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ヤフトピに掲載される銀の弾丸なんてないよ

ヤフトピに掲載される銀の弾丸なんてないよ

ふじいりょう

1976年4月8日東京都生まれ。埼玉の団地育ち。ブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を2004年より運営。エンタメ系出版社、ITベンチャー、広告企画会社でWeb担当し、現在はフリーで活動。

当ブログ「Parsleyの「Webについて知っている二、三の事柄」」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/parsleymood/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 『誠』ブログではお久しぶりです。文字通り忙殺されているParsleyです。非常にありがたいことに、いろいろな案件のお話を頂いて同時進行で走らせているのですが、実作業をするのがいつも深夜早朝になってしまい、時折ダークサイドに堕ちそうになることがあります。先日も心象が墨汁で染められるような感覚になる機会がありました。

 その日、某広報の方から「近くまで来られるなら一緒にランチでも」というので、寝不足気味でぼーっとする中行ってみると、ほかに3名くらいが席にいるではありませんか。名刺交換すると「マーケティング部」というのが目に入り、おのずとデフコンレベルが上がります。

 それで、「ネットに詳しい人に、効果的なプロモーションをお聞きしたい」というから、てっきり自社サイトとソーシャルメディアとの連携についてのことなのかと思えば、「ニュースになかなか載らないんですよ」という話に。
 「やっぱりYahooニュースになると日に100万PVは稼げるんですよね? トピックスに掲載されるためにはどうすればいいんですか?」という言葉が出た瞬間、ぶっちゃけ聞きたいのここだけだろ、と内心で思うわけです。しまいには、「Yahooのお知り合いをご紹介して頂くことはできませんか」ときました。

 確かに、私は木っ端ブロガーながらYahooニュース個人でも書かせて頂いています(参照)し、中のひとをまったく知らないわけではないですが、そこまで親しいわけではないし、何より不躾な申し出に骨を折るメリットがまったくないので、「いやぁ」とお茶を濁して、冷めてしまったカレーに視線を落とす次第です。
 
 実は、このような「ヤフトピに掲載されるためにはどうすればいいか」という相談を受けたのは、これがはじめてではありません。ここ数ヶ月で4例め。さすがの私も「イラッ☆」とします。
 
 現在、Yahooニュースでは、1日数千本の記事が掲載されており、そのうち約70本ほどがトピックスに選ばれています。ここで優先されているのは言うまでもなく「即時性」。テレビにおけるテロップ速報と同じで、瞬時に更新できるネットだからこそ、今この瞬間に起きたニュースの掲載のプライオリティが一番高いのは当然のことです。
 最近では雑誌メディアによるレビュー性の高い記事も比較的選ばれているような印象を受けている人が多いようですが、数としてはそれほど多くありません。
 一方で、Yahooは2013年になってからニュース解説を主コンテンツとして配信するメディア『THE PAGE』をスタート。他メディアよりも優先してトピックスに上げています。また、有力なブロガーのオピニオンが集まるYahooニュース個人からも選ばれるケースが増えています。
 そんな中、ただでさえ毎年配信社や記事数が増加傾向の中、ひとつの媒体を狙って、それがさらにヤフトピに載るというシナリオは絵に描いた餅としかいいようがありません。
 ...ということを、言葉を丸めて伝えると、たいてい「○○社の○○さんがヤフーに乗ればアクセス伸びますよ、というから...」と、プロモーション・PR関係の話になったりします。ここでまたため息ですよ。

 私の知る限りにおいて、ヤフトピというかYahooのニュース編集チームはかなり公平な運営をされています。一つのトピックを選ぶ上でかなりの議論の上で吟味されているということも聞きますし、個人的な感覚でもニュース性という面で妥当な話題のものが選ばれています。まあ、選ばれている記事のクオリティーについては時折「??」というものもありますが...。
 だから、「ヤフーに載ったけれどPVが伸びない」というのは、ニュース性のある情報をメディアに提供できていない、ということなのです。

 そんなこんなで、ヤフトピに掲載されるための、銀の弾丸なんて存在しないという話なのですが。広報・PRや、社の偉いひとたちに向けたプレゼンテーション目的にヤフトピを使うのはやめてもらいたい、というのが正直なところ。
 もっというと、「ヤフトピは日経新聞じゃねーよ」と叫びたいです。

 そんなこんなで。「ネットに詳しい」というだけでフリーランスを気軽に呼び出されるのはしんどい、という話でした。まぁ、ホイホイ行っちゃう私も悪いんですけれどね。