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ツイッター学概論 その3「フラれた男をフォロー理論」
近頃は、好みのワインと食べ物を持ち寄って開くカジュアルなワイン会がひそかな人気である。
ワイン好きな派遣社員K子さん(30代)も、昨秋にその類のワインパーティーに参加した。
そこに声をかけてきたのが、同年代で大手メーカー営業マンのA君だった。偶然にもK子さん同様、ツイッターを始めたばかりだという。まだツイッターが今ほど流行っていない頃だったので、親近感からIDを交換、お互いをフォローしあって話が弾んだ。
A君の趣味は、外回りの合い間にワインと料理が楽しめる店を開拓することだという。
「最近では代々木上原の○○っていう焼き鳥屋がおいしかったな。今度一緒に行きませんか」とK子さんを誘い、帰り際にも「近いうちに○○で。ツイッターで連絡しますよ」と念押しした。
その翌日から、A君から毎日お誘いDMが送られてきた。こうして二人は週末ごとにA君が発掘したグルメ店を訪れるようになった。
K子さんも、話がうまく食に関する知識が豊富で女性のエスコートに手馴れたA君に惹かれていき、二人の仲は急展開。会えない日はもっぱら、別のIDを使った二人だけの「非公開ツイッター」でやりとりするようになり、それもまた楽しかった。
交際は順調のようにみえた。少なくとも3か月間は。4か月目に入ったところで、ぴたっと連絡が途絶えた。非公開ツイッターからもA君のつぶやきは消えた。
携帯に電話しても、「今仕事で忙しい」と切られるようになり、そのうち電話自体に出なくなった。何か気を悪くさせるようなことをしただろうか、と思い起こしてもとくにない。
不安に駆られたK子さんは、真意を聞こうとDMを送ろうとして、思わず「あっ」と声をあげた。DMが送れなくなっていたのだ。A君からフォローを外されたからである(→ツイッターでは、相互フォローしていないとDMが送れない仕組みになっている)。
驚いたK子さんは、手がかりを探そうとA君のTL(タイムライン)を遡って見た。
ここしばらくは「二人だけの非公開ツイッター」しか見ていなかったのがうかつだった。
A君は、ツイッター上のあちこちの女の子に、次々に声をかけていたのである。各種飲み会に出かけては、意中の女性を行きつけの店に誘う。K子さんのときとまったく同じやり方だ。
A君からのフォロー外しは、実質的なポイ捨て宣言だったのだ。
けれども、K子さんは「自分からはフォローを外せない・・・」と言葉をつまらせた。
「なぜってそうしたら、彼とのつながりがなくなってしまうから」
なくなったっていいじゃない。彼はあなたを見限ったんだから、と言うとK子さんは遠い目をして小さく笑った。
「自分でもおかしいと思うけど、どうしても彼のことが忘れられなくて。短い間だったけど、あまりに楽しかったから。だったら無理して忘れなくてもいいかなって」
というわけで、K子さんは半年たった今も、日々、A君のタイムラインを眺めている。
相変わらず、女子大生、新人OL、飲食店のママ、と手当たり次第に食事に誘っている様子がTL上のやりとりで分かる。
最近ではA君は、FOURSQUARE(位置情報を使った遊び)にハマっていて、新しく訪れた店にべたべたと足跡を残しているそうだ。
それらの店に、K子さんもそっと訪れる。
偶然の再会を期待して・・・。
今回の結論
精神衛生のためにも、振られた男のフォローは外しましょう。
人生を棒に振らないためにも、今、すぐに。