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040.【雑感】エンジニアのキャリアアップについて

»2012年11月 3日
IT雑貨屋、日々のつづり

040.【雑感】エンジニアのキャリアアップについて

佐藤 洋之

1967年生まれ、神奈川県横浜市在住。ひょんな事からIT業界に努めて四半世紀、嫁と子供2人、あとメス猫一匹を抱えて、日々奮闘しているエンジニア(??)です。趣味はバイクと読書。IT業界の事、仕事の事、趣味や日々の雑感などについて、これから書いていきたいと思います。

当ブログ「IT雑貨屋、日々のつづり」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/satou55_makoto/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 ご無沙汰しています、IT 雑貨屋の佐藤です。毎々の事で大変ご無沙汰しています。

 貧乏暇なしではないのですが、仕事が佳境に入りつつあるなか、毎度の事ですが此方のブログに中々記事をアップする余裕が取れなくて、かなり間が空いてしまいました。

 それほど仕事に力を入れなくてもという意見もありますが、今の私は「擬似サラリーマン」であり、実態は時給月給の半個人事業主の様な立場。働けるうち、稼げるうちは徹底して仕事を取っているので、結果、常にキャパの溢れる手前まで仕事を受けてしまってます。


 今回の記事はエンジニアのキャリアアップについて、少し書いてみたいと思います。

 先日ですが、同じ職場で働く若いエンジニアと話をしました。まあ仕事で一緒に外出となった折りに、ざっくばらんに話す機会があったので、少し突っ込んで語り合いました。


 私はもう四半世紀ほどこの業界に務め、幸にして人に恵まれたお陰でしょうか、今のところは家族四人何とか食わせるだけの収入を確保することが出来ています。

 しかし最近のエンジニアの単価下落を考えると、特に今の若い世代のエンジニアは大変になっていくのかもしれません。


 さて、エンジニアがキャリアアップを図るには、概ね二つの方法があります。


 1)一つの会社に勤め、そこで仕事を覚えて行くと共に、技術に磨きをかけていく
 2)複数の会社を渡り歩きながら、様々な立場で仕事を経験すると共に、技術力を
   アップしていく


 まあこんなところではないでしょうか。

 この2つのどちらでも良いのですが、キャリアアップをする際には、自分自身のキャリアプランは当然持っていなければなりませんし、またこの業界で生き残っていくには、常に勉強をし続けなければなりません。


 技術は日々、進歩をしていますからね。


 ただし理屈では解っていても、実際に自己のキャリアアップを図るという事は大変難しい事でもあるのです。


 先ほどの若いエンジニアですが、今の会社に不満があるらしく、悶々としていた様子。何故悶々としているかと言えば、今いる会社では様々な場所に派遣技術者として飛ばされるが、その中で自分が何をしたら良いのか、解らなくなっていきているとの事。


 まあこの業界には良くある事ですが。


 今から二十年以上前、そうですね・・・世の中にWindows95が出てくる前あたりの時代は、まだまだパソコンとは言っても、アプリケーションが少ない時代でしたので、パッケージメーカを目指して活動する会社が多かったように思えます。

 また情報セキュリティに関しても、今の様にウルサい時代でも無かったので、いわゆる「持ち帰り案件」という、仕事を自社に持ち帰り、自社の中で開発を行うという会社も多くありました。


 だから各社毎に社員のスキルアップを落ち着いて取り組む事がまだできた時代だったと思います。


 しかし現在はというと、多くのシステム関連の会社は「技術者派遣」を主な生業としています。これは社員を様々な企業にエンジニアとして派遣し、そこで仕事を行わせて収入を得るという形です。

 こうなった場合、会社としては技術者の回転率がモノを言います。つまり「空き稼働」と言われる自社内に留まるエンジニアをいかに少なくし、効率よく仕事の現場を回していくか、ここが経営のポイントとなるのです。


 たとえばエンジニアの単価を50万/月としましょう。

 10人のエンジニアがフル稼働で一年間仕事をしたとした場合、6,000万の売り上げになります。その中で半分を社員の給与として考えても3,000万の利益をあったという事になります。

 ただもし翌年、エンジニアが半稼動だったとした場合、3,000円の売り上げの中から人件費の3,000万を抜いた場合、会社としての利益は無くなります。


 実際には会社では様々な諸経費が必要になりますので、こんな状況の会社があったら即倒産の憂き目にあってしまいますが、要は回転率が下がると会社としては死活問題にもなってしまうのです。

 だから会社は従業員の希望とは別に、今行ける現場にどんどんエンジニアを派遣して行かなければなりません。


 しかしそうなると、使われる側のエンジニアにとっては面白くない事となります。何故なら自分自身のキャリアの構想を描く事など、とうてい不可能な状態になっていくからです。

 エンジニアに取っては「技術スキル」こそが自分自身の武器になるのですが、様々な現場をたらい回しにされた場合、この技術スキルが身につかなく成ってしまいます。これはエンジニアにとっても死活問題です。

 だから派遣ばかりのエンジニアは「このままでは自分自身がダメになってしまう」という事を考えだし、結果として別会社に転職するという事に成っていきます。


 ただこうして転職をしてみても、この業界の多くの会社が「技術者派遣」で生業を立てているので、そうそう良い職場に巡り会う事も難しく、気がついたら三十代後半で、自分自身「これだ!」という技術スキルもなく、消えていくエンジニアとなってしまうのです。


 そういう意味でいうと、先にあげた「2)複数の会社を渡り歩きながら、・・・」という事が、簡単な以外事ではないように思えます。 

 ではもう一方の「1)一つの会社に勤め、そこで仕事を覚えて行く」というのはどうでしょうか。


 実はこちらはこちらで難しい問題をハラんでいます。


 昔の高度経済成長時代であれば、「終身雇用」というのが日本社会のスタンダードだったので、例え会社の中で自分自身のスキルを考えなくても、とにかく会社にしがみついていれば食いっぱぐれる事なく、何とか生きていく事もできました。

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 しかし現在では終身雇用というのは、まさしく「風前の灯火」の様な状況で、自分が会社にしがみついていたくても、会社の方から「三行半」を突きつけられる時代です。また継続的に勤務可能な大きな会社となると、自分自身の都合は通らない事が多くあり、所詮は「組織の歯車」の様に使われて、やもするとエンジニアで入社したにも関わらず、営業に回され役職定年などで退職という事もあります。


 そうなってしまうと、やはり自分自身で「独り立ち」するスキルもなく、会社の都合で社外に放り出された場合に、厳しい現実の中に放り出されてしまうという事にもなりかねません。


 この様に考えてみると、やはり今の日本ではエンジニアにとっては冬の時代なのかもしれないですね。


 ここまで書きましたが、もう少し続きを書きたいのですが、それは次回に致します。


 ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
 IT雑貨屋を、これからもよろしくお願い致します。