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004.【業界話】ITエンジニアは一生の仕事になるか

»2011年11月29日
IT雑貨屋、日々のつづり

004.【業界話】ITエンジニアは一生の仕事になるか

佐藤 洋之

1967年生まれ、神奈川県横浜市在住。ひょんな事からIT業界に努めて四半世紀、嫁と子供2人、あとメス猫一匹を抱えて、日々奮闘しているエンジニア(??)です。趣味はバイクと読書。IT業界の事、仕事の事、趣味や日々の雑感などについて、これから書いていきたいと思います。

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 早いものでまもなく12月、「師走」です。
 はるかな昔、シュメール文明の頃から言われている言葉で「光陰矢の如し」とありますが、本当に一年が経つのは早いものですね。個人的には昨年末に大河ドラマ「龍馬伝」が終わったばかりだというのに、もう「江」も最終回でしたからね・・・早さを感じてしまいます。

 余談ばかりの佐藤@IT雑貨屋です。

 今日のお題は少し業界話として、ITエンジニアは一生の仕事になるのかについて、私が普段考えている事を少し書いてみたいと思います。毎度、つたない文書ですみませんがお時間のある方はお付き合い下さい。

 一言「ITエンジニア」と言っても、これはかなり範囲が広い事になってしまいますので、ここでは私が経験してきた「アプリケーションソフトウェアシステム開発に従事するエンジニア」に絞って話しを進めたいと思います。

 先の記事でも紹介しましたが、私がこの業界に就職したのはバブル全盛期の頃です。(だから先の記事で紹介したような適当な面接で採用されてしまったんでしょうね・・・)当時は設備投資も盛んだったんでしょう、ソフトウェア開発者が不足するとしきりに言われていました。

 また開発単価も高く、今の2倍~3倍が一般的な相場。

 だから結構、エンジニアは羽振りが良かったですよ。最初に就職した会社の部長なんかも、外車を持っていて「外車を持つ事でモチベーションを保てるぞ!」と真面目に語られた事もありました。

 まあフリーのエンジニアは別として社員として仕事をする場合は、月給の3倍を目標に仕事をしろと良く言われています。この3倍の根拠ですが、1/3は給料分、1/3は会社の経費(健康保険や厚生年金など)、1/3は会社の利益と言われています。

 例えば手取りで30万円欲しい場合には、90万円/月の売り上げをエンジニアとして確保をしていないと、会社としての利益にあまりならないんですね。まあ会社として薄利が許される場合であったとしても、やはり手取りの倍近くは売り上げを上げれないとヤバイ感じです。

 以前は情報セキュリティに対して緩かった事もあり、いわゆる「持ち帰り案件」というのも結構ありました。この持ち帰りの場合、会社で幾つか仕事をストックしてエンジニアを効率的に回す事も可能でしたが、最はシステム開発とは言っても、ほとんど「客先常駐」といった業務形態です。

 こうなると結局エンジニアはその期間、一つの仕事「だけ」に拘束される事になりますし、仕事を会社でストックして社内で上手く回す事なんて出来なくなります。また一つの仕事が終わった後、別の仕事が直ぐに見つかれば良いのですが、まあ世の中そう上手く行く事もなく、「空き稼動」というエンジニアの「稼ぎ無し期間」も発生します。
 会社は社員であるエンジニアに給料を払わなければならないので、この「空き稼動」の期間であっても経費は発生します。
 かくして会社の「内部留保(と言っていいのかなぁ・・・)」は、その時に食いつぶされてしまいます。

 そうい事も会社として想定しているので、やはり各社員の売り上げから本人に支払う給料分を何とか抑えようと考えたりもして、、、結果、社員たるエンジニアの給料は減少する傾向になってしまいます。

 先日の事、あるソフトウェアハウスの社長と面談する機会がありました。

 事前にその会社のHPを確認すると、ここ3期ほどの間に業績は総額は小さくとも、かなり急上昇していて、ここ最近のIT業界では珍しい事だと思い、個人的に秘策を聞きたいとワクワクして面談したのですが、結果は違っていました。
 要は過去にストックした利益を放出して、小技を使って会社の業績が好調に見える様にしていました。

 「わが社も生き残る為に、私を含めて社員にも"意識改革"を訴えているんですよ」

 「具体的には、どの様な意識改革ですか?」と私。

 「それは一人ひとりが新たな技術をしっかり学習する事で、付加価値を向上させる事です!」

 その会社の社長は言っていましたが、結局、同じ内容で仕事を続けている間は、変わらないんじゃないのかなぁ・・・そう率直に思いました。

20111129.jpg 現在の日本、終身雇用制度は崩壊しています。

 でも家族を抱えて生活するには、やはり年齢を重ていくなかで収入も増えていく事が求められます。
 しかし今のIT業界のエンジニアは、ある一定の収入からは頭打ちになる傾向がここ最近とても強くなっていると思えます。

 以前に在籍した会社では、協力会社に開発要員の追加を打診をした時に「10年以上の経験者で、40万/月の単価でも良いですよ」と先方の営業から紹介された時には、驚いてしまいました。

 最近、業界の雇用も回復傾向と耳にしますが、求人募集要項を見ると「若い会社です!」「20代が活躍しています!」という文字が結構躍っていますよね。

 確かに若い人の多い会社というのは、活気があって良いものかと思うのですが、少し斜に構えて考えて見えると、若い技術者に支払う程度の売り上げしか、会社では確保出来てませんという様な事を宣言している様に見えたりもします。

 ITエンジニアは一生の仕事として、果たしてなりえるのか?

 もし一生の仕事とするのであれば、それなりにエンジニアが頭を捻り、自分の付加価値を考えながら、日々努力をするしかないかもしれなせん。
 安直に会社の指示だけ待って、仕事をこなしているというだけでは、生き残りは難しいかもしれません。

 そんな事を考えている昨今です。
 ここまで読んでいただきありがとうございました。