわけで、その一点に置いてゆるキャラと企業ブログは似ています。特に関心のないユーザーにも振り向いて貰えるフックの役割を果たさないと存在意義がないというところも同じですし、超練って練って練りこんだ企画を立ててもまったく響かないという可能性は低くなく、運に左右される部分もあります。
というわけで、「誰もがくまモンになれるわけではないので、アクセスアップとかPR効果とかを考慮せずに続けた方がいいですよ」というお話になるのですが。中には納得して貰えないこともあるので、もっとよい例えはないのかな、と考えている途中だったりします。
ちなみに。ゆるキャラビジネスに関しては、『ゆるキャラ論 ~ゆるくない「ゆるキャラ」の実態~』(ボイジャー)が上手くいかなかったキャラの行く末にまで言及されていて涙なしには読めないのでおススメです。